少数派シリーズ/政治情勢
松尾貴史氏コラム◇使途不明な官房機密費の廃止または開示請求義務の決まりを作れ
イラストも松尾貴史氏作/投稿者より・イラストも菅前首相の見納めか?
■河井案里買収事件の1.5億円も官房機密費から出ているのではないかと推察する
投稿者の文章/前号(下記リンク)の発展版です。領収書の要らない官房機密費が、億円単位で乱れ飛ぶ実態。百歩譲って外交・テロ対策(人質)のための工作費ならまだしも、実態は昔から自民党の“お財布”替わりだ。与党自民党に有利な「小選挙区制」、自民党に有利な時期の「解散」、そして3つめがこの官房機密費(税金)を使い与党支持組織への支援、メディア対策に大金を出して有利に政権を維持できる「打ち出の小槌」になっている。この出鱈目・不公平が、長年、続いてきた。松尾氏が指摘の河井案里の買収事件になった1.5億円もここから出ているのではないか?投稿者も、かねがね思っていた。メディアも薄々感じながらも、領収書や書類などの証拠がないだけに表立って言い出せない。やはり松尾氏が仰るように、一定の歯止め・公開ルールが必要と考える。
毎日新聞の日曜版、「松尾貴史のちょっと違和感」というコラムからの記事をご紹介します。
松尾貴史氏はコラムの中で、痛烈な批判をしています。ぜひお読み下さい。
*投稿タイトル付けは、新聞の原題・原文に基づいて投稿者が行ったものです。
↓ ↓ ▽松尾貴史氏のコラム
■菅官房長官時代に領収書が要らず用途不明な100億円近い大金が使い出された
昨年9月に発足した菅義偉内閣が今年9月末までの約1年間で支出した内閣官房報償費(官房機密費)は、約13億3000万円だという。このうち、官房長官だった加藤勝信氏が使い道を決めたであろう「政策推進費」の額は約11億6000万円で、国庫に返納したのはたったの約13万円だという報道があった。よくそんなにギリギリまで使い切ったとも思うが、とにかく使えるだけやってしまえということなのだろう。菅氏が官房長官だった時の「政策推進費」の総額(86億円ほどという報道があった)を合わせると100億円近い公費だが、使い道も明かさず、領収書もいらない状態でほしいままにされるこの「秘密の使い道」が許されるカネは、なぜ存在するのだろうか。昭和の時代は、新聞記者や公共放送の政治部の記者たちに夜の接待をすることが当たり前だったようで、断る記者は少数派だったと、園田直衆院副議長(当時)の秘書時代に、その「活動」を取り仕切った平野貞夫元参院議員も述懐している。
また、大物議員に億単位で渡されたり、パーティー券を購入したり、外遊する議員に餞別(せんべつ)と称して配られたり、マスコミやジャーナリスト・政治評論家たちにばらまかれたり、ある時は議員の住居建設費に充てられたりしたこともあるという。鈴木宗男元官房副長官は、1998年の沖縄県知事選に自民党推薦で立候補した稲嶺恵一氏陣営のために「3億円使ったと聞いている」とテレビ番組の中で証言している。自民党が推薦した候補に、なぜ公費からそんな多額の金がポンと出せるのかは不可解だが、こういう文化があるのだとすれば、河井案里元参院議員の買収事件の原資の一部になっていた可能性もあると想像することは不自然ではない。そして「野党対策」にも官房機密費が支出されるらしい。使い道を明かさない金が野党にどう使われるのか、非常に興味がある。野党議員の高級紳士服に使われた前例もあるらしいが、野党の国会対策委員長らの「役得」になるということなのだろうか。
■公表して差し障りがあるなら時間差で公表するルールを作ればいいのではないか
それほどの巨額の金があっても使い切るどころか足りなくなってしまうのだという。だからといって官房機密費が膨れ上がると、さらに国民から反感や疑念を招いてしまうので、伝統的に、外交に使われるはずの外務省報償費(30億円規模)から回されることもあるという。もちろん、こちらも使途を明かす必要がなく、領収書の開示も必要なしとされるので、自由に使うことができる。この予算は、いったい何のためにあって、何のために機密扱いにされているのだろうか。隠し事で巨費を使う必要は、やましい事柄に決まっていると思うのが庶民感情だと思うが、この感覚が間違っているのだろうか。麻生太郎内閣の時代に衆院選で大惨敗した時、選挙の数日後、政権を降りる直前に何と2億5000万円を支出している。これで安全保障やら国家機密やらと言われても、全く説得力がないではないか。秘密にしなければいけない予算など、一切廃止してほしいものだ。公表して差し障りがあるなら、時間差で公表するルールを作ればいいのではないか。
SNS(ネット交流サービス)で、野党や野党議員、政権に批判的なメディアに対する誹謗(ひぼう)中傷やデマを拡散していた有名だが匿名のアカウントが、ある法人のものだということがわかった。小規模なIT企業で、主な取引先の一つに「自民党」があるという。ここがどういう資金を得て、どのような依頼を受けて、その「作業」をしていたのかは、これから明るみに出るのかもしれない。オーストリアでは、公金から報酬を渡して世論調査を操作したことが発覚して首相が辞任する騒ぎにまで発展しているが、日本ではそういった醜聞が永久に闇へ葬り去られるのだろうか。政権交代を強く訴える野党も、官房機密費の廃止、もしできないのなら官房機密費の情報開示義務の決まりを早急に作るということを公約の一つにしてほしいものだ。
前号/官房「政策推進費」は領収書要らず、毎年度末の3月に急増・必ず使い切る不思議
松尾貴史氏コラム◇使途不明な官房機密費の廃止または開示請求義務の決まりを作れ
イラストも松尾貴史氏作/投稿者より・イラストも菅前首相の見納めか?
■河井案里買収事件の1.5億円も官房機密費から出ているのではないかと推察する
投稿者の文章/前号(下記リンク)の発展版です。領収書の要らない官房機密費が、億円単位で乱れ飛ぶ実態。百歩譲って外交・テロ対策(人質)のための工作費ならまだしも、実態は昔から自民党の“お財布”替わりだ。与党自民党に有利な「小選挙区制」、自民党に有利な時期の「解散」、そして3つめがこの官房機密費(税金)を使い与党支持組織への支援、メディア対策に大金を出して有利に政権を維持できる「打ち出の小槌」になっている。この出鱈目・不公平が、長年、続いてきた。松尾氏が指摘の河井案里の買収事件になった1.5億円もここから出ているのではないか?投稿者も、かねがね思っていた。メディアも薄々感じながらも、領収書や書類などの証拠がないだけに表立って言い出せない。やはり松尾氏が仰るように、一定の歯止め・公開ルールが必要と考える。
毎日新聞の日曜版、「松尾貴史のちょっと違和感」というコラムからの記事をご紹介します。
松尾貴史氏はコラムの中で、痛烈な批判をしています。ぜひお読み下さい。
*投稿タイトル付けは、新聞の原題・原文に基づいて投稿者が行ったものです。
↓ ↓ ▽松尾貴史氏のコラム
■菅官房長官時代に領収書が要らず用途不明な100億円近い大金が使い出された
昨年9月に発足した菅義偉内閣が今年9月末までの約1年間で支出した内閣官房報償費(官房機密費)は、約13億3000万円だという。このうち、官房長官だった加藤勝信氏が使い道を決めたであろう「政策推進費」の額は約11億6000万円で、国庫に返納したのはたったの約13万円だという報道があった。よくそんなにギリギリまで使い切ったとも思うが、とにかく使えるだけやってしまえということなのだろう。菅氏が官房長官だった時の「政策推進費」の総額(86億円ほどという報道があった)を合わせると100億円近い公費だが、使い道も明かさず、領収書もいらない状態でほしいままにされるこの「秘密の使い道」が許されるカネは、なぜ存在するのだろうか。昭和の時代は、新聞記者や公共放送の政治部の記者たちに夜の接待をすることが当たり前だったようで、断る記者は少数派だったと、園田直衆院副議長(当時)の秘書時代に、その「活動」を取り仕切った平野貞夫元参院議員も述懐している。
また、大物議員に億単位で渡されたり、パーティー券を購入したり、外遊する議員に餞別(せんべつ)と称して配られたり、マスコミやジャーナリスト・政治評論家たちにばらまかれたり、ある時は議員の住居建設費に充てられたりしたこともあるという。鈴木宗男元官房副長官は、1998年の沖縄県知事選に自民党推薦で立候補した稲嶺恵一氏陣営のために「3億円使ったと聞いている」とテレビ番組の中で証言している。自民党が推薦した候補に、なぜ公費からそんな多額の金がポンと出せるのかは不可解だが、こういう文化があるのだとすれば、河井案里元参院議員の買収事件の原資の一部になっていた可能性もあると想像することは不自然ではない。そして「野党対策」にも官房機密費が支出されるらしい。使い道を明かさない金が野党にどう使われるのか、非常に興味がある。野党議員の高級紳士服に使われた前例もあるらしいが、野党の国会対策委員長らの「役得」になるということなのだろうか。
■公表して差し障りがあるなら時間差で公表するルールを作ればいいのではないか
それほどの巨額の金があっても使い切るどころか足りなくなってしまうのだという。だからといって官房機密費が膨れ上がると、さらに国民から反感や疑念を招いてしまうので、伝統的に、外交に使われるはずの外務省報償費(30億円規模)から回されることもあるという。もちろん、こちらも使途を明かす必要がなく、領収書の開示も必要なしとされるので、自由に使うことができる。この予算は、いったい何のためにあって、何のために機密扱いにされているのだろうか。隠し事で巨費を使う必要は、やましい事柄に決まっていると思うのが庶民感情だと思うが、この感覚が間違っているのだろうか。麻生太郎内閣の時代に衆院選で大惨敗した時、選挙の数日後、政権を降りる直前に何と2億5000万円を支出している。これで安全保障やら国家機密やらと言われても、全く説得力がないではないか。秘密にしなければいけない予算など、一切廃止してほしいものだ。公表して差し障りがあるなら、時間差で公表するルールを作ればいいのではないか。
SNS(ネット交流サービス)で、野党や野党議員、政権に批判的なメディアに対する誹謗(ひぼう)中傷やデマを拡散していた有名だが匿名のアカウントが、ある法人のものだということがわかった。小規模なIT企業で、主な取引先の一つに「自民党」があるという。ここがどういう資金を得て、どのような依頼を受けて、その「作業」をしていたのかは、これから明るみに出るのかもしれない。オーストリアでは、公金から報酬を渡して世論調査を操作したことが発覚して首相が辞任する騒ぎにまで発展しているが、日本ではそういった醜聞が永久に闇へ葬り去られるのだろうか。政権交代を強く訴える野党も、官房機密費の廃止、もしできないのなら官房機密費の情報開示義務の決まりを早急に作るということを公約の一つにしてほしいものだ。
前号/官房「政策推進費」は領収書要らず、毎年度末の3月に急増・必ず使い切る不思議