安倍晋三首相は29日朝、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け「北朝鮮を抑止するため、米国とともに具体的な行動をとっていく」と語った。「北朝鮮が国際社会の度重なる警告を無視して、挑発を続けていることは断じて許すことはできない」と述べ、北朝鮮に厳重に抗議したことを表明した。首相官邸で記者団に語った
首相は「北朝鮮の問題は国際社会の最優先事項だ」と強調。「韓国をはじめ国際社会と連携しながら、高度な警戒態勢を維持し、国民の安全を確保していくために万全を期していく」とも語った
菅義偉官房長官は終了後の記者会見で、首相が発言した「具体的な行動」に関し「日米は防衛体制と能力の向上をはかるべく具体的行動を取ることで一致しており、これに基づきしっかり連携する」と述べた。「中国の果たす役割が重要だ。国連安全保障理事会でさらなる制裁や連携、圧力を強化していくために日米韓の役割も重要だ」と述べた
29日に来日する中国外交トップ、楊潔篪国務委員(副首相級)と協議する意向も示した。楊氏は同日午後に谷内正太郎国家安全保障局長と、30日には岸田文雄外相と会談する予定
安倍首相は、26、27日にイタリア南部シチリア島で開催された主要国首脳会議(タオルミーナ・サミット)などの日程を終え、28日夜帰国
サミット首脳宣言に北朝鮮問題を「新たな段階の脅威」と明記する動きを主導し、存在感を発揮したほか、「サミット後」を見据え、対中、対露外交への布石となる動きも見せた
首相はサミット閉幕後の記者会見で、「初めて北朝鮮の問題が最重要優先課題として取り上げられた。しっかりと北朝鮮に圧力をかけていくことで結束できたことは極めて意義がある」と強調した
サミットへの首相の参加は今回6回目で、「常連」とも言える存在だ。貿易や気候変動などで対立するトランプ米大統領と他の首脳の「橋渡し役」を務めた。外務省幹部は「発言力が高まった成果が、北朝鮮問題の首脳宣言の表現にもつながった」と解説する