なんなんと問う
春よ恋よと叫んでも
花も団子も酒もなく
散らばった文節に
幾ばくか年粒を数えた
ようやく出会えたという幼心が
どうか再び、迷子になりますように
そうして浅瀬で寝入った頃には
同じ夢だと夢で知った
隣室のライオン使いから娘を庇い、
自己愛にやや酔ったまま
砂中へ逃げる不条理の跡を
でたらめに空ビンで殴り付けていた
これは気だるくまとまらない思考の中で
絞り出した推測だが、
きっと恐ろしいのだ
理不尽さそのものに
生活のすべてを奪われてしまうのではないかと怯えているのだ
矮小な身に精々何ができるだろう
やがて訪れるそのときに
なんなりと手を上げるには
まだ諦めたくはなかった
【おわり】