抗癌剤治療の第2クール終了時
主治医が言った一言
あなたの命はメチャクチャ長くはない
肝臓のガンが消滅することはないだろう
小さいままならラッキーだ
10月に入ると
近くのスーパーに買い物にも行けるようになり
外食にも出かけた
体重もガン発症前ちかくにまで戻ってきた
あなたの体調がどんどん良くなってきている一方
心の片隅には
絶えず嫌な予感があった
この頃から
あなたとよく口喧嘩をした
決して顔には出さなかったが
自分が死ぬことへの恐怖と絶望がどんなに
あなたを苦しめたことか
僕も
あなたがこの世からいなくなり
一人残されてしまう不安で
心が張り裂けそうな日々だった
お互いに思ってることは一緒なのに
何故か意見が違った
僕がもっと優しくなれたら
あなたに悲しい思いをさせずに済んだ
自分の器の小ささに後悔ばかりが残る
あと何年僕が生きるかはわからないが
残りの人生は
あなたへの謝罪の日々だ
ただ少しの救いがあるとすれば
あなたが感情をむきだしにて怒るのは
僕に対してだけだった
禊萩