一人で過ごす日曜日
今頃 東京ではHSAのシンポジウムが・・・
興味深い講座の内容と 販売ブースで売られているであろう
めずらしい素材やグッズに思いをはせながら
(行きたかったの!でも東京までの交通費・・・はぅ)
3月4月の季節の石けんのサンプル作成をしました(今頃)
写真はそんな一連の作業の数コマ
・・・は置いといて
「石けん作ってます」「石けん教室やっています」
ということが 少しずつ整骨院の患者さんたちにも広まってきているのですが
ここのところ 何人かの方々に
「廃油の石けんでしょ。臭いがねー クサイのよね」とか
「もらった廃油石けんで手を洗うんだけど いつまでもぬるぬるするから
結局そのあとで市販の石けんで手を洗っている」
なんて話をされました。
もしかして そう誤解されてる方が多かったりするのかしらん?
廃油石けんのイメージで手作りせっけんを苦手とされているとするならば
それはとても残念なことなので
ここで 違いをはっきりさせておこうと思います。
(ちょっと長文になりそうな予感)
結論からいうと
「手作りせっけん」イコール「廃油石けん」ではありません。
手作り石けんの材料となるのは「油脂」「水」「苛性ソーダ」です。
「油脂」にはスーパーなどでも買える身近な材料を例にすると
オリーブオイルやゴマ油、ひまわり油、米油、ココナッツ油、牛脂、ラードなど
いろいろあります。
ワタシがいつも作っているのは これらの食用グレードだったり
化粧品材料として販売されているグレードの新しい油です。
なので 完成した石けんで顔も身体も普通に洗えます。
一方「廃油石けん」の材料となるのは「廃油」
てんぶらなど揚げ物をしたあとの油だったり 開封して時間がたち
酸化して いわいる「油臭い」独特の鼻につく臭いのする
「廃棄するしかない油」です。
廃棄するくらいならリサイクルしようということで
それを材料に石けんに加工したものが「廃油石けん」です。
(エコの視点からするとナイスアイデア!ですよね)
ここで そもそもの話に戻りますが
「廃油石けんでしょ、臭いがねー クサイのよね」
原材料となる廃油の臭い いろんな食べ物の臭いが移ったり
酸化した油の臭いだったりは石けんにしたところで消えません。
香料をいれてマスキング(ごまかす)するといっても限度があって
そもそもの廃油の臭いが消えるわけじゃないのです。
だから クサイ。
「もらった廃油石けんで手を洗うんだけど いつまでもぬるぬるするから
2回廃油石けんで洗って結局そのあとで1回市販の石けんで手を洗っている」
これは論外!
「いつまでもぬるぬるする」は 石けんのぬるぬるじゃなくて
もしかしたら皮膚細胞が溶けているヌルヌルかも!です。
そもそも廃油石けんは手を洗ったり肌に使うには向きません。
なぜなら
石けんの材料のひとつである「苛性ソーダ」
これは 油脂を石けんに化学変化させるために必要な薬品なのですが
同じ1kgの油を石けんにするときに必要となる苛性ソーダの量は
オリーブオイルだったら130g、ココナッツ油なら180g、菜種油なら120g・・・
という具合に油脂の種類によって変わります。
なので 顔を洗ったり身体を洗ったりする石けんを作るときは
どの種類の油脂をどれくらい配合するかによって
正確に肌に刺激とならない苛性ソーダの必要量を計算します。
一方 廃油石けんの場合は というと
廃棄処分する油の寄せ集めである廃油は その中にどの種類の油脂が
どれだけ入っているかなんてわかりません。
じゃ、いったいどれくらいの量の苛性ソーダが必要か?
量が足りなかった場合は石けんにならないので
一般的に『過剰に』苛性ソーダを入れます。
わかりやすく数値でいうと とてもざっくりとですが
普通は植物油によってそれぞれ0.13~0.18%くらいの苛性ソーダを
必要とするところ、廃油石けんの場合は全体の油の量の0.2%くらい
いれるというのを聞いたことがあります。
苛性ソーダが過剰な分、出来上がりの石けんのアルカリ度は高く
皮膚には刺激が強くなります。
皮膚はタンパク質でできているので アルカリ度が高いと
溶かされてしまうのです。
だから 廃油石けんは「襟汚れ」「スニーカー汚れ」など
『モノ』を洗うのに使ってくださいね とされ
おそらく「洗う際には手袋してね」と注意をされる(はず)と思います。
手袋してね=肌に刺激あるから注意してね です。
極端な話ですけど
身近な「アルカリ性」(アルカリ度が高い)の洗浄剤といえば
お風呂のカビ取り洗浄剤とか。
過剰なアルカリの石けんはこれと同等なものになりえるって話です。
一般的に肌の洗浄に適さない、モノ洗い用の廃油石けん
肌の洗浄を目的とした手作りせっけん(教室で作っている石けん)
違いをご理解いただけましたでしょうか?
それぞれの良さを使い分けて石けんライフを過ごしていただけると嬉しいです。
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