㉖ コメディーNo1 坂田利夫・前田五郎
筆者、幼少の頃。クラスの坂田君は、みんなから「アホ、アホ。」と言われた。「アホの坂田。」は一世を風靡し大阪の教育委員会が、注意喚起したほどだ。それほどコメディーNo1は、強烈なデビューであった。
ちょうど、やすし・きよしの第1次のブームの時で、やすしの最初の事件?で、休業中。その代役にコメディーNo1が多くの番組で抜擢された。坂田と西川きよしが特に親しく、新喜劇より漫才の方が儲かるという理由で、漫才転向を勧めた。坂田利夫は、一時西川きよしとヘレンとの新婚家庭に下宿していたほど親しい。
初期は、体を張ったコントが多かったが、途中から結構本格派漫才をしていた。前田が真っ当に話し、坂田がアホな突っ込みをして笑わせた。二人の人気を盤石にしたのは、ラジオ大阪の「ヒットでヒット。バチョンと行こう。」という深夜番組だった。途中、まだレコードに針を置く前に曲名を当てるクイズコーナーが売り物で、筆者も必死に聴いていた。因みに、近くの千日劇場の大火災が番組の最中に発生し惨状を中継していたのが妙に印象に残っている。
その後、前田五郎の中田カウスへの脅迫事件で、前田が首となりコンビは事実上解散となった。その後の漫才ブームには、全く存在しなかった。ただし、ピン芸人となった坂田利夫はその後もしぶとく生き残り、新喜劇にも出演するなど、関西発のドラマや映画には貴重な役者となっている。坂田利夫は、アホではなかった。現在に至るまで独身。結婚歴もない。