偽装魚の実態シリーズ 他魚介類の偽装 紋甲烏賊(もんごういか)
偽装烏賊名 アカイカ・アメリカオオアカイカ
回転寿司店の紋甲烏賊は体長1m以上もある巨大アメリカオオアカイカ
アメリカオオアカイカ1匹から烏賊握り1,000貫分が取れる
■握りや惣菜では小さく切り分けてあるので巨大烏賊とは思えない
回転寿司店の紋甲烏賊ネタは、1m以上もあるアメリカオオアカイカや南米沖のアカイカが偽装されます。アメリカオオアカイカは、カリフォルニア沖からペルー・チリ・メキシコなど赤道を挟む東太平洋海域に生息しています。アカイカ科最大の大きさで、1年ほどで体長120cmにも成長するそうです。
アメリカオオアカイカは狂暴なので、捕獲の際に漁師へ攻撃を掛けます。また貪欲で獰猛(どうもう)で、同じ烏賊類を食べてしまうそうです。そんなアメリカオオアカイカは、マッコウクジラが天敵で、言い換えればマッコウクジラの大好物がアメリカオオアカイカなのです。
この巨大烏賊は、回転寿司ネタなら1匹から1,000貫分も取れ、また激安居酒屋の刺身・イカフライ、惣菜店・漬物・薫製、スルメイカ風(カット状)加工食品用に使われます。でもお客の前では刺身や加工食品のように小さくカットされて出されるので、誰も“化け物烏賊”とは分からないのです。
アメリカオオアカイカは、塩化アンモニウム関係による独特の酸味があります。そのためスーパーなどで売られる安い代表的な冷凍イカ、惣菜イカ・乾き物の燻製イカ・サキイカなどにされます。そんな安い烏賊が、回転寿司店では出されるのです。
アメリカオオアカイカのはくせい写真が、開発調査センターのサイトからご覧になれます。
当カテゴリ 「開発魚・偽装魚を見よう」のご案内ページの説明に沿ってリンクして下さい。
■本物・紋甲烏賊のミニ情報/本当の紋甲烏賊はカミナリイカのこと
話が少々ややこしいのですが、本来の紋甲烏賊とは「カミナリイカ」のことです。関東以南に生息しているのですが、激減してしまいました。そのため現在は、アフリカ西海岸からヨーロッパ沿岸で獲れる大型の甲烏賊・「ヨーロッパコウイカ」を「紋甲烏賊」と読んでいます。これでは紛らわしく、ルール違反でもあります。
そこで本来の紋甲烏賊(カミナリイカ)は、体長20~30cm、体が太く・メタボな烏賊です。体に紋のようなものがあることから、「紋」がある「甲烏賊」から「紋甲烏賊」と言われてきました。トロッした厚い身は、甘みと旨みを併せ持つ烏賊です。
回転寿司店を始め激安居酒屋・弁当チェーン・ファストフード店・惣菜店など
の安さの秘密は、こういう魚やネタを使っているからです。
偽装魚とは、本物魚の味や食感に似た外国の別種魚や深海魚のことです。