(2)風力発電
次は風力だ。風力発電は、風が乱れずに一定に吹き、風力発電機を設置しやすい場所がある地域が向いている。そういう場所なら、グレードが低い発電機でも壊れにくいからだ。発電機は、人家から遠くて広い平地がある場所や、遠浅の海が設置しやすい。 この風力発電に強いのがイギリスだ。イギリスは、北海が西と南、大西洋が北と東にあり、北緯50度と60度の範囲にあり、アイリッシュ海を挟み西のアイルランドに接する。海洋性気候の島国である。イギリスは、ドイツや日本より北に位置し、日照時間が短いため、太陽光発電には向かないが、広い遠浅の北海を持つのでは風力発電がマッチした。 イギリスでは2002年から電力小売り事業者に、販売電力量のうち一定比率の再エネ電力導入を義務付けるRO(Renewables Obligation)制度を導入、さらに2010年にはFIT制度を導入していたが、国民の負担が増大。2015年にはCfD(Contract for Difference/差額決済契約)を導入し、市場競争原理を取り入れることで国のコストを抑えられるようになった。
ちなみに、海外の再エネの主力は風力発電である。その風力発電が世界で最も伸びているのは、実は中国だ。「欧州が年率10%の伸びなのに対し、中国は2015年時点で太陽光発電が年率50%、風力発電でも年率30%で伸びている」と三菱総合研究所・環境エネルギー事業本部の井上裕史主席研究員は言う。政府の後押しで発電量が増えているにもかかわらず、送電設備が供給に見合うほど整っておらず、「棄電」(ロス電力)解決技術開発が問題になっているほどである。 もちろん、日本にも風の良い地域はある。たとえば北海道は風力発電に適しているものの、最も電力使用量が多い東京に供給できないため、発電しても電力が余ってしまう。東北なら距離的にも期待できるのだが、沿岸部の海底深度が深いことがネック。1万km(地球の赤道の直径約1万2756kmの8割、東京からアメリカのナイアガラの滝までの距離)長距離超高圧直流送電技術の開発実用化が求められる。http://p.booklog.jp/book/18099/page/231410 https://www.nikkei.com/article/DGXNASDD2004L_Q0A520C1000000/
海底が深い地区での浮体式洋上風力発電施設は、2017年にはスコットランド沖に世界最大の発電所が稼働を開始するなど、世界的にも開発が進んでいる分野だ 2018年日本でも、日立造船や丸紅などが新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で、浮体式洋上風力発電システムの実証機を設置した。今までは洋上発電設備を建てるインフラがそもそもなく、建設のために欧州から借りたり、小型の船を使ったりしていたが、今年9月に大林組が大型着床式洋上風力発電設備を欧州同様に設置できる専用船の建造を決め、2020年10月完成予定と発表した。
(3)水力発電
さて、日本でも身近な再エネと言えば、水力だ。とはいえ、IEA(国際エネルギー機関)の2017年のデータによると、発電供給量の割合では10%に満たず、欧州で水力発電が特に盛んな北欧地域には遠く及ばない。アイスランドで7割強、スウェーデンで約5割、ノルウェーに至っては約9割が水力発電である。 オーストリアやスイスも水力発電の割合が高い。要は、起伏の激しい土地で、かつ発電に使える河川の多さが影響するのだ。自然に恵まれた環境にある国では、水力発電がやりやすいというわけである。https://www.tohoku-epco.co.jp/pr/miyagi/sankyozawa.html
また、渇水になったときも、北欧4ヵ国は「ノルドプール」という国際連携電力取引市場があるため、他国から電気を輸入できる。北欧が供給の不安定な再生可能エネルギーに突っ走れる背景には、そうした事情もある。
(4)バイオマス発電
そして、もう1つ注目したい再エネがバイオマスである。バイオマス原料はいくつかある。1つは家畜の糞尿で、もう1つは木を切り倒したときに出るチップやペレットと呼ばれる木の切りくず、間伐材などの木材を利用する。特に後者は、林業が盛んなフィンランドなど北欧諸国の再エネで積極的に利用されている。 IEAは今年10月、バイオマスエネルギーが今後5年で最も成長率が高い再エネだと分析している。日本のバイオマス発電の普及促進ためには、(4.1)間伐材を山から切り出して運ぶための太い林道の存在がマストだが、日本では狭い山道しかなく、運ぶことが難しい。(4.2)また、海外の安い材木に押され、林業そのものが縮小しているという事情等の課題解決の必要性が指摘されている。http://diamond.jp/articles/-/183706?page=4
これらの日本のバイオマス発電課題解決のために、(ア)上水道涵養林保護事業、https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/suigen/antei/03.html(イ)防災、減災に必要な天然のダム効果治山治水事業、https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32872140R10C18A7CC1000/(ウ)集成材加工組立高度化事業、http://www.biglife21.com/society/8331/(エ)猪、鹿等ジビエ開発普及事業、http://www.gibier.or.jp/meat/(オ)国産間伐材利用発電炉の開発実用化https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1703/10/news044.html
等の総合的の制度設計が求められる。
等の総合的の制度設計が求められる。