服部勇馬、日本勢14年ぶりの優勝 福岡国際マラソン
第72回福岡国際マラソン選手権大会(日本陸上競技連盟、朝日新聞社、テレビ朝日、九州朝日放送主催、マイナビ特別協賛)は2日、初出場の服部勇馬(25)=トヨタ自動車=が2時間7分27秒で日本勢で14年ぶりとなる優勝を果たした。服部は2020年東京五輪の代表選考会で来年9月15日に開催するマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権も獲得した。イエマネ・ツェガエ(33)=エチオピア=が2時間8分54秒で2位。3位はアマヌエル・メセル(27)=エリトリア=で2時間9分45秒。前日本記録保持者の設楽悠太(26)=ホンダ=は2時間10分25秒で4位、川内優輝(31)=埼玉県庁=は2時間12分3秒で10位だった。
レースは、序盤から25キロごろまで1キロ約3分のペースで展開した。ペースメーカーが離れた30キロで先頭集団は外国選手2人と日本選手6人の計8人となり、32キロ過ぎで先頭集団は服部、ツェガエ、メセルの3人となり、36キロ過ぎで服部が抜け出した。
服部は今大会が4回目のマラソン。東洋大の3、4年の時、箱根駅伝のエース区間2区で連続区間賞を獲得した。日本選手としては渡辺康幸(早大、現住友電工監督)以来20年ぶりの快挙だった。
愛称は「プリンス」 服部V、月間走行1000キロ実る
(2日、福岡国際マラソン)
水分補給と糖質補給の2本の給水ボトルを交互に口にし、振り返ったらツェガエとメセルが離れていた。36キロ過ぎ。「スパートのイメージはなかったが、気づいたら後ろが離れていた。少しリズムを変えて勝負してみようと思った」。みるみる後続は離れる。14年ぶりとなる日本選手優勝のフィニッシュ。かぶっていたキャップを放り上げ、拳を握った。
気温が20度を超える中での号砲は実に53年ぶり。発汗しやすい体質という服部勇馬の肌は序盤から黒く光る。これまで3度のマラソンでは35キロ以降に失速した。この日は35キロからの5キロを14分40秒、残りの2・195キロも6分35秒と出場選手最速でカバー。ともに大迫傑がシカゴで日本記録を出したときを上回った。「最後の7キロをしっかり走れれば、おのずとタイムは出ると思っていた。練習の成果が出てうれしい」
7月の米コロラド州ボルダーでの日本陸連合宿でアジア大会優勝の井上大仁(MHPS)らに刺激を受けた。「彼らと比べるとまだまだ自分の取り組みは甘い」。月間走行距離は300キロアップの1000キロ超え。距離を踏むだけなく、一定した走法を意識した。「ジョギングでもスピード練習でも、レースの時と同じ動き。ピッチを変えるだけでストライドなどは変えないように気をつけた」。1キロ3分ペースが余裕をもって体に浸透していった。
ボルダー合宿で、服部の可能性からついたあだ名が「プリンス」。大迫、設楽悠、井上の男子マラソン3強に食い込む存在感を示した。