食育マイスターのひとりごと

食育マイスターが日常のひとりごとを綴っています。

実家の話⑥

2023-08-23 10:03:16 | 日常
就職して3年目。

幸い、お給料は毎年上がっていたから

『女性らしい』イメージの習い事をすることにした。

お茶か、お花か…本気で取り組むとなると、

お金もかかるけど、時間もかかる。

そこで、『着付け』を習うことにした。最後までいっても2年で修了。


成人式は夏にスーツだったし、

うちの母が記念に振袖着れば?なんて、言うはずもなく…

だから、着物に憧れもあった。


ちなみに、私の記念写真的なものは、小学校に入学の写真のみ。

七五三もない。私が着物を着るのを嫌がるから撮らなかったと。

私のせいなんだろうけど。


『着付け』の世界は楽しかった。

同じクラスで、同じ年のとってもキレイな人がいて。

もう結婚が決まっていたそうで

花嫁修業的な感じで、習っていた。

着付け教室では、しょっちゅう着物の展示会があった。

私は見るだけだったけど、本当に素敵だった。

その同じクラスのキレイな人は、展示会の時はいつもお母様も一緒だった。

お母様と一緒に着物や帯を選び、

なんなら娘が止めても、母が娘の為に買っちゃう感じで。

世間一般の母と娘ってこんな感じなのだろう…と。


私が『着付け』を習っていることを実家に帰った時に母に話したら

その時から母も着物の話をするようになった。

うちには古い桐の箪笥があり、

そこには母の着物がびっちり詰まっていた。

若い頃はよく買っていたそう…
(着たかどうかは分からない)

思った以上に『着付け』の世界にハマり、

進級するにつれて本物の着物が必要になってきた。

季節によって生地も違う。

まぁそれが、展示会で着物を買わせる手段だったのだろうけど。

さすがに季節の着物一式は買えない。そこで母に借りることにした。

珍しく、貸してくれた。

もちろん、借りたら返す。

『もう着ないんだったらちょうだい』なんて、口が裂けてもいえない。


ある日、着物を買ったと母。

うちは県道沿いにあるから、飛び込みのセールスも多くて。

決して裕福ではなかったことは間違いないし

いつもお金がない、お前にはお金がかかる!と言われていたけど…

母が欲しいものは買っていた。

ミシンだって、いつ使うのか知らないけど、20万したと。

私の人生で一度だけ、母が手伝ってくれたのが

中2の時のリサイクルの洋服づくり。

その時はありがたかったけど、

当時の最新ミシンを使いこなしたかったんだと、後から思った。

後にも先にも、助けてくれたのはその1回限り。

裁縫の趣味もないのに20万。

他にも色々あり、さすがにそれは要らない!と、断るのは子どもの私。

私には何も買わないくせに、自分には高い買い物をする。


母が買った着物は一式40万位だったと言っていた。

同じクラスのキレイな母娘を見ていたから

アホな私はてっきり、私に買ってくれたのかと思って密かに喜んだ。

私が『着付け』を始めたから、買ってくれたんだと。


それを聞いた後の最初の長期休みに帰ると…

買った着物を見せられて、自慢された。

何てことない、母自身の着物だった。

そこで目が覚めた。

そうだよね、私の着物のわけないよね、母って、そういう人だよね!


その一年後くらいに、急に振袖を買ったと言った。

母の着物を買った業者に、私と妹がいることがバレ

女の子がいるのに、成人式も終わっているのに、振袖もないの?と言われたみたいで。

それで、断れなくて買ったそうだ。

振袖は1枚。私のものでも妹のものでもない。母のもの。

買ったから着ないともったいない!とうるさい。

今更着ろと言われても…

でもその後、同級生の結婚式があって、着る機会が訪れた。

私が着たのはその1回きり。

着たらクリーニングして、母に返した。私のじゃないからね。


母が買って私に自慢した着物、その後どうしたんだろうか…

まさに箪笥の肥やしだと思った。



コメント (2)
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