王子であるアレンは父親である国王を刺し、魔法で鍛えられた剣を奪って逐電する。
逃走の途中、砂漠で獰猛な“犬”に襲われて危機一髪のところを、最も偉大な魔法使い「大賢者」であるハイタカ(ゲド)に救われ、彼の旅の供をすることになる。
ハイタカは、世界の均衡が崩れてきていることを憂慮し、その原因を探る旅の途中であった。
山を越え、土地を捨てた農民の廃墟の間を抜け、二人がたどりついたのはホート・タウン。
多くの人々が暮らすこの街は、店先ではまがい物が売られ、たくさんの若者が麻薬に溺れ、更には奴隷の売買まで行われていて、退廃を極めていた。
探索を進めるために二人は、郊外に暮らすハイタカの昔なじみ・テナーの元に身を寄せる。
そこには、親に虐待されて捨てられた過去を持つ少女・テルーが一緒に暮らしていた。
テルーは、心に闇を抱き、時折り自暴自棄に陥るアレンを嫌悪する。
やがてハイタカは、クモという魔法使いが生死両界を分ける扉を開いたことが、世界の均衡を崩し、災いを巻き起こしていることを探り出した…。
可も無く不可も無し。
「指輪物語」「ナルニア国物語」と並ぶ“世界三大ファンタジー”と称される原作のアニメ化であるが、どうにも消化不良気味な気配が漂う。
たとえば、アレンが国王である父親を刺すが、なぜそこまで追い詰められたのかは想像または推測するしかなく、また父国王も亡くなったのかどうなのか分らない。
全体的に内面の描写が稀薄で、話の深みに乏しい。
何かデジャヴに陥ったような感覚だったが、「レディ・ジョーカー」を観終わったときに似ている。
原作者が「これはあなたの物語です」、つまり自分が書いた「ゲド戦記」とは全く別物だと監督に言ったそうだが、おそらく原作の持つ深みを表現することなく、また独自の解釈やエピソードを盛り込むことで、純粋な意味での「ゲド戦記」では無くなっているのだろう。
これでは、「ゲド戦記」の原作がどんなものなのか、疑似体験ができない。
“世界三大ファンタジー”の他の2作のように、数部に分けた構成としてじっくりを描いてほしかった。
ジブリ作品は、自分の中では「千と千尋の神隠し」が“最後”となったまま。
次回作品に期待…していいのだろうか。
「ゲド戦記」
2006年/日本 監督:宮崎吾朗
声の出演:岡田准一、手嶌葵、田中裕子、香川照之、菅原文太
逃走の途中、砂漠で獰猛な“犬”に襲われて危機一髪のところを、最も偉大な魔法使い「大賢者」であるハイタカ(ゲド)に救われ、彼の旅の供をすることになる。
ハイタカは、世界の均衡が崩れてきていることを憂慮し、その原因を探る旅の途中であった。
山を越え、土地を捨てた農民の廃墟の間を抜け、二人がたどりついたのはホート・タウン。
多くの人々が暮らすこの街は、店先ではまがい物が売られ、たくさんの若者が麻薬に溺れ、更には奴隷の売買まで行われていて、退廃を極めていた。
探索を進めるために二人は、郊外に暮らすハイタカの昔なじみ・テナーの元に身を寄せる。
そこには、親に虐待されて捨てられた過去を持つ少女・テルーが一緒に暮らしていた。
テルーは、心に闇を抱き、時折り自暴自棄に陥るアレンを嫌悪する。
やがてハイタカは、クモという魔法使いが生死両界を分ける扉を開いたことが、世界の均衡を崩し、災いを巻き起こしていることを探り出した…。
可も無く不可も無し。
「指輪物語」「ナルニア国物語」と並ぶ“世界三大ファンタジー”と称される原作のアニメ化であるが、どうにも消化不良気味な気配が漂う。
たとえば、アレンが国王である父親を刺すが、なぜそこまで追い詰められたのかは想像または推測するしかなく、また父国王も亡くなったのかどうなのか分らない。
全体的に内面の描写が稀薄で、話の深みに乏しい。
何かデジャヴに陥ったような感覚だったが、「レディ・ジョーカー」を観終わったときに似ている。
原作者が「これはあなたの物語です」、つまり自分が書いた「ゲド戦記」とは全く別物だと監督に言ったそうだが、おそらく原作の持つ深みを表現することなく、また独自の解釈やエピソードを盛り込むことで、純粋な意味での「ゲド戦記」では無くなっているのだろう。
これでは、「ゲド戦記」の原作がどんなものなのか、疑似体験ができない。
“世界三大ファンタジー”の他の2作のように、数部に分けた構成としてじっくりを描いてほしかった。
ジブリ作品は、自分の中では「千と千尋の神隠し」が“最後”となったまま。
次回作品に期待…していいのだろうか。
「ゲド戦記」
2006年/日本 監督:宮崎吾朗
声の出演:岡田准一、手嶌葵、田中裕子、香川照之、菅原文太