④臣籍降下宮家の復帰問題
直近の皇室の相続図を示した。秋篠宮が現在「皇嗣」であり継承権の第1位だ。そして悠仁親王殿下がその後を継ぐ。大変不遜だが、その後男子誕生がなければ皇嗣断絶の危機である。最悪を想定して手を打つのが政治だ。それなのに政治は何もしない。
そこで、右に江戸時代の最初の後水尾天皇から118代の後桃園天皇までの継承経緯を示した。横は兄弟、縦は親子関係である。109代の明正天皇と117代後桜町天皇は女性である。明正天皇は、徳川秀忠娘和子との子なので、徳川家から見ると徳川女系天皇である。重要なのは、後桜町天皇で、桃園天皇の姉で、甥の後桃園天皇へのつなぎの天皇である。しかし、この方は、女性でありながら早くから天皇即位を想定した教育を受けていたと思われる。また、113代東山天皇の時代に、新井白石が皇統の危機を予期して閑院宮という新しい宮家を創出している。果たして、後桃園天皇が早世し遂に後継者のいない皇室の危機となった時に、政治が打つ手を打っていた為、閑院宮から東山天皇を曽祖父に持つ光格天皇が即位し、しかも傍系で特に君主教育を受けていない為に、後桜町上皇が継続して、新天皇の訓育に努めたのである。
このように政治の正しい判断のもと、皇室の継続は保たれた。翻って現在の政治家は何をしているのだろう。上記系図には、東久邇宮家を例に記載してみた。現当主は民間人で詳細情報は差し控えるが、信彦王のお子様で4代目になる。閑院宮から即位した光格天皇は3代目でやや遠縁になるが、立派な男系男子である。今上陛下の御養子になるか、秋篠宮家の養子になるかいずれも検討の必要があろう。勿論、ご本人の御意思を優先すべきだが、政府が誠意をもって説得するなど、行動を起こさないと決して解決はしない。
なお、「『皇族たちの真実』竹田恒泰氏2006年小学館」によると、東久邇宮家以外には、竹田宮家などには執筆当時8名の未婚男子がいるとの事だった。竹田氏は皇統が断絶の危機に至らないことを切に希望することを前提に、元皇族の責任というものを以下のように書いている。「もし旧皇族といわれる11宮家の子孫が皇室に復帰することと、皇統断絶(の解決)が直接結びつくような状況が生じたならば皇室の尊厳と存在意義を守り抜くために、旧皇族の男系男子は責任を感じなくてはならない。」と述べ、特に旧皇族の実系による子孫のうち自分も含めた8名の(当時)未婚男子は、「それぞれ身の内に責任を感じるべきである。」と強調して書いている。さらに、歴史的にそうして来たように、「傍系男系男子が皇籍に復帰するにあたり、内親王(天皇の皇女)か女王(皇室男子の女子)との結婚が伴うべきならば、そのようなご縁のある人に皇族復帰をお願いするのが天意に従うことになる。」とも言っている。現状の市民感情にはなじまない話だが、雲上人の世界である元皇室の気概を期待したい。
因みに、皇室の方々には、姓はない。どの国の王朝にも王様の「姓」はある。姓がなければどの時代のどの王朝かわからないからだ。例えば、中国の清王朝は愛新覚羅という。しかし日本の皇室はアマテラス以来、王朝の交代がない(ことになっている。)ので、姓は要らない。今の陛下という意味の今上陛下で良いのである。このように世界でも稀有な存在の日本の皇室を断絶させてはならない。