児童文学作家を目指す日々 ver2

もう子供じゃない20代が作家を目指します。ちょっとしたお話しと日記をマイペースに更新する予定です。

朝が北

2021-02-02 | 物語 (電車で読める程度)
ここにいない、という空白が

恐ろしかった

暖かい飲み物を口に含んだ

味なんてなかった

心臓の騒音で眠れやしなかった

がたがた震える窓と奥歯

どうすれば良かった?

柔らかい毛布は冷たくて

あなたの物で溢れた部屋に

あなた以外のすべてが取り残されていた

自然分解とはいかなくて

まさに産廃だった 散々だった

さっさと埋めるしかなかった

産声をあげた記念碑も更地にして

世界一くだらない夜を積み上げた

胸をかきむしる

いらついた

なんの感情も湧かないはずなのに、

なんの脈絡もなく激昂した

勿論なんの秩序もなかった






だから、からっぽの部屋で朝を迎え

それが偽物だと気づいたとき

二度と日が昇ることはないと知った



【おわり】