「あのさ、」
僕は出し抜けに彼女に言った。
「なに。」とこちらを見ない彼女は、彼女と同じくらい澄み渡った海を見つめていた。
「どれくらい嫌い?」
「なにが?」
「僕のこと。」
くだらない話だったと自分でも思った。けれど、なぜだか不意に訊ねてみたくなったのだ。
相も変わらず彼女は水平線の隙間を睨んでいた。
「さぁね。」
ふふっと綺麗な口角が上がった。
「あっ、誤魔化された。」
それから僕は彼女の向こう側に広がる海を見る気にはなれなかった。
彼女がとても心地よさそうに目を細めていたからだ。
「この海と同じくらい、嫌いかな。」
【おわり】
僕は出し抜けに彼女に言った。
「なに。」とこちらを見ない彼女は、彼女と同じくらい澄み渡った海を見つめていた。
「どれくらい嫌い?」
「なにが?」
「僕のこと。」
くだらない話だったと自分でも思った。けれど、なぜだか不意に訊ねてみたくなったのだ。
相も変わらず彼女は水平線の隙間を睨んでいた。
「さぁね。」
ふふっと綺麗な口角が上がった。
「あっ、誤魔化された。」
それから僕は彼女の向こう側に広がる海を見る気にはなれなかった。
彼女がとても心地よさそうに目を細めていたからだ。
「この海と同じくらい、嫌いかな。」
【おわり】