面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「悪夢のエレベーター」

2009年11月19日 | 映画
小川順(斎藤工)が頭の痛みを覚えながら目を覚ますと、そこは停止したエレベーターの中。
乗り合わせているのは、チンピラ然とした刑務所帰りの男(内野聖陽)、人に触れるとその人物の過去が見えるというジョギングに向かおうとしている超能力者(モト冬樹)、自殺しようとマンションの屋上に向かう途中というゴスロリ少女(佐津川愛美)と、異様なまでにワケありの3人。
非常ボタンは故障し、持っていた携帯電話は電池切れ。
外部に助けを呼ぶこともできない閉ざされた空間で会話を交わすうち、お互いの秘密を暴露し合うハメになったその時、思いもよらぬ出来事が…

シリーズ累計40万部を突破する売上を記録した、木下半太の人気小説「悪夢シリーズ」3部作の第1弾「悪夢のエレベーター」の映画化。
監督は、俳優として味のある演技をみせるだけでなく、構成作家としても活躍が著しい堀部圭亮。
初の長編作品に挑んだことも話題となっているが、ただの話題性に踊ることなく、飽きさせずに最後まで楽しめる、良質なサスペンスタッチのコメディに仕上がっている。

観客の思惑は次々と裏切られていく展開に、何がウソで何が真実なのか分らなくなる。
話の先の予測が不可能なまま、えらいことになる(と想定される)ラストシーンまで、グイグイ引っ張られていった。
アホな自分は先を読むことをあきらめた結果、2回、3回と裏切られ、最後はうーーん…

今風なネタを織り込んだ、ちょっとザラっとしたラストが独特の余韻を残す佳作。
いや、最後はホンマにえらいことどしたなぁ(京風)。


悪夢のエレベーター
2009年/日本  監督:堀部圭亮
原作:木下半太
出演:内野聖陽、佐津川愛美、モト冬樹、斎藤工、大堀こういち、芦名星、本上まなみ