今月は、大道芸で活躍する若手ストリートクラウン、しもとり ゆうさんの日記をお届けします。
2019年11月21日
こんにちは!「パントマイムの歴史にはそんな出来事があったのか」「この人はこんな文章なのか」と密かに楽しんでるこの『月刊パントマイムファン』に寄稿できることに小躍りして喜んでます“しもとり ゆう”です。今回、この媒体に載せてもらう機会を得てうれしいです☆
この記事はぼくが最近、力を入れている「Googleとパントマイム」のことについて書いていきます。
検索する際に使われるツールの代表格、Google。
みなさんはパントマイム関連の検索をされたときに「どうすれば自分のことを知ってもらえるのか」「自分のサイトにたどり着いてもらうにはどうすればよいか」と考えたことはないでしょうか?この頃こんなことばかり考えて書籍読みまくってるので、今回は『Googleにおけるパントマイムというキーワードの実情』をさわりだけ解説します。
「おいおい、そんなことより『しもとり』?聞かない名前だねぇ。お前さん、いったい誰なんだい?」そんな声が聞こえてきそうです。
簡単に、2行で表します。
- 山本光洋氏にパントマイムを習いはじめて10年たちます。
- 大道芸やってます。
自己紹介もすんだところで、Google検索の話を。ちなみにこの記事、読むのに10分くらいかかる文量あります。一度一番下までスクロールしていただければわかりますが、結構長いのでお時間のあるときにお付き合いいただければありがたいです。
「パントマイム 壁」みたいな
Google検索の秘密
ぼくは先人の方々がパントマイムを教えていたり作品を演じている状況というのが結構好きです。60歳を超えてもなお作品を演じたりパントマイムを教えてる姿をみて「芸事に定年なんてない」と自分の非力さと先人たちの偉大さをひしひし感じてます。
しかし、なんでも検索できるようになった昨今パントマイムを自分もやってみたいと思った人が最初に取る行動は「GoogleもしくはYahoo!で検索」です。Yahoo!は現在Googleの検索システムを採用しているので実質Googleで検索しているのと同じです。
ぼくは芸歴の長い人がパントマイムを教えていることを贅沢だとさえ思っています。ですが、パントマイムをやってみたいと検索した人間に教えているのはパントマイムなんかやったこともなさそうなヤツが書いた記事ばかりだったのです。
パントマイム関係ないやつが
パントマイムのこと書いて上位とってる事実
驚きました。
マイムなんてやったことも無さそうなやつがのうのうとマイムに関する記事を書き、Googleで
「パントマイムとは」
「パントマイム やり方」
って検索された際に上位に表示されそれなりのアクセスを集めていたのです。ちゃんとやってる人がちゃんと教えてるのは、ふつうなことですし当然だと思います。でも、これはちょっと許せなかったです。
事実、2019年11月現在「パントマイム やり方」で検索すると以下の画像のように表示されます。
1位と3位がダンス系のサイトで独占されています。
また5位はNAVERまとめというサイトですし、6位は自称「どこにでもいる普通のアラサーリーマン」が書いていました。7位は1位のサイトからの転載で言うなれば外野です。
ちゃんとした情報は4位の「パントマイムのやり方」と8位と9位に神雅喜さんのサイトくらいでした。
つまり、1ページ目に表示される10のサイトのうち、パントマイム畑以外の人間が書いたと思われる記事が7つもあったのです。
「パントマイム やり方」というキーワードは月間でおよそ90回〜110回検索されているんですが、クリック率から計算すると以下のような結果になります。
1ヶ月にクリックされる回数 | |
---|---|
1位と3位のダンス系サイトの合計 | 45回くらい(2つあわせて) |
4位のサイト | 8回くらい |
8位の神さんのサイト | 1〜3回くらい |
ぼくはこれを知ったとき、「この状況どげんかせんといかんばい。」といてもたってもいられなくなりました。
「パントマイムってなんだろう?」とか「パントマイムの壁ってどうやったらいいの?」っていう疑問を持った人への入り口が、パントマイムをやってない人間の書いた記事にたどり着くという事実に戸惑いを隠せなかったんです。
だって、「パントマイム やり方」の検索結果1位が「3つの動きで覚えるパントマイム」ですよ?3つの動きでパントマイムできるわけねーじゃないすか。タイトル詐欺じゃねぇかと思って中身をみるとやっぱり3つの動きなんてなんもでてこねーんすよ。そこには壁とロープと階段のことをちょろっと書いてYou tube動画貼り付けた記事がありましたとさ。おやおや。
ここで1位のサイトの記事から結びの文字を引用してみます。ちなみにこれはぼくの独断と偏見ですが、この記事の筆者はパントマイムやったことないと思います。
いかがでしたでしょうか?パントマイムは一見すると難しそうに感じるかもしれませんが、初心者でも独学で十分に上達することができます。
どの口が言ってるんだよ!?
なぜこんなことが起こるのか
なんでこんなことが起こるのかというと、理由は2つありまして。
1つはパントマイムをやってる人でGoogleの検索結果の上位を狙う(SEO)人がほとんどいないこと。結果、SEOを意識しているパントマイムの記事の中で、プロのパントマイミストが書いたものはほぼない。
もう1つは、部外者が記事を書いても検索結果で1位がとれるので、狙われやすいからです。
後者をちょっと詳しく解説しますね。
まず、わかりやすい身近な例をあげます。
最近、パントマイム協会が発足しました。
2019年現在Googleで「パントマイム」と1語で検索するとパントマイム協会のページが上位にきます。
Googleは専門性/権威性/信頼性を重要視してきているので「パントマイム」というキーワードでパントマイム協会が検索結果の上位にくるのももっともなことです。
では、パントマイム協会のURLをみてみましょう。
http://www.souki-mime.com/association/officer.html
URLの.comや.co.jpより前の部分をドメインと呼びます。上記の灰色で示された箇所がドメインです。このURLの前半部分に注目するとsouki-mimeとありますね。実はパントマイム協会のドメインはSOUKIさんのサイトです。
その結果なのか「パントマイム 教室」で検索すると2019年11月現在SOUKIさんのサイトが上位にきます。
おそらくGoogleに「このサイトはパントマイムについて上位に表示するべきサイト」と認識されているのでしょう。
ここまでは大丈夫ですよね。ここからよくわからなければ2つ下のオマケまで読み飛ばしていただいてもOKです。
Webの世界では検索されたキーワードに対して上位をとれれば、流入が増えサイトを閲覧する人が増えます。
検索した人間が検索結果の記事に満足すればドメインの評価があがります。(どう満足したかは滞在時間などから算出されます)
ドメイン(www.~.co.jpみたいな文字列。サイトの住所)の評価があがると、なんと他のキーワードでも上位が取りやすくなるんです。
先ほどの例でいうと、パントマイム協会のサイトでドメインの評価があがり他のキーワード(例えば「パントマイム 教室」)でも上位をとりやすくなったということです。
今の検索エンジンは「ドメインの強さ」を評価します。
そして、ドメインが強ければ強いほど、そのドメインの中で公開された他のページも上位表示されやすくなるんです。
検索されるキーワードの中には1位を狙いやすいものもあれば、競合がひしめいていて全然上位に行けないキーワードもあります。
パントマイム関連のキーワードはぶっちゃけ上位を狙いやすいものが多いです。そのため外部から狙われやすかったのかもしれません。
ちょっと話が広がりすぎてきたのでまとめると、
難易度の低い「キーワード」でGoogleの検索結果で上位になる
↓
流入数が増える
↓
ドメインの評価があがる
↓
他の競合の多い難易度の高い「キーワード」でも上位が狙いやすくなる
この流れを期待してダンス畑の人がパントマイムの記事を書いたとぼくは推測しています。
Google検索の結果は常に変化する
この検索順位というのは実は日々変動します。ですので1ヶ月後に検索すると全く違った結果になったりします。日々たくさんの記事コンテンツが生み出され、より良い内容の記事が生まれれば検索結果もよりよいものを上位にしようと日々変化するからです。
更にいうと、実は検索した場所によっても結果が変わってきます。東京にいて「パントマイム 教室」と検索するのと、大阪で「パントマイム 教室」と検索すると違った結果がでてきます。(ローカライズといいます)
もっというと、その人の検索履歴から人によって結果は変わってきます。例えば「大道芸 おすすめ」とか「ロボットダンス」と検索したことのある人が検索する「パントマイム 〇〇」の検索結果とサックスとか音楽関係の人が検索する「パントマイム 〇〇」の検索結果(世の中には”パントマイム”という名前の楽曲があるのです)は全く変わったものになるんです。(パーソナライズというんですが、最近はほとんどパーソナライズされないという主張も増えてきました)
また、画面の小さなモバイル端末で検索するか画面の大きなパソコンで検索するかでも検索結果は変わります。
ぼくの態度
幸か不幸か、パントマイムの検索需要は他に比べると非常に少ないので、先ほどの外野メディアもパントマイムの記事に力を入れてないことに気づきました。
そんな中、弱小のぼくでも「パントマイム 〇〇」と2語以上の検索キーワードなら上位表示ができそうということがわかってきました。それがわかったとき、「パントマイム 〇〇」の記事を書きまくると決意しました。
ちなみにパントマイムの教室をなるべく公平に9つ選ぶという記事を書きました。その教室の出身者とかもわかる範囲で書いてあるので、もし「ここ出身じゃないんだけど?」とか、「こっちも載せてくれよ。」とかありましたら連絡ください。(p.s. 万助さんは、今もパントマイム教えてるんでしょうか・・・?)
オマケ、検索需要
最後にぼくからクイズを1つやって終わります。
「パントマイム 〇〇」と2語で検索される際に月間で一番検索されるキーワードは一体なんでしょう????「パントマイム 〇〇」という形でお答えください。」
いいですか?正解発表の時間いっちゃいますよ。
これは2018年11月〜2019年11月の1年間の検索数から導き出された(年間ではなく月間の)検索量の結果ですが、
「パントマイムとは」・・・480
に対して、その次にランクインしたのは
「パントマイム 長州」・・・390
でした。
え?「パントマイム 長州」???
ここでパントマイムに関わるあなたに残念なお知らせです。
「パントマイム 長州」とは九州にあるハンバーグのおいしい喫茶店の名前です。
この「パントマイム 長州」というキーワードの方が「パントマイム 壁 やり方」なんかよりもはるかに検索需要が高いんです。
「パントマイム 壁」が月間検索数90に対して、
「パントマイム 長州」の月間検索数390という結果。
いやぁ、パントマイムの需要のなさが浮き彫りになっちまいそうです。
調べたら世の中には「パントマイム」という喫茶店の他にも、「パントマイム」あるいは「ぱんとまいむ」と名のつくものがいくつも存在していました。
ぼくが調べられた範囲では
- 楽曲名
- (中目黒の)占い師
- パン屋
- 子供服のセレクトショップ
- Tシャツのプリントショップ
というパントマイムが存在していました。
皆さん、他にいいネーミングなかったんでしょうか。
こんなときはみんなで叫びましょう!
Everybody say!
「他の名前なかったのかーーー!」
現場からは以上です。
ここで再び自己紹介
はい、記事の本編は以上です。
気づいたら4000字も書いていました。
冒頭で述べたようにぼくは今、大道芸をメインで活動しております。
先日、Twitterであることをつぶやいたらフォロワーが5〜6人増えました。
きっとこのつぶやき(Tweet)はぼくのことを表現するのに申し分ないので貼り付けますね。
https://twitter.com/miracle_phoenix/status/1185401462190292992
自己紹介▶パントマイム系大道芸人の“しもとり ゆう"と申します。
— しもとりさん (@miracle_phoenix) October 19, 2019
人形と2人でスラップスティックコメディーのようなものを追求してます。→動画参照
注:人形は生きてません笑"
パントマイムに全てを注ぎすぎてしゃべるのを忘れがち。
公式:https://t.co/2EcXivYuGN pic.twitter.com/SOg2LgAoEs
40秒くらいの動画なんですが、これがぼくのすべてを表しているといっても過言ではありません。Twitterで流れると動画が自動再生されるんですが、ここに貼り付けても自動再生されないっぽいのでぜひご覧ください。音声なしの40秒動画です。
最近までは上記の人形の芸のクオリティーを爆上げするための期間と位置付けていました。ぼくは「どうやったらパントマイムだけで食っていけるようになるんだろう」とひたすら悩み、たった3〜4分の作品に5〜6年向かい合ったのです。
その結果、自分が今どんな状態にあるかというと、そうですなぁー、どうにかこうにかバイトせずに最低限度の生活が「できる」の兆しが、ようやく見えてきた・・・のかも・・・くらいのところです。夜明けでいえば天文薄明くらいの感じ。
これからは自分の芸、作品を増やすとともに自分の活動を広く宣伝していく活動も必要だなと思い立ち、Googleで検索されるためのSEOという分野についていろいろと勉強しはじめました。
そして、先日ようやく1件、自分のWebサイト経由でパフォーマンスの依頼をいただくことができました。自分の芸を直接観たことない方からも依頼をいただけてうれしい限りです。
Web制作って独学で始めるとデザインだけじゃなくてコーディング(HTMLやCSSなど)、SEO、Webライティングなどなど芋づる式に勉強しなきゃいけないことが出てきます。でも、5〜6年前は絶対にたどり着けなかった情報が今じゃ簡単に手に入るので、やり直すなら今がおすすめです。
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しもとり ゆう
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