災害の時に一般の人たちから集めた被害の状況や、支援物資に関する情報を共有することで、支援を求める人たちに正確で必要な情報を提供する協定を、SNS大手のLINEと国の機関が結びました。

発表によりますと、LINEと防災科学技術研究所は、災害現場を目撃した人たちなどから寄せられた情報を共有する新たなシステムを作ります。

AI=人工知能と人が、SNS上で疑似的に会話ができるチャットボットと呼ばれる技術を使い、SNS上で災害に関する質問をすると対話形式で回答する仕組みです。

これにより、被害状況や必要な支援物資の情報などをリアルタイムで共有するほか、いわゆるデマの情報が拡散するのを防ぐことができるとしています。

このシステムでは、国や自治体の情報に加え、LINEが新たにつくる専用のアカウントに登録した人から情報の提供を受けるほか、ツイッターやフェイスブックなどで書き込まれている情報も収集するということで、年内にも試験的な運用を始めたいとしています。

防災科学技術研究所総合防災情報センターの臼田裕一郎センター長は「一方的な情報伝達でなく必要な人に情報を届けることができるようになると期待している」と話しています。
【災害時に拡散するデマ 熊本地震では逮捕者も】災害時の情報共有をめぐっては、過去にもネット上などでデマや不確かなうわさが拡散し問題になっています。

今月6日に発生した北海道で震度7を観測した地震では、直後から「今回の地震は余震で48時間以内に本震が来る可能性が高い」とか「市内全域で断水が起きる」などと、デマや誤った情報の投稿がツイッター上などに相次ぎました。

投稿には「自衛隊によると」などと情報源の信用性を強調する内容が含まれているものもあり、北海道内の複数の自治体がホームページ上で誤った情報に惑わされないよう注意喚起を行いました。

また、ことし6月の大阪北部の地震では、「京セラドーム大阪の屋根に亀裂が入っている」というデマが投稿され拡散したほか、おととしの熊本地震でも「動物園からライオンが逃げた」といったデマが広まり逮捕者も出ています。

また、平成5年に震度6を観測し2人が死亡した釧路沖地震では、地震の1週間後、釧路市内で「また大きな地震が来る」といううわさが流れ、気象台に問い合わせが殺到したことから、気象台が記者会見を開いて冷静な対応を呼びかける異例の事態になりました。