本書は1978年に単行本として刊行されて1979年第10回大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞し、大きな話題とNNHKのドラマにもなった。そして大ベストセラーになっている。オイラは単行本で読んだ記憶があるので家中を探してみたら文庫本が出て来た。それを紹介しようと考えて読み直し始めたが活字が小さすぎてオイラは読む気が起きなかった。それでネット検索をしたら小学館から文庫になっていたのでポチッとしてみた。
特派員としてベトナムへ赴任した新聞記者の著者が記者仲間から海水浴に「女性同伴だ。君の分もちゃんと用意してある」と誘われた。早朝に集合場所へ行ってみると、とびきりの美人と花の盛りを過ぎたデンと重みがある年恰好の女性だった。「あわてるな!美人はオレのサイゴン・ワイフだ」抗議をしかけたら「まぁまぁ・・・あれは彼女の車なんだ」と指さした車は、年代物の小型ルノーだった。ハイヤー代を浮かすために年齢不詳の右の眼の脇に大きなアバタがある彼女を引っ張ってきたのだ。むかっ腹をたてて抗議症としたら彼女がニコッと笑ったのだ。とにかくその笑顔は、これまでの人生で、底抜けに自然な笑顔で、いちども見た事が無い笑顔だった。ビックリして、せいいっぱいの笑顔で見返すのだった。と始まる恋愛。ベトナム戦争が末期でサイゴンが陥落するという噂と砲弾が飛び交う。社会の混乱と戦争に翻弄されながらも生きてゆく。
左の文庫本は文春文庫1981年刊
小学館文庫の解説には、近藤紘一さんが46歳で亡くなり、サイゴンから来た妻と娘のその後の人生が語られています。