ここ最近、「今なら国からの復興支援交付金を優先的に受け取れる」という被災地の法人をターゲットにした非常に悪質な詐欺が出回っていますので、皆さまもくれぐれもご注意ください。
「みずほ銀行:架空の交付金申請手続きを騙った詐欺的勧誘にご注意ください」
東日本大震災に関連した架空の交付金申請手続きを騙る、次のような詐欺的勧誘が発生しております。
東日本大震災に関連した架空の交付金(*)申請手続きに必要であるとして、ダイレクトメール等で、みずほ銀行の普通預金(無利息型)を作成するよう求める手口
*「3・11被災地交付金」等
同様の内容のダイレクトメールや電話等があった場合には、最寄りの警察に通報・相談するなど、十分にご注意ください。
(2012年10月16日更新)
[経緯の詳細]
某団体の方から紹介されたMさん(この人も以前からボランティアをされていたとのことです)から聞いたストーリーはこんな感じです。
「信頼できる現地の法人に交付金をあげたいと思っているが、国は積極的な勧誘ができないので、自分たちが代わりに動いています。暴力団などが入ってくる可能性があるので、公には周知していません。資金の上限は特になく、交付金だから返済の義務もありません。免税もされます。書類作成もボランティアで手伝ってくれます。一切お金もとられないので信頼できます。」
ここまでは、本当だったら現地にとってはかなりよい話だなあと思いました。
しかし、「10月末が締め切りだから急いで書類を出さなければならない。担当のひとはすぐにでも紹介する」というのです。
この短期間であることを強調して焦らせるという方法は、詐欺の典型的な方法であり、僕はこの条件に当てはまっている時点で警戒しました。
ですが、本当だったら現地の企業や団体にとって大きな力になります。詳細を知る必要があります。
しかし、話せば話すほど違和感が積み重なります。
たとえば、「口外されないために取締役の人一人じゃないと窓口の人と会えない」というのです。また「情報はどこにも公開されていないから、国や銀行に問い合わせても末端の人はわからないから確認できない」といいます。
またなぜか法務局が窓口になっているというので「法務局でそこの窓口の人と会いたい」といってもはぐらかされ、「弁護士を同席させたい」といっても先方の窓口の人が嫌がると思うのでといって、歓迎しないのです。
これはおかしいということで、信頼しているSさんと一緒に情報交換しながらさらに様子を探っていきました。
そうするとSさんのところに送られてきた書類に記載されてある必要書類には、以下のようなものが含まれていました。
□ 運転免許証のカラーコピー
□ 個人通帳ただし指定銀行の無利息口座の個人決済型預金通帳の3面のカラーコピー
□ 確約書
□ 会社の登記謄本
□ 資格証明書
□ 住民票
□ 家族の住民票
□ 印鑑証明
□ 名刺8枚、白名刺25枚
□ 社名の入った封筒70枚
「通帳カラーコピーには本人以外は手を触れないこと。他人の指紋がつかないようにすること。」という通常ありえない注意書きもありました。
これをすぐに弁護士に見せたところ、これはまず間違いなく詐欺ですと。この口座は振り込め詐欺などに使われる典型的なパターンとのこと。
手続き等には一切お金がかからないから騙される心配はないと思いがちですが(Mさんはそう信じているようでした、あるいはそれなりのお金で委託されていたのかもしれません、真偽はわかりませんが)、これらがすべて揃えば本人や会社になりすまして融資を受けたり、借金したり、なんでもできる“破滅セット”です。
「この書類をだましとられると、数千万〜億単位の被害にあう可能性があります」という指摘も頂きましたが、その会社への融資という形をとればそのような被害も十分ありえます。必死に立ち上がろうとしている被災者を破滅させ、自殺に追い込むことにもなりかねない悪質な詐欺です。
Mさんはすでに何人もの人にも書類作成を進めるよう話をしたと言っていたので、それが本当なら止めないととんでもないことになるので、これは詐欺ですと力説してすぐに止めるようにと言いました(それでも半分は本当かもしれないと思っている様子でしたので、完全に洗脳されてたのかもしれません。「なぜ本当だと思ったのですか」と聞くと、「夜中まで6、7人で事業計画書を書くのを手伝ってあげていたのを見たから」といってました)。
弁護士もすぐに警察に通報したほうがよいということだったので、Mさんにも警察に通報して詳しい話をするようにと強くいって、僕もすぐに警察にきてもらって話しました。話を廻してくれた団体の人にも止めにまわるように依頼して動いてもらっています。
警察の人はこれは明らかにおかしいし、こうした書類があれば何でもできてしまうので、まず詐欺であることには間違いないと。口座と本人になりすませるあらゆる書類等々をとられるので、勝手に融資に使われて借金を背負わされたり、振り込め詐欺に使われたりするだろうと。ただし、今の時点では詐欺行為が成立していないので、これ以上は打つ手はないとのこと。
周知していくことが一番の対策になるので、ぜひ協力をお願いしたいということでした。
今月末締め切りの詐欺でしたが、こういうのは期限をどんどん延ばしていくそうなので、まだまだ出まわると思います。現在進行形の詐欺ですので、情報を拡散していく必要があります。みなさんぜひ情報の拡散にご協力ください。
また類似の話を聞いた人はすぐに止めてください。すでに書類を提出してしまった人はすぐに警察に被害届をだして口座を止めるなどの措置をとる必要があります。
*
詐欺にあうことで破滅してしまい、家庭が崩壊し、最悪自殺してしまう人もいます。幸せに生きるためには詐欺にあわない方法も知っておく必要があります。ということで、詐欺から身を守るための視点を書いておきたいと思います。
[詐欺に騙されない7つの視点]
1)信頼している人からの紹介だから間違いないだろう、というのは間違いです。信頼している人自体騙されている可能性もありますし、その人は詳細を知らないで話を廻してきた可能性もあります。重要な案件については自分を含めた複数の人間で確認する必要があります。
2)期限を限定して“焦らせて重要な書類を出させようとする”(契約させようとする)のは詐欺の常套手段です。それに当てはまるだけで可能性は高いです。
3)少しでも怪しいと思ったら、弁護士や会計といった関連書類に強い人にすぐに相談しましょう。しかるべき人達にきちんと相談すれば詐欺にひっかかることはありません。他人に相談させる余地を与えない、一人でこなければならないというような場合には詐欺の可能性を強く疑いましょう。
4) 「非公式の情報なので公式HPには掲載されていません」といった、本当かどうか確認できない場合も詐欺の可能性を疑いましょう。結果が出るまで確認がとれないような構成になっている時点でおかしいのです。
5) 「お金をとられさえしなければ損しないのだから大丈夫」という思い込みは危険です。あらゆる契約に必要な重要書類を一式とられたら膨大な借金の肩代わりをされて破滅します。
6)詐欺は事後的に成立します。事前には確実な裏をとらせずに、すべて提出したならば「すぐに○○します(入金されます、納品されます)」というのを信じてはいけません。すべて提出した後には先方に連絡できなくなり、詐欺グループはいなくなります。それが詐欺です。
7)「人は見たいものしか見ない」というのは本当です。特に経済的に追いつめられている人は「本当であって欲しい」と強く思うため、不都合な情報は「そんなはずはない」と無意識のうちに遮断してしまいます。そういう人の目を覚ますのは簡単ではありませんが、強く何度でも説得しましょう。
他にも有用な視点はあると思います。
みなさんの経験や知識をコメント欄に書き込んでいただけると多くの人のためになると思いますので、よろしくお願いします。
2012.10.30.西條剛央
「みずほ銀行:架空の交付金申請手続きを騙った詐欺的勧誘にご注意ください」
東日本大震災に関連した架空の交付金申請手続きを騙る、次のような詐欺的勧誘が発生しております。
東日本大震災に関連した架空の交付金(*)申請手続きに必要であるとして、ダイレクトメール等で、みずほ銀行の普通預金(無利息型)を作成するよう求める手口
*「3・11被災地交付金」等
同様の内容のダイレクトメールや電話等があった場合には、最寄りの警察に通報・相談するなど、十分にご注意ください。
(2012年10月16日更新)
[経緯の詳細]
某団体の方から紹介されたMさん(この人も以前からボランティアをされていたとのことです)から聞いたストーリーはこんな感じです。
「信頼できる現地の法人に交付金をあげたいと思っているが、国は積極的な勧誘ができないので、自分たちが代わりに動いています。暴力団などが入ってくる可能性があるので、公には周知していません。資金の上限は特になく、交付金だから返済の義務もありません。免税もされます。書類作成もボランティアで手伝ってくれます。一切お金もとられないので信頼できます。」
ここまでは、本当だったら現地にとってはかなりよい話だなあと思いました。
しかし、「10月末が締め切りだから急いで書類を出さなければならない。担当のひとはすぐにでも紹介する」というのです。
この短期間であることを強調して焦らせるという方法は、詐欺の典型的な方法であり、僕はこの条件に当てはまっている時点で警戒しました。
ですが、本当だったら現地の企業や団体にとって大きな力になります。詳細を知る必要があります。
しかし、話せば話すほど違和感が積み重なります。
たとえば、「口外されないために取締役の人一人じゃないと窓口の人と会えない」というのです。また「情報はどこにも公開されていないから、国や銀行に問い合わせても末端の人はわからないから確認できない」といいます。
またなぜか法務局が窓口になっているというので「法務局でそこの窓口の人と会いたい」といってもはぐらかされ、「弁護士を同席させたい」といっても先方の窓口の人が嫌がると思うのでといって、歓迎しないのです。
これはおかしいということで、信頼しているSさんと一緒に情報交換しながらさらに様子を探っていきました。
そうするとSさんのところに送られてきた書類に記載されてある必要書類には、以下のようなものが含まれていました。
□ 運転免許証のカラーコピー
□ 個人通帳ただし指定銀行の無利息口座の個人決済型預金通帳の3面のカラーコピー
□ 確約書
□ 会社の登記謄本
□ 資格証明書
□ 住民票
□ 家族の住民票
□ 印鑑証明
□ 名刺8枚、白名刺25枚
□ 社名の入った封筒70枚
「通帳カラーコピーには本人以外は手を触れないこと。他人の指紋がつかないようにすること。」という通常ありえない注意書きもありました。
これをすぐに弁護士に見せたところ、これはまず間違いなく詐欺ですと。この口座は振り込め詐欺などに使われる典型的なパターンとのこと。
手続き等には一切お金がかからないから騙される心配はないと思いがちですが(Mさんはそう信じているようでした、あるいはそれなりのお金で委託されていたのかもしれません、真偽はわかりませんが)、これらがすべて揃えば本人や会社になりすまして融資を受けたり、借金したり、なんでもできる“破滅セット”です。
「この書類をだましとられると、数千万〜億単位の被害にあう可能性があります」という指摘も頂きましたが、その会社への融資という形をとればそのような被害も十分ありえます。必死に立ち上がろうとしている被災者を破滅させ、自殺に追い込むことにもなりかねない悪質な詐欺です。
Mさんはすでに何人もの人にも書類作成を進めるよう話をしたと言っていたので、それが本当なら止めないととんでもないことになるので、これは詐欺ですと力説してすぐに止めるようにと言いました(それでも半分は本当かもしれないと思っている様子でしたので、完全に洗脳されてたのかもしれません。「なぜ本当だと思ったのですか」と聞くと、「夜中まで6、7人で事業計画書を書くのを手伝ってあげていたのを見たから」といってました)。
弁護士もすぐに警察に通報したほうがよいということだったので、Mさんにも警察に通報して詳しい話をするようにと強くいって、僕もすぐに警察にきてもらって話しました。話を廻してくれた団体の人にも止めにまわるように依頼して動いてもらっています。
警察の人はこれは明らかにおかしいし、こうした書類があれば何でもできてしまうので、まず詐欺であることには間違いないと。口座と本人になりすませるあらゆる書類等々をとられるので、勝手に融資に使われて借金を背負わされたり、振り込め詐欺に使われたりするだろうと。ただし、今の時点では詐欺行為が成立していないので、これ以上は打つ手はないとのこと。
周知していくことが一番の対策になるので、ぜひ協力をお願いしたいということでした。
今月末締め切りの詐欺でしたが、こういうのは期限をどんどん延ばしていくそうなので、まだまだ出まわると思います。現在進行形の詐欺ですので、情報を拡散していく必要があります。みなさんぜひ情報の拡散にご協力ください。
また類似の話を聞いた人はすぐに止めてください。すでに書類を提出してしまった人はすぐに警察に被害届をだして口座を止めるなどの措置をとる必要があります。
*
詐欺にあうことで破滅してしまい、家庭が崩壊し、最悪自殺してしまう人もいます。幸せに生きるためには詐欺にあわない方法も知っておく必要があります。ということで、詐欺から身を守るための視点を書いておきたいと思います。
[詐欺に騙されない7つの視点]
1)信頼している人からの紹介だから間違いないだろう、というのは間違いです。信頼している人自体騙されている可能性もありますし、その人は詳細を知らないで話を廻してきた可能性もあります。重要な案件については自分を含めた複数の人間で確認する必要があります。
2)期限を限定して“焦らせて重要な書類を出させようとする”(契約させようとする)のは詐欺の常套手段です。それに当てはまるだけで可能性は高いです。
3)少しでも怪しいと思ったら、弁護士や会計といった関連書類に強い人にすぐに相談しましょう。しかるべき人達にきちんと相談すれば詐欺にひっかかることはありません。他人に相談させる余地を与えない、一人でこなければならないというような場合には詐欺の可能性を強く疑いましょう。
4) 「非公式の情報なので公式HPには掲載されていません」といった、本当かどうか確認できない場合も詐欺の可能性を疑いましょう。結果が出るまで確認がとれないような構成になっている時点でおかしいのです。
5) 「お金をとられさえしなければ損しないのだから大丈夫」という思い込みは危険です。あらゆる契約に必要な重要書類を一式とられたら膨大な借金の肩代わりをされて破滅します。
6)詐欺は事後的に成立します。事前には確実な裏をとらせずに、すべて提出したならば「すぐに○○します(入金されます、納品されます)」というのを信じてはいけません。すべて提出した後には先方に連絡できなくなり、詐欺グループはいなくなります。それが詐欺です。
7)「人は見たいものしか見ない」というのは本当です。特に経済的に追いつめられている人は「本当であって欲しい」と強く思うため、不都合な情報は「そんなはずはない」と無意識のうちに遮断してしまいます。そういう人の目を覚ますのは簡単ではありませんが、強く何度でも説得しましょう。
他にも有用な視点はあると思います。
みなさんの経験や知識をコメント欄に書き込んでいただけると多くの人のためになると思いますので、よろしくお願いします。
2012.10.30.西條剛央
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