メチル水銀の影響から妊娠女性のクロマグロ摂取を８０ｇ・週１回に制限／魚を大事にしない日本人Ｒ７－８

魚を大事にしない日本人シリーズ　Ｒ７－８
ＲＯＵＮＤ７　怖い！マグロのダイオキシンとメチル水銀
メチル水銀の影響から妊娠女性のクロマグロ摂取を８０ｇ・週１回に制限



■マグロ８０ｇの量とは刺身１人前、寿司なら４～５貫
メチル水銀の怖さ１／ここからは２番目の大きな注意点、「メチル水銀」の問題です。だいぶ以前ですが、厚労省は「妊娠女性と妊娠している可能性がある女性に対してクロマグロ（本マグロ）への注意事項」を発表しました。クロマグロは、１回８０ｇとして週１回までの摂取制限をしたのです。メチル水銀は毒性が非常に強く、妊娠女性の場合は流産や奇形児が産まれる危険性が高まります。マグロを食べてはいけない！と言っているのではありません。妊娠女性が、胎児に及ぼす影響を考えての規制です。
補足・既号と同一文／日本小児科学会が「奇形という用語が患者や家族の心情を傷つける表現だ」という提案に対し、日本医学会は『形態異常』に変更する見込みです。当ブログでは、その間は従来通りの表現とします。

８０ｇの量とは、刺身は１人前、寿司なら１貫のネタの重さは約１５～２０ｇなので、４～５貫が目安です。回転寿司店の握りは比較的ネタが大きいので、数量はさらに控えるべきです。何事にも対応が遅い厚労省が２回も注意を出したことは、マグロなどの大型魚・鯨や海の底にいる魚はそれだけ汚染されていることを証明しています。調理で焼く・煮るなど加熱しても、メチル水銀は消し去ることはできません。従って、できるだけこれらの魚介類は食べることを少なくすべきです。

メチル水銀は、ダイオキシン類と同様に身体に溜まりやすい物質です。メチル水銀の濃度が高い魚を食べ続けていれば、妊娠中を始め、出産後も水銀値は身体内で蓄積されたままの状態になってしまうのです。出産は人生にそうあることではないので、その時ぐらいは回転寿司を始め、スーパーのマグロでも特にトロや養殖魚は控えるべきです。栄養は青魚や他の安全な食材（食肉・野菜など）から摂って、元気な赤ちゃんを産んで下さい。

▽妊婦および妊娠している可能性がある女性が食べても差しつかえない魚介類の摂取量／図表

出典：厚労省（投稿者編集済）
上記の項目の上に行くほど汚染されています。
※後号で説明しますが、イルカは鯨の一種なのです。

■メチル水銀の影響を考え一般の方もマグロは食べ過ぎないこと
厚労省やＷＨＯ（世界保健機関）の国際安全基準ができるほど、マグロは相当に汚染されているのです。メチル水銀は、神経を破壊して感覚障害や運動失調をきたします。専門家は、妊娠女性と妊娠している可能性がある女性（出産前）はもちろんのこと、出産後も、また小さな子供、一般の女性・男性の方もあまり食べるべきではないとしています。

日本人が摂取する総水銀量のうち、８４％が魚介類から・残り１６％が他の食品からです。メチル水銀といえば、新日本窒素肥料（現・チッソ社）が水俣湾に垂れ流し、水俣病の原因になった物質です。時々、ＴＶニュースなどで、当時の被害者の悲惨な病状を見ます。認定者は２千人強、でも実際の被害者は数万人とも言われています。チッソ社の対応は、杜撰・無責任極まるものでした。また高度経済成長の最中は公害は無視（抹殺）され、ひたすら経済ばかりを追い求めた誤った国策の結果なのです。

メチル水銀の発生原因は、そもそも日本が火山国であること・産業が工業主体であることが起因します。火山や地殻から、また化石燃料の燃焼などによって水銀が発生します。日本はかつて水銀の産出が盛んであり、精製時または水銀を使った製品の製造過程で、拡散・垂れ流しが横行した歴史が残っています。ダイオキシン類と同様に、大気や海に流れ込んだのです。水銀使用の製品は、体温計・血圧計、蛍光灯・乾電池、医療品・ワクチン・虫歯治療充填剤、化粧品、農薬などです。但し時代と共に水銀の使用を禁止・減少、あるいは今もって使用している生活用品が混在しています。人為的に、大地・沿岸に拡散されたメチル水銀量は計り知れません。