偽装魚の実態シリーズ 白身魚の偽装 鮃(ひらめ)・エンガワ
偽装魚名 アメリカナマズ・オヒョウ・カラスガレイ
エンガワとだけ書いてあるネタは巨大な深海魚カラスガレイや3mのオヒョウ
鮃の白身ネタは米国ミシシッピ州で養殖されたアメリカナマズ
■本物鮃のエンガワは高級寿司店や割烹でしか食べられない
コリコリとした食感がたまらない鮃のエンガワは、回転寿司では鮪(まぐろ)・サーモンとベスト3を競う人気ネタです。でも意外と偽装魚が使われていることを、ご存じない方がいます。そもそも本物の鮃は漁獲量が非常に少なく、中でもエンガワの部位は背びれと臀びれの付け根に少しだけしかありません。従って一般の高級寿司店・割烹や高級魚料理店でも、そうお目に掛かれる代物ではないのです。
エンガワは、鮃とは全く無縁の巨大な深海魚のカラスガレイや、化け物のような2~3mもあるオヒョウのエンガワが使われています。カラスガレイは北極海、ベーリング海、オホーツク海で獲れます。オヒョウは、東北地方以北、日本海北部、オホーツク海、ベーリング海、北アメリカ太平洋岸などです。最初にカラスガレイやオヒョウの脂が乗ったエンガワで舌が慣れてしまうと、さっぱりとして繊細な本物の鮃のエンガワを食べても物足りなさを感じるようです。残念なことです。
これらのことを知っていれば、100円で2貫もあるエンガワは、偽物とすぐ見極めができます。鮃のエンガワは穴子と同様に、回転寿司の偽装の“定番”です。しかし法律上は、回転寿司店や飲食店が偽装魚を本物の魚と表示しても、処罰の対象に当たりません。とは言え、昨今ではさすがに鮃のエンガワの偽装が少しずつ世に知れ渡ることになったせいか、お品書きには鮃のエンガワではなく、ただ「エンガワ」と書いてある店が増えました。
■鮃の白身は愕然とする米国で養殖されたアメリカナマズ
一方、鮃の白身として出されるネタは、聞くと愕然とします。米国ミシシッピ州で養殖された「アメリカナマズ」です。エンガワと鮃の白身は、全く違う偽装魚が使われているのです。このアメリカナマズは活用が多く、回転寿司店だけでなく飲食店や旅館でも鮃のお造りや天婦羅として偽装されます。アメリカ人は重要なタンパク源として食用にしていますが、日本人にはまだ馴染みが薄いようです。
アメリカナマズは、鮃とかなり食感が似ているそうです。皆様も鮃の薄造りなど、そこそこの店や居酒屋で、知らずに食べさせられていたかも知れません。回転寿司店では、このアメリカナマズは鮃の他に、真鯛、鱸(すずき)、鮎魚女(あいなめ)にも化けます。このように回転寿司店の白身魚の大半は、かなり疑わしいと認識すべきです。
オヒョウ・カラスガレイのはくせい写真が、開発調査センターのサイトからご覧になれます。
「開発魚・偽装魚を見よう」のご案内ページの説明に沿ってリンクして下さい。
■本物・鮃のミニ情報/活け締め・昆布締め~冬場が旬
本物の鮃は、樺太・千島から東シナ海まで幅広く分布し、20~200mの海底の砂の中に棲みます。体長が80cmに達するものもいて、旬は冬場です。「左ヒラメに右カレイ」と言い、目が左側にあるほうが鮃です。但し、目が左にある鰈(かれい)の種類もあるので、全て正しい見方とは言えません。
鮃の活け〆(締め)は弾力のある歯ごたえと香味、昆布〆は旨みが味わえます。何れも本来は、白身を代表する高級ネタです。ただ漁獲量が激減していることから、全国の漁協では小型のものは獲らない・漁法の変更・漁期の制限を掛けています。
鮃・エンガワにまつわる言葉は、「夏座敷と鰈(あるいは鮃)は縁側が良い」。職場の「ヒラメ社員・鮃課長」は、困り者です→上(上司の顔色)ばかりを見ている。
回転寿司店を始め激安居酒屋・弁当チェーン・ファストフード店・惣菜店など
の安さの秘密は、こういう魚やネタを使っているからです。
偽装魚とは、本物魚の味や食感に似た外国の別種魚や深海魚のことです。