2018/3/28, 中国政府が世界各国の高等教育機関に設置している「孔子学院」について、米共和党議員が監視強化を目指す法案を提出した。中国共産党の思想宣伝やスパイ活動に利用されているとの疑念がもたれ、米連邦捜査局(FBI)の捜査対象になっている。日本の14大学にも孔子学院は存在するが、どんな対応をしているのか。 孔子学院は世界146カ国・地域に525校、日本には14校設置されている。小規模な孔子課堂(教室)は世界に1113カ所、日本には8カ所ある。中国教育省傘下の国家漢語国際推進指導小組弁公室(漢弁)が開設資金や助成金を拠出しているとみられる。 中国語教育の国際化や中国文化の紹介が目的というが、米国では共産党の思想宣伝に使われるとの批判が高まり、2014年に米国大学教授協会が、同学院が各大学に関係断絶を要求、シカゴ大やペンシルバニア州立大学などが閉鎖を決めた。 今年2月にはFBIのレイ長官が、孔子学院は捜査対象だと明言。中国人留学生や在米の人権・民主化運動家の監視に活用されているとも指摘された。3月21日には共和党の3議員が外国人登録法に基づく登録を義務付ける法案を提出した。 日本で孔子学院を設けている私大をみると、受講料は数万円程度で、受講者を在学生のみに絞る大学では学費や入学手続きは不要で、一般の受講が可能な大学でも在学生は半額で受講できるところが多い。水墨画や書法、中国茶、太極拳、漢方などの講座も開かれている。運営費用は誰が出しているのか。孔子学院を設置している大学の担当者に聞くと、「大学の資金に加え、中国の孔子学院の本部に予算を申請して承認された上で費用が下りる」(早稲田大)、「中国政府から補助金として受け取る」(札幌大)、「大学と国家漢弁が五分五分で費用を出している」(大阪産業大)との回答だった。 米国の「反孔子学院」の動きについて尋ねると、「本学と北京大学が協力して日本の実情に合った運営をしている」(立命館大)、「米国は、日本のように中国と数千年以上の交流がなく、免疫がないから騒ぎ立てているのかもしれない。費用を受けていても『プロパガンダをやれ』と言ってきたこともない」(福山大)との見解もあった。 孔子学院を有する私大に在学していた20代男性は「授業は普通だったが、先生と仲良くなり、家などに呼ばれると政治的な話になったりする」と明かす。 別の私大関係者は「孔子学院での講師経験は中国に帰った後で出世のツールになる。それだけ日本の孔子学院を中国側が利用しようとしているのではないか」と話す。 拓殖大客員教授の石平氏は「教育活動自体に問題があるわけではないが、中国が慈善事業でやるわけはなく、広義での工作機関といえる。背後に共産党の対外宣伝部があり、思想や心理面などでの宣伝戦略の一端を担っている」と指摘する。
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180328/soc1803280012-n2.html
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