キットの組み立てガイドは、必要最低限の内容でした。というか、組み立ての手順も全てが示されずに主な箇所だけを並べ、あとは製作者が考えて分かるだろうという前提で省略してありました。大まかというか、大雑把というか、大らかというか、よくあるアメリカーンなスタンスでした。
パーツ一覧図からしてこんな感じです。小さなものは何のパーツか分かりません。実際のパーツはこんなにシャープに成形されていませんから、探し出すのにも手間取りました。全部で64個ですが、実際には成形不良や破損分が含まれていて、予備すらも破損していたりで使えなかったものが5個ほどありました。これらはプラ板やジャンクパーツなどで置き換えています。
この黒いのは何だろう、と思って探したところ、エッチングパーツの全体図でした。使用するのは下のABCDの4つだけのようですが、実際にはもう一つのパーツが必要でした。これをEパーツとしておきました。
組み立てガイドでは見本図面も省略されていますので、ネットで上掲の4面図を探し出しまして、参考図にしました。というか、この図があって初めてキットの組み立ての全ての工程がイメージ出来ましたし、組み立てガイドに載っていないパーツの取り付け位置なども分かりました。
しかも、キットをそのまま組み立てると作中車とはちょっと違う姿に仕上がります。上掲の図面は、有り難い事に作中車のタイプでしたので、一番の図面資料として活用しました。
パーツ類を袋から出して、下ごしらえにとりかかりました。こうしたガレージキット製品では、だいたいバリなどが付いていますので、カットして整えます。成形不良の部分はプラ板やパテなどで埋めます。パーツの多くは離型剤がベタッと残ったままですので、中性洗剤などで洗い落とします。
洗浄後の状態です。パーツの表面からヌルヌルした離型剤が落ちて、ザラザラした感触に変わりました。歪んだり反ったりしているパーツは、お湯に入れて是正をはかりましたが、完全に直すまでには至りませんでした。
上図は車体の主な構成パーツですが、なんと車体の左右で8ミリも寸法が異なっていました。バリの表面に金型ズレの痕跡がみられましたので、どうやら金型がしっかりと合わさっていない状態でレジンを流し込んで成形したもののようです。これは修正がききませんので、目立たない程度に削って左右の寸法差を出来るだけ縮めるより他に方法がありませんでした。
結果的に半分の4ミリ程度に縮めましたが、これで仮組みしたところ、左右が僅かにズレるかな、といった感じにおさまりましたので、それで妥協することにしました。
ガレージキット製品は、軍艦艦艇のキットで何度か経験していますが、船の場合は方形パーツの繋ぎか積み重ねで大体の形が出来上がるので、細部に歪みがあったり破損していたりしてもフォローが出来るケースが殆どです。複雑な形状のパーツはあまりありませんから、不良品があったとしても、プラ材やジャンクパーツで置き換えて解決出来るのが普通でした。
ですが、今回のキットのようなAFVものは、パーツが複雑な形状をしているものも少なくなく、それに歪みがあったり破損していたりすると補填がきかず、代替品も見つからない事が殆どなので、欠陥パーツであっても出来るだけ直して使うより他に方法がありません。そのあたりが難しいところです。
さらに頭を抱えたのが、履帯のパーツの不良品の多さでした。今回のT7コンバットカーは車輪と履帯の大きさが目立つので、この二つのパーツだけはどんなことがあっても形を整えて組み立てる必要があります。
ところが、履帯のパーツは一枚から数枚連続までの複数があり、それらの約四分の一ほどが折れていたり、欠けていたりしました。多めに入れてある予備パーツに置き換えても定数には届かず、プラ材を使って折れた部分を繋いだり、欠けた部分にバリなどの断片を嵌めて形だけは直したりしました。この作業に3時間を費やしました。
洗浄と整形が終わったパーツは、組み立て工程ごとに袋に詰めて、紛失しないように心がけました。
不良品が多かった細かいパーツの多くは、これまでに制作したアスカモデルのキットの余りパーツなどに同じものがありましたので、置き換えました。またドラゴンのパーツ類も幾つか転用することが出来ました。
既にサンダース大付属高校チームの車輌は各種あわせて12輌を製作していますので、それらの余りパーツや不要パーツが大量にあり、今回の製作で役立つことになりました。
履帯のパーツも苦労して修理して、なんとか定数を揃えることが出来ました。組み立て前の準備だけで一日が終わってしまいました。ガレージキットというのは、とにかく楽には作れない代物です。昔は艦船キットで色々苦労したけれど、AFVキットではもっと苦労するなあ、と思います。 (続く)