2018/11/30,●日本では、東日本大震災が契機となり、燃料自給率100%、輸入外貨不要の太陽光や風力など再生可能エネルギーの発電量が急速に増えたが、分散型送配電網技術が未熟のため、自然エネルギー電力は天候などで需給調整が難しい。安定的に活用したいという背景もあり、2016年の「日本再興戦略」でVPP(仮想発電所/Virtual Power Plant)活用が明記された。同年、産学連携の「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスフォーラム」が発足し、経済産業省のVPP構築実証事業が開始された。
●現在、事業所や家庭における、燃料自給率100%、輸入外貨不要の太陽光発電などと紐づいた蓄電池やEVなどの分散型エネルギーを一括で制御し、余った電力を蓄電池に貯めて必要があれば放電し、1つの発電所のように利用するVPPの実現が期待されている。ここにV2Gの技術は欠かせない。資源エネルギー庁が開始した「V2Gアグリゲーター事業」には、太陽光発電量受給能力不足の東京電力ホールディングス、九州電力、東北電力や豊田通商が幹事会社を務める4つの事業が採択されている。 2018年1月には太陽光発電量受給能力不足の関西電力及び日産自動車、住友電気工業が共同で、計60台のEVやPHV(プラグインハイブリッド車)の充電を遠隔操作する実証実験を行ったり、10月には東京電力・日産自動車など4社がEV蓄電池を活用し、蓄電池を電力系統に接続して充放電するV2G(Vehicle to Grid)の共同実証を開始したりしている。
④ VPP(仮想発電所/Virtual Power Plant)実用化の際、最もネックとなるのが、車載蓄電池の抱える諸問題だ。現在、EVバッテリーはリチウムイオン電池を搭載している。ただ、このバッテリー代がEVの価格を押し上げる要因になっている。 エネルギー密度が足りず、EVはハイブリッド車に比べて、エネルギー部分の体積当たりの走行距離が約15分の1しかないため、できるだけ多くの電池を積まなくてはならない。
現在、車両価格の3分の1がバッテリー代となってしまい、海外から燃料輸入に依存し、輸入外貨が必須のガソリン車より割高になるといわれている。現在、電解質を含む“液系”リチウムイオン電池がEV蓄電池の主流だ。ただ、液系リチウムイオン電池は高温になると急速充電に対応できないこともあり、EVは電池パックの中に冷却ダクト・スペースを設けている。車種によっては、電池パック体積のうち電池部分は2割だけ、というものもあるようだ。発火や発煙の危険性や経年劣化、充電時間に時間がかかることも、EVの普及が進まない理由の1つだ。 “液系”リチウムイオン電池課題解決のため、現在急ピッチで開発が進む車載用新型電池の本命は「全固体リチウムイオン電池」(全固体電池)だ。これは、1980年に開発されたリチウムイオン電池の最終形態とも言えるもので、現在の液系よりも重量エネルギー密度が高く、熱にも低温にも強いのが特徴だ。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が立ち上げたオールジャパンのプロジェクト「先進・革新蓄電池材料評価技術開発(第2期)」は、全固体電池の開発を中心にトヨタ自動車がリーダーとなって進める。NEDOでは
全固体電池の量産時の実用化性能は、液系リチウムイオン電池に対して、電池パックの体積エネルギー密度は現行の3倍、コストと急速充電時間は3分の1を目標にしている。 少なくとも、2025年には、全固体電池をEV市場に投入され、人々が、燃料輸入外貨が必須のガソリン車やデーイゼル車から置換可能な価格性能比に優れたEVを手にすることができるためのエネルギー行政の加速が求められている。
https://diamond.jp/articles/-/186998?page=4
●現在、事業所や家庭における、燃料自給率100%、輸入外貨不要の太陽光発電などと紐づいた蓄電池やEVなどの分散型エネルギーを一括で制御し、余った電力を蓄電池に貯めて必要があれば放電し、1つの発電所のように利用するVPPの実現が期待されている。ここにV2Gの技術は欠かせない。資源エネルギー庁が開始した「V2Gアグリゲーター事業」には、太陽光発電量受給能力不足の東京電力ホールディングス、九州電力、東北電力や豊田通商が幹事会社を務める4つの事業が採択されている。 2018年1月には太陽光発電量受給能力不足の関西電力及び日産自動車、住友電気工業が共同で、計60台のEVやPHV(プラグインハイブリッド車)の充電を遠隔操作する実証実験を行ったり、10月には東京電力・日産自動車など4社がEV蓄電池を活用し、蓄電池を電力系統に接続して充放電するV2G(Vehicle to Grid)の共同実証を開始したりしている。
④ VPP(仮想発電所/Virtual Power Plant)実用化の際、最もネックとなるのが、車載蓄電池の抱える諸問題だ。現在、EVバッテリーはリチウムイオン電池を搭載している。ただ、このバッテリー代がEVの価格を押し上げる要因になっている。 エネルギー密度が足りず、EVはハイブリッド車に比べて、エネルギー部分の体積当たりの走行距離が約15分の1しかないため、できるだけ多くの電池を積まなくてはならない。
現在、車両価格の3分の1がバッテリー代となってしまい、海外から燃料輸入に依存し、輸入外貨が必須のガソリン車より割高になるといわれている。現在、電解質を含む“液系”リチウムイオン電池がEV蓄電池の主流だ。ただ、液系リチウムイオン電池は高温になると急速充電に対応できないこともあり、EVは電池パックの中に冷却ダクト・スペースを設けている。車種によっては、電池パック体積のうち電池部分は2割だけ、というものもあるようだ。発火や発煙の危険性や経年劣化、充電時間に時間がかかることも、EVの普及が進まない理由の1つだ。 “液系”リチウムイオン電池課題解決のため、現在急ピッチで開発が進む車載用新型電池の本命は「全固体リチウムイオン電池」(全固体電池)だ。これは、1980年に開発されたリチウムイオン電池の最終形態とも言えるもので、現在の液系よりも重量エネルギー密度が高く、熱にも低温にも強いのが特徴だ。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が立ち上げたオールジャパンのプロジェクト「先進・革新蓄電池材料評価技術開発(第2期)」は、全固体電池の開発を中心にトヨタ自動車がリーダーとなって進める。NEDOでは
全固体電池の量産時の実用化性能は、液系リチウムイオン電池に対して、電池パックの体積エネルギー密度は現行の3倍、コストと急速充電時間は3分の1を目標にしている。 少なくとも、2025年には、全固体電池をEV市場に投入され、人々が、燃料輸入外貨が必須のガソリン車やデーイゼル車から置換可能な価格性能比に優れたEVを手にすることができるためのエネルギー行政の加速が求められている。
https://diamond.jp/articles/-/186998?page=4