第34番 地主神社
所在地 京都府京都市東山区清水1丁目317
主祭神 大国主命 素戔嗚命 奇稲田姫命 足摩乳命 手摩乳命など
創建 不詳
例祭 5月5日(地主祭り)
余りにも有名になっているので、違うルートでお参りする方法を紹介する。通常、清水寺に拝観料を払って清水の舞台を鑑賞し、その奥の「地主神社」に向かうのが通常だ。あたかも地主神社の拝観料込みのように思うが、実は、神社は無料で行ける。因みに、清水寺も舞台以外は無料である。今回は、歌中山清閑寺方面からのルートをお伝えする。5条通り東大路を山科方面へ東に向かうと峠の手前に将軍塚などに向かう三叉路がある。ここまではバスやタクシーが便利だ。歩いて行くなら東大路のやや南の渋谷通りから登って行く。
地主神社から奥の院を眺める。
三叉路を左に折れると見えてくる。清閑寺は高倉天皇の悲恋の物語「小督局」ゆかりの寺だが、維新の前夜、西郷隆盛と勤王の僧月照との密会の場でも有名だ。実は、幕末の清水寺は勤王・討幕の志士たちの拠点でもあったのだ。清水の舞台下の茶屋2軒(忠僕茶屋・舌切茶屋)とも勤王の志士の生き残りの子孫が経営している(経緯は複雑なので後日へ)。その清閑寺の前を南西方向に散歩道路が清水の裏手まで整備されている。徒歩10分ほどで、清水の域内に入る。遊園地によくある回転式ドアがあるが無料である。そこから子安の塔、奥の院、阿弥陀堂などゆっくり鑑賞し、音羽の滝もゆっくり見学し奥の院の舞台から京都市内の眺めも堪能し地主神社に向かう。
地主神社は、神社の由来や歴史的意味から離れて、縁結びの神様として有名だ。「恋占いの石」から目をつぶり向こうの石に辿り着けば恋は成就するという話が広まり、いつ訪れても女性たちが目をつぶり両手を突き出し前方を目指す。大きな笑い声と嬌声で賑やかなものだ。コロナ前は、中国語・韓国語・英語・あらゆる言語がない交ぜになり混乱の極みであった。地主神社とは、まさに地主(じぬし)神社であり、大きな寺院の建設地の守り神の事である。清水寺の敷地にあるこの神社は、大国主命を主祭神とし神仏混交の時代には一体的に存在して来た。平安の昔より桜の名所でもあり、嵯峨天皇が余りの美しさで3度お召車を引きかえさせたという「御車返しの桜」(地主桜)が有名だが、今では世代も変わりどれがそれかは不明だ。
以下に現在の境内の摂社などの紹介を書いておく。
祓戸社 - 祭神:祓戸大神
恋占いの石 -縄文時代の祭祀遺物である。
拝殿(重要文化財) - 寛永10年(1633年)に徳川家光により再建。
撫で大国 - 撫でると御利益があるという大黒天。
水かけ地蔵 - 水をかけて祈願すると御利益があるという。
おかげ明神 - 一願成就の守り神で女性の信仰を集める。
いのり杉 -江戸時代に「丑の刻参り」に使われたという。五寸釘を打ち込んだ跡が残る。
総門(重要文化財) - 清水寺の舞台裏に直結しているが、今は閉じられている。
良縁大国 - 縁結びの神。
栗光稲荷社 - 商売繁盛の神
色々摂社や神様が祀られているが、ひたすら恋の成就を願う神社だ。小生も齢60歳を大きく越えているが、密かに思いを告げておいた。