児童文学作家を目指す日々 ver2

もう子供じゃない20代が作家を目指します。ちょっとしたお話しと日記をマイペースに更新する予定です。

なんなんと問う

2021-02-03 | 物語 (電車で読める程度)
なんなんと問う


春よ恋よと叫んでも

花も団子も酒もなく

散らばった文節に

幾ばくか年粒を数えた

ようやく出会えたという幼心が

どうか再び、迷子になりますように

そうして浅瀬で寝入った頃には

同じ夢だと夢で知った

隣室のライオン使いから娘を庇い、

自己愛にやや酔ったまま

砂中へ逃げる不条理の跡を

でたらめに空ビンで殴り付けていた

これは気だるくまとまらない思考の中で
絞り出した推測だが、

きっと恐ろしいのだ

理不尽さそのものに

生活のすべてを奪われてしまうのではないかと怯えているのだ

矮小な身に精々何ができるだろう

やがて訪れるそのときに

なんなりと手を上げるには

まだ諦めたくはなかった


【おわり】