南野島男のGood Times

日常感じたことを面白おかしくエッセイ風に書きつづります。
これぞ笑いと勇気の玉手箱!

やっぱり大相撲は面白い

2009-05-24 19:52:49 | Weblog
15日間続いてきた夏場所は日馬富士の初優勝で幕を閉じた。
優勝決定戦にまでもつれ込んだ戦いは見ごたえがあった。
どちらかというと日馬富士に初優勝をさせてあげたいという日本人気質は国技館の会場全体にも漂っていた。
白鵬はさすがに強くて横綱としての風格も品性もあり応援する人は多いのだが、今場所の日馬富士の取り組みはそれ以上に相撲ファンの気持ちをつかんでいた。
初めての表彰式に立った日馬富士は初々しかった。
朝青龍みたいに両手を挙げて会場全体のお客さんにアピールする余裕なんてあるわけがない。
いつもの言葉「一番一番、自分の相撲を」と答えるのが日馬富士らしくてよかった。
予想通り、内閣総理大臣杯の授与には麻生総理自らが出てきた。
大事な選挙を控えての支持率アップのためにはもってこいの場所であるこの機会を逃すわけがない。
おまけに表彰状には読めそうもない漢字は見当たらないし自信を持って読み上げていたが、賞状を渡す際に気の効いた言葉でも残せばニュースに使ってもらえると必死で考えていたのが手に取るように伝わってきた。
ところがそっちにばかり気が行っていたせいで肝心の内閣総理大臣杯を渡し忘れて土俵を降りようとした。
こんなところでも選挙のために出てきたことがみえみえの行動を取ってしまった。

今日の千秋楽にはいろんな力士のドラマがあった。
今日まで一勝も出来ずに千秋楽を迎えた豊真将に何とか勝たせてやりたいという相撲ファンの気持ちが後押ししたのか涙の初白星を千秋楽に勝ち取ることが出来た。
豊真将というお相撲さんはどんなに負けても取り組み後の最後の挨拶はそれはそれは好感が持てる挨拶の仕方をする。
柔道界でいえば棟田選手と同じような礼儀正しさを感じさせてくれる力士だ。
相撲ファンというのはこういうところはちゃんと見ているし最も大事なことだと分っている。
勝ち名乗りを受けた豊真将に会場から割れんばかりの拍手が起こったが、日本人の優しさが感じられるシーンでもあった。
それからもう1人、気になっていたのが大関千代大海。
大関在位62場所という記録を持つ大大関が崖っぷちのポニョになっていて、最後の3日間を全部勝たなきゃ関脇に陥落することになってしまった。
怪我も持ってるし、糖尿病も患って見るからにしぼみつつある大関をなんとか一日でも長く相撲とらせてあげたいというファン心理が後押ししたのか千代大海は見事に難局を乗り切った。
これだけ長いこと大関を続けてきた人がその座を落ちる時は普通なら引退を考えるものだが、千代大海はもしそうなっても現役続行を表明してまた這い上がるつもりでいることを宣言してくれた。
この一言で千代大海の株が上がった。
簡単に引退せずにずたずたになっても現役を続けるスポーツマンが僕も大好きだ。
サッカーの三浦和義しかり、野球の工藤公康しかり、何故かこういうスポーツマンにはひとしお応援したくなるものだ。
そしてもうひとつ、今場所で45年間働いた相撲界を引退する東関親方。
今でこぞ外人力士なんて当たり前の大相撲界であるが、この高見山が登場した時は「初の外人力士」ということで注目を集めた。
あの大きさ、もみ上げ、そして丸八真綿の2倍2倍のCMでお馴染みになったしゃがれ声は一世を風靡した。
たった一人の外人力士としての苦労は並々ならぬものがあったに違いない。
彼がいたからこそ今の外人力士たちの相撲界進出の道が出来たともいえる。
アメリカに最初に渡り日本人メジャーリガーが活躍できる足がかりを作った野茂みたいである。
現在の相撲界では横綱、大関とほとんどが外人力士になってしまった。
逆に日本人力士にもっと頑張って欲しいという気持ちがどっかにある。
いまに横綱と三役は全て外人力士になってしまうかもしれない。
そのためにも千代大海と魁皇には一日でも長く相撲をとってもらいたいし、稀勢の里あたりの日本人若手には別感情での応援の声がある。
大麻事件や暴力事件や八百長事件やいろいろあって批判されることもある大相撲界であるが、今場所なんか見ているとやっぱり日本人は相撲が大好きだし、大相撲は大事な日本文化であることを改めて思い知らされた。