日銀は18、19日の金融政策決定会合で、マイナス金利の解除を見送った。今後、解除のタイミングはいつごろだと考えられるか。解除した場合にどのような影響が考えられるのか。
今回、金融政策は結果として変更されなかったが、ギリギリの判断だったようだ。解除を警戒していた市場参加者は肩すかしとなり、円安株高が進んだ。
インフレ目標政策では、目標の数値プラスマイナス1ポイントは許容範囲だ。その上で金融引き締めは遅れてやるべきだ。
その理由は、インフレ率が2%でも4%でも社会的コストはあまり違わないが、金融引き締めを急いだ場合、景気への悪影響、とりわけ失業率上昇の社会的コストが大きいからだ。 要するに、インフレ目標が2%なら、今の金融政策を継続することで近い将来にインフレ率が4%程度を超えるような状況でなければ、金融引き締めをしてはいけない。これが基本である。金融緩和解除が早すぎると、低い失業率を確保できず、結果として賃上げにつながらない。 こうした金融政策の運営は、「ビハインド・ザ・カーブ」と呼ばれているが、欧米での最近の金融引き締め局面でも実際に行われ、インフレ率が現実に4%程度より高くなるまで金融引き締めは基本的に実施されなかった。
一方、日本で「金融正常化」という人は、こうしたマクロ経済環境を考えずに、今の状態が「異常」なので、できるだけ早く直すべきだ、という価値観が含まれていることに留意すべきだ。 今のマクロ経済環境をみると、インフレ率が近い将来4%程度より高くなる可能性は極めて小さい。にもかかわらず、金融緩和を解除したらどうなるのか。目先は金融業界に好影響だろうが、前述したようにマクロ金融政策としてはまずい。
来年の金融政策決定会合の予定は、1月22、23日、3月18、19日、4月25、26日だ。このうち「経済・物価情勢の展望(基本的見解)」は、1月23日、4月26日に公表される。 政策変更には「基本的見解」があったほうがよく、3月は国会予算審議があり、4月は遅すぎることを考慮すると、来年1月の公算が大きい。
(元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)
11月に米カリフォルニア州で行われた日中首脳会談をめぐり、中国側の傲慢な姿勢が明らかになった。共同通信によると、岸田文雄首相は中国で拘束された邦人の早期解放や、沖縄県・尖閣諸島周辺の排他的経済水域(EEZ)に中国が無断設置した大型の海上ブイ撤去などを求めたが、習近平国家主席はまともに相手にしなかったという。
共同通信は27日夜、「独自ダネ」「11月首脳会談、詳細判明」として伝えた。
習氏はまず、邦人拘束について、「中国の法に従って処理する」と主張した。海上ブイについても、「東シナ海をめぐる両国の見解の違いをコントロールすべきだ」と一般論に終始したという。
岸田首相は、北朝鮮の核・ミサイル開発や、日本人拉致問題の解決についても協力を要請したが、習氏は「北朝鮮情勢が悪化した原因は米国」と持論を展開し、米朝間の対話がないことに不満を漏らした。
日中首脳会談は11月16日、米国で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて行われた。日中両政府は習氏の会談での反応や、やりとりの詳細を明示していなかった。共同通信は、複数の日中関係筋の話として伝えた。
中国は、国際原子力機関(IAEA)が「国際基準に合致する」と評価している東京電力福島第1原発の処理水を「核汚染水」と主張し、日本産水産物を禁輸している。首脳会談では、処理水に関する専門家協議や、閣僚級の「日中ハイレベル経済対話」の開催で合意したが、見通しは立っていない。
日中両国は会談後、緊密な意思疎通を重ねる方針で一致し、日本側は「戦略的互恵関係の包括的な推進を再確認した」と発表した。
ただ、日本政府関係者は「中国側は国内の政権批判に神経をとがらせている。『反日カード』は内政の不満をそらし、日本を牽制(けんせい)する有効な手段だ」と分析している。岸田政権は「反日」暴挙を放置するのか。
zakzak
中国保健当局は28日、新型コロナウイルスの新変異株「JN・1」の感染例が中国で出ており、増加傾向にあると発表した。JN・1は米国などでも感染例が出ており、世界保健機関(WHO)が先週「注目すべき変異株(VOI)」に指定した。
中国当局は年末年始や2024年2月の春節(旧正月)の大型連休で人の移動が多くなり、コロナ感染の増加が予想されるとして、注意を呼びかけた。
中国疾病予防コントロールセンターの担当者は28日の記者会見で、JN・1は海外で感染が急速に広がり、流行の中心となっていると指摘。中国のコロナ感染状況は「低いレベルだ」としながらも、JN・1が増加しており、国内の主流となる可能性があると説明した。 (共同) 産経新聞