自衛官の処遇改善について、政府は25日に関係閣僚会議の初会合を開催。石破茂首相は、年内に対策の方向性を取りまとめ、具体策を令和7年度予算案に盛り込むよう指示した。政府が省庁横断の会議で検討し始めたのは、過去最悪レベルの採用達成率への強い危機感がある。
採用達成率わずか30%
「正直なところ、警察官より少しでも給料の額面が高ければ…」。採用活動に関わるある防衛省関係者はこう漏らす。自衛官は警察官や刑務官と同じ俸給月額だが、有事に備えた常時勤務体制のため、超過勤務手当がない代わりに月給の約1割を上乗せする特殊な給料体系になっている。
また、市町村単位の消防士、都道府県単位の警察官と違い、全国転勤があることも採用に不利に働いているとみられるほか、全体を若く精強に保つため、多くが56歳で定年退職し、将来不安を抱えることもマイナス要因とされる。
こうした状況下で、採用率は過去3年で急激に下がった。隊員の約8割を占める「下士官」階級のうち、任期制の「自衛官候補生」は昨年度の採用達成率がわずか30%で、終身制の「一般曹候補生」も69%と低迷。中途退職者は5年前から1・3倍近く増えた。
米軍は社会でさまざまな優遇
現場は、現状を打破しようと、魅力向上に余念がない。
電波の入らない洋上で数カ月勤務する艦艇では衛星通信によるインターネットへの常時接続可能な環境を導入。陸上では隊舎の個室化やトイレの洋式化などの整備も進めた。防衛省は人員不足が深刻な艦艇乗員に加え、離島など僻地(へきち)勤務となるレーダーサイト隊員らの手当てを増額。再就職支援も打ち出した。
だが、ある幹部は「改善すべき不満はあるが、それが入隊の決め手になるだろうか」と疑義を呈している。
米軍では映画館やレストランの料金が優遇され、退官後は民間軍事会社などに再就職し、医療費が免除される。これに対し、日本の自衛官にはこうした地位はない。この幹部は「使命感への共感を持ってもらうには社会の理解が前提だ」とも訴える。
関係閣僚会議が立ち上がったが、現状では他省庁との検討項目は各種業界への再雇用推進などにとどまる。今後、社会の機運を醸成する抜本的な方向性を示せるかが、空前の自衛官不足解消のカギとなりそうだ。(市岡豊大) 産経新聞
尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海外側にある接続水域で29日、中国海警局の船3隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは4日連続。
第11管区海上保安本部(那覇)によると、3隻とも機関砲のようなものを搭載。領海に近づかないよう巡視船が警告した。
北海道江別市の公園で大学生長谷知哉さん(20)が全裸で倒れているのが見つかり、死亡が確認された事件で、北海道警は29日、集団で暴行して死亡させたなどとして、傷害と傷害致死の疑いで、同市の女子大生2人を含む17~20歳の男女4人を逮捕したと発表した。
道警によると、傷害容疑で逮捕されたのは江別市文京台、大学生八木原亜麻容疑者(20)。傷害致死容疑で同市文京台東町、大学生川村葉音容疑者(20)と10代の男2人が逮捕された。八木原容疑者は長谷さんと交際していたという。
産経新聞