78 アチャコの京都日誌
読者には何の興味もないだろうが、筆者にとってとても大事なので、サラリーマンとしての最終出社日を書く。40年余り証券会社に勤務した。最後は子会社で終える事になったが、この業界を全うした事に誇りを持っている。以前のブログで紹介したが、前半生は異常な日々だった。
空前絶後の日々。
抱腹絶倒の上司。
戦々恐々の後輩。
支離滅裂の先輩。
絶体絶命の自分。
天真爛漫の女子社員。
転落人生の同僚など、色々見て来た。多くの同僚が様々な事情で会社を去る中で、さほど深い意味もなく今日まで勤め上げた。
この業界の理不尽さは、以前にも詳しく書いたが今後も折に触れて振り返ることにする。
朝は、関西から新幹線で出社して、午後一時の重要会議に臨みその終了と同時に勤務終了の段取りだ。会議で社長からひと言求められ、空気も読まず俳句を紹介。
「寒椿 落ちてなお 咲く 未練かな」
一線を退いたサラリーマンが、それでもなお、出世の競争への未練を残し、嘆くサマを多く見て来た私の感想を、寒椿の鮮やかな花びらが、薄雪の積もる庭に、落ちてなお真っ赤な花びらでアピールする姿に投影して詠んだ。もちろん私自身に未練がないから詠める句だ。
最終出社の帰る時には、全社員に見送られ美人女子社員に花束を贈呈され、大きな拍手の中一部涙ぐむ社員をしり目に帰るような場面を想像をしていたが、その気配が全くないことを知った私は、遅い昼飯に出かける。同じく退職の同僚と一献傾ける。
すでにバリバリの窓際族であった我々に注目する社員もいず、心行くまで閉店の3時までシコタマ飲んだ。日の高いうちに帰宅したが、酔いが醒めず一日を棒に振る。
明日から、どこにも行くところない日々が始まるが、関西に戻って考える。
新書 「定年退職」という本を買って帰った。