元自衛官の五ノ井里奈さん(24)が名前を出して被害を訴え、強制わいせつ罪で在宅起訴された元自衛官3人=懲戒免職=の判決が12日、福島地裁である。検察側は懲役2年を求刑し、3人は無罪を主張している。
起訴されたのは、五ノ井さんより階級が上だった渋谷修太郎(31)、関根亮斗(29)、木目沢佑輔(29)の3被告。北海道別海町の陸自演習場の建物内で2021年8月、格闘技で五ノ井さんをベッドに押し倒し、覆いかぶさって腰を前後に動かすなどし、着衣越しに陰部を接触させたとされる。
争点は、強制わいせつ罪が成立するかだ。
3被告は昨年10月、五ノ井さんに面会し、直接謝罪した。公判では、防衛省から「土下座してくれ」などと指示を受け、自らの意思に反して謝罪した、と説明した。
検察側は論告で、五ノ井さんの被害申告は核心部分が一貫し、複数の目撃証言とも整合していて信用できるとし「わいせつ行為にあたるのは明らかで、性的羞恥(しゅうち)心を大きく害した」と主張した。
一方、弁護側は最終弁論で、五ノ井さんの被害申告は「過大に評価すべきではない」と反論。性行為を思わせるような行為を目撃したとする証言についても「変遷し、信用性がない」などとし、罪の成立を否定した。(滝口信之)毎日新聞