秋の歩みが確実になってゆくにつれ、我が家の僅かばかりの花たちも
それぞれの役目を終え、最後の顔を見せながら去っていったもの、
私がその姿に気づかずいつの間にか消えていったもの・・・・
そして小さな庭は日ごとに寂しくなっていった。
ミカンの木の陽の当たる部分の実は予想をはるかに超えるほど大きく、
少し黄みを帯びてきたが反対側は実も小さくまだ緑色である。
ミカンの木の隣の「獅子(鬼)柚子」も順調に大きくなりつつあり、
今年も私の頭を超える大きさになりそうである。
いずれも元気がいい・・獅子ゆずの木の下のシュウメイギクも今年は
もう終わったのだろうか・・・
以前はあまりにも増えすぎたので処分し、かなり減らしてしまったが
最近は少なくなっても静かにその存在感をあらわしている我が家の
シュウメイギクは一重の白い花をつける種類で、秋風に誘われて
緩やかに動く姿にはただならぬ風情があった。
朝から降り続く小雨は木々の枝や葉を満遍なく濡らし続けている。
獅子ゆずやミカンの葉は時折その先端から丸くなった水滴を落とし、
木蓮の枝もそれに呼応するかのように枝を伝わった雫をその先の下に
向かって丸みを帯びた部分から時々ポトッ、ポトッと落としている。
今日は庭側の道路の向かい側の「サービス付き高齢者向け住宅 」に
出入りする車が少ないのかあたりも静かである。
雨が嫌いな私が『今日は一日読書で静かに暮らしてみよう』・・などと
殊勝な気持ちにもなるのはこの雨のお蔭かもしれない。
さらに雨のお蔭(?)でこの雨を多少は秋を思うに相応しい静かで
優しい気持ちにもなるような「秋霖」「すすき梅雨」など秋の長雨・・と
ロマンチックに言いたいところだが天気予報では雨は続かず、明日からは
全国的に晴天、曇天などが交互に繰り返されるようである。
雨を好きな人はあまり多くはいないと思うが、たまに静かに降る雨は
別としてやはりこの季節は秋晴れが多くの人の心を明るく、楽しくも
させるのではないだろうか・・・・
『明日晴れたら・・』と思い、『何をしようか・・・』『~をしよう・・』
と思うだけでも明るく、楽しく、小さくても夢が膨らむのだと思う。
たとえそれが他愛もないことであっても・・・
明日は全国的に晴れる所が多くなるようだ。
青く、高く、広い空と白い雲に思いを馳せよう・・・・