Q3. =池冨 仁=近年のコベストロは、投資活動を活発化させています。この10月には、米国のベイタウン(テキサス州)で、汎用素材であるポリウレタンの原料となるMDIプラントへ約15億ユーロ(約1930億円)もの大型投資に踏み切ると発表しました。
A3. =コベストロ、」スタイレマンCEO= ベイタウンの既存の設備などに対する今回の新設計画は、単独の投資としては過去最大の規模になります。老朽化した硬質ウレタンフォームの原料であるMDI (ジフェニルメタン・ジイソシアネート)(注3.1)プラントを閉鎖し、新たに年産50万トンの最新鋭MDIプラントを立ち上げる。北米でのMDIの生産能力は74万トンになる。本格的な稼働は24年を予定していますが、それまでに北米地域におけるリーダー企業のポジション(世界1~2位)を確立することになる。MDIは、例えば大小のビルや冷蔵庫などの断熱材(硬質フォーム)になる原料で、コベストロでは長期的に年間約5%の成長が期待できると分析しています。それだけ需要が伸びると見ているのは、MDIと比べると性能面で問題があったり環境面での対策を取っていなかったりする既存の材料を代替するという需要が増えるからです。また、よりエネルギー効率の高い断熱材が求められるようになる流れの中では、技術やノウハウの蓄積がある私たちの出番が増える。
(注3.1)ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4`-Diphenylmethane diisocyanate,C15H10N2O2)
は、通常MDIと略され、芳香族ジイソシアネートのひとつである。MDIには、2,2'-MDI, 2,4'-MDI及び4,4'-MDIの3種類の異性体が存在している。4,4'-MDIは、モノメリックMDIとして知られている。ポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)は、モノメリックMDIと高分子量のポリイソシアネートの混合物である。MDIは、主に、硬質及び軟質ポリウレタンフォームや、塗料・接着剤・エラストマーの製造に使用される。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%8B%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%A4%E3%82%BD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%88
Q4.昔ながらの材料でリプレイスが進むことは分かりますが、「エネルギー効率の高い断熱材が求められると出番が増える」というのは、どういうことですか。
A4. 実際の例で、お話ししましょう。 ある国の顧客から「環境規制が強化されたことで、これまでより優れた性能を持つ断熱材が必要になった。ただし、エネルギーの消費量を高めることなく、断熱性能だけを高めてほしい。しかも、既存の生産ラインに新しい設備投資を必要としない、新しいソリューションはないか」と相談されました。 私たちは現場に赴いて、実際に生産ラインで使われている断熱材の化学組成を徹底的に解析しました。そして、コベストロとして「断熱材に使われているウレタンの泡(気泡の大きさ)をより小さくすることで、断熱性能を高める」という解決策を提案した。このやり方だと、顧客のリクエストは全て解決できますし、既存のスペースで収まります。顧客は新しいやり方に切り替えたことにより、専有面積が同じままで生産量が10%も伸びたそうです。顧客の近くにいるからこそ、このようなソリューションが可能になる。 MDIに関しては、ドイツでも19年中に年産20万トンから40万トンへ能力を倍増させる計画が進む。加えて、米国の新規プラントが立ち上がれば、その時点でコベストロの生産能力は、北米(24年までに年産74万トン)、欧州・中東およびアフリカ(22年までに年産82万トン)、アジア・太平洋(21年までに年産67万トン)と、世界のMDI市場における影響力やプレゼンスが高まる。その他の地域、スペインや中国、ベルギーの生産拠点との連携なども考えています。 私の立場はCEOですから、長期的な視点からグローバルに成長できる機会を求めています。MDIに限らず、さまざまな製品で“統合経営”を加速させたい。
Q5. =池冨 仁=、エネルギー効率を高くするという意味では、自動車業界・部品業界向けの「軽量化」があります。コベストロでは、“空飛ぶ実験室”と言われるソーラー・インパルス・プロジェクトにも関わっています。具体的には、どのような技術で協力しているのですか。]
A5. =コベストロ、」スタイレマンCEO=、これは「太陽光発電だけを唯一の動力源とする飛行機で世界を一周する計画」で、15~16年にかけて世界の空を飛んだ2号機は、その偉業を成し遂げました。(注5.1)
このプロジェクトには、世界の名だたる企業が関わっています。コベストロは、パイロットを守るコックピット向けに「軽量でありながら極端な温度変化に耐えられる高機能断熱材」を新しく開発して提供しました。この技術は、後に、一般向け冷蔵庫の断熱材にも採用されました。コックピットの窓には最新鋭のポリカーボネート製のシート(フィルム)が使われましたし、夜間飛行を可能にするための蓄電用バッテリーの断熱材にポリウレタンの硬質フォームが使用されています。さらには、機体の大半に塗られている銀色のコーティングや、外から見えない部材などに使われる特殊な接着剤などでも貢献している。これからの動きでは、19年の秋には同じく太陽光発電を唯一の動力源とした「ワールド・ソーラー・チャレンジ」というプロジェクトもあります。オーストラリア大陸を3000キロメートル横断するという計画で、コベストロはドイツのアーヘン工科大学が製作したソーラーカー(Sonnenwagen)(注5.2)に資金を提供しており、今後もさまざまな製品やソリューションなどを提供する予定です。https://diamond.jp/articles/-/186996?page=4
(注5.1)
2013/05/03、Solar Impulse Plane Takes Flight, https://www.youtube.com/watch?v=hI4VQux3qIo
2014/04/09, Construction of Solar Impulse 2, the Round-The-World Solar Airplane
, https://www.youtube.com/watch?v=oNMBPJpaimc
(注5.2)
2017/11/22 , They built a solar car to cross Australia, https://www.youtube.com/watch?v=wNh6CiAzImo
A3. =コベストロ、」スタイレマンCEO= ベイタウンの既存の設備などに対する今回の新設計画は、単独の投資としては過去最大の規模になります。老朽化した硬質ウレタンフォームの原料であるMDI (ジフェニルメタン・ジイソシアネート)(注3.1)プラントを閉鎖し、新たに年産50万トンの最新鋭MDIプラントを立ち上げる。北米でのMDIの生産能力は74万トンになる。本格的な稼働は24年を予定していますが、それまでに北米地域におけるリーダー企業のポジション(世界1~2位)を確立することになる。MDIは、例えば大小のビルや冷蔵庫などの断熱材(硬質フォーム)になる原料で、コベストロでは長期的に年間約5%の成長が期待できると分析しています。それだけ需要が伸びると見ているのは、MDIと比べると性能面で問題があったり環境面での対策を取っていなかったりする既存の材料を代替するという需要が増えるからです。また、よりエネルギー効率の高い断熱材が求められるようになる流れの中では、技術やノウハウの蓄積がある私たちの出番が増える。
(注3.1)ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4`-Diphenylmethane diisocyanate,C15H10N2O2)
は、通常MDIと略され、芳香族ジイソシアネートのひとつである。MDIには、2,2'-MDI, 2,4'-MDI及び4,4'-MDIの3種類の異性体が存在している。4,4'-MDIは、モノメリックMDIとして知られている。ポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)は、モノメリックMDIと高分子量のポリイソシアネートの混合物である。MDIは、主に、硬質及び軟質ポリウレタンフォームや、塗料・接着剤・エラストマーの製造に使用される。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%8B%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%A4%E3%82%BD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%88
Q4.昔ながらの材料でリプレイスが進むことは分かりますが、「エネルギー効率の高い断熱材が求められると出番が増える」というのは、どういうことですか。
A4. 実際の例で、お話ししましょう。 ある国の顧客から「環境規制が強化されたことで、これまでより優れた性能を持つ断熱材が必要になった。ただし、エネルギーの消費量を高めることなく、断熱性能だけを高めてほしい。しかも、既存の生産ラインに新しい設備投資を必要としない、新しいソリューションはないか」と相談されました。 私たちは現場に赴いて、実際に生産ラインで使われている断熱材の化学組成を徹底的に解析しました。そして、コベストロとして「断熱材に使われているウレタンの泡(気泡の大きさ)をより小さくすることで、断熱性能を高める」という解決策を提案した。このやり方だと、顧客のリクエストは全て解決できますし、既存のスペースで収まります。顧客は新しいやり方に切り替えたことにより、専有面積が同じままで生産量が10%も伸びたそうです。顧客の近くにいるからこそ、このようなソリューションが可能になる。 MDIに関しては、ドイツでも19年中に年産20万トンから40万トンへ能力を倍増させる計画が進む。加えて、米国の新規プラントが立ち上がれば、その時点でコベストロの生産能力は、北米(24年までに年産74万トン)、欧州・中東およびアフリカ(22年までに年産82万トン)、アジア・太平洋(21年までに年産67万トン)と、世界のMDI市場における影響力やプレゼンスが高まる。その他の地域、スペインや中国、ベルギーの生産拠点との連携なども考えています。 私の立場はCEOですから、長期的な視点からグローバルに成長できる機会を求めています。MDIに限らず、さまざまな製品で“統合経営”を加速させたい。
Q5. =池冨 仁=、エネルギー効率を高くするという意味では、自動車業界・部品業界向けの「軽量化」があります。コベストロでは、“空飛ぶ実験室”と言われるソーラー・インパルス・プロジェクトにも関わっています。具体的には、どのような技術で協力しているのですか。]
A5. =コベストロ、」スタイレマンCEO=、これは「太陽光発電だけを唯一の動力源とする飛行機で世界を一周する計画」で、15~16年にかけて世界の空を飛んだ2号機は、その偉業を成し遂げました。(注5.1)
このプロジェクトには、世界の名だたる企業が関わっています。コベストロは、パイロットを守るコックピット向けに「軽量でありながら極端な温度変化に耐えられる高機能断熱材」を新しく開発して提供しました。この技術は、後に、一般向け冷蔵庫の断熱材にも採用されました。コックピットの窓には最新鋭のポリカーボネート製のシート(フィルム)が使われましたし、夜間飛行を可能にするための蓄電用バッテリーの断熱材にポリウレタンの硬質フォームが使用されています。さらには、機体の大半に塗られている銀色のコーティングや、外から見えない部材などに使われる特殊な接着剤などでも貢献している。これからの動きでは、19年の秋には同じく太陽光発電を唯一の動力源とした「ワールド・ソーラー・チャレンジ」というプロジェクトもあります。オーストラリア大陸を3000キロメートル横断するという計画で、コベストロはドイツのアーヘン工科大学が製作したソーラーカー(Sonnenwagen)(注5.2)に資金を提供しており、今後もさまざまな製品やソリューションなどを提供する予定です。https://diamond.jp/articles/-/186996?page=4
(注5.1)
2013/05/03、Solar Impulse Plane Takes Flight, https://www.youtube.com/watch?v=hI4VQux3qIo
2014/04/09, Construction of Solar Impulse 2, the Round-The-World Solar Airplane
, https://www.youtube.com/watch?v=oNMBPJpaimc
(注5.2)
2017/11/22 , They built a solar car to cross Australia, https://www.youtube.com/watch?v=wNh6CiAzImo