魚を大事にしない日本人シリーズ R6-7
ROUND6 頼みのツナ(マグロのプロフィール・枯渇防止)
マグロは外洋で泳ぐ環境に合わせて体形・鰭(ひれ)が進化した
このROUNDは、マグロの生態や枯渇防止の説明をしております
相違を分かりやすくするために、マグロと白身魚の代表とも言える鯛(たい)を比較して見ましょう。鯛に限らず、沿岸や岩場の複雑な地形の海底に棲む魚は偏平が多いのです。特に鯛は、胸鰭(むなびれ)が発達しています。それらは狭い岩場をすり抜けたり、いざという際には俊敏に泳げるようにするためです。瞬間的にストップ、バックもできるそうです。一方、マグロは外洋で直線的に泳ぐことから、普段は背鰭(せびれ)、腹鰭(はらびれ)の使用は少なく、既号のように体の窪みに折り畳んで格納されています。
次に、鯛は鎧のような頑丈な鱗(うろこ)を持っています。これは体を守るためのもので、岩場に当たって身を傷めないように鱗が発達しました。マグロは外洋を回遊するので、大きな鱗は泳ぐ邪魔になってしまいます。外洋では体が物に当たることは全く想定していないため、鱗が退化したと思われます。マグロは、非常に肌が弱く繊細だそうです。双方の特徴を少しずつ持っているのが、沿岸を回遊する青魚です。このようにマグロ・鯛などの魚は、それぞれの環境に合わせて進化してきたのです。
常に泳いでいなければならないマグロは、眠るのでしょうか?外洋での生態は、分からないことが多いようです。しかし葛西臨海水族園は、夜になると水槽にうっすらと常夜灯を付けます。すると時速数km以下でゆっくり泳ぐ始め、恐らくその時が睡眠ではないと思われています。マグロの生態に対し、舌ったらずの説明でしたが、一旦、終わります。マグロの刺身、回転寿司でマグロの握りを食べる時、少しは、今まで説明したマグロそのものの“人生”を思い出して下さい。
マグロのひれ図 (上図)
◇遊泳中は、胸びれが水平に開きます。背びれ・腹びれは、普段、体の窪みに格納されています。
◇スピードを減速する場合などは、格納されていた背びれ・腹びれが開き制御します。