地球が壊れちゃう」進まぬ“温暖化対策”に朗報!日本人の発明が地球を救う!?
対立する各国の思惑 進まない議論
地球温暖化対策を話し合う国連の会議COP24が、14日閉幕する。
ところが、パリ協定の実施ルール作りをめざすはずが、温室効果ガス削減をめぐり、先進国と発展途上国の対立は深まったままで、協議に目立った進展はない。
温室効果ガス排出量が世界第2位のアメリカがパリ協定脱退を表明するなど先進国の足並みも乱れていて、パリ協定が始まる2020年までに、各国の準備が間に合わない可能性も指摘されている。
実は、「世界」が直面するこの「地球」の課題に、画期的な効果をもたらすかもしれない新しい技術が、日本で開発中なのだ。
水と二酸化炭素から有益な物質を生み出す「人工光合成」
光合成とは、植物が水と二酸化炭素を吸収し、太陽の光を利用して、でんぷんやブドウ糖、酸素などを作り出すというもの。これを人工的に行おうというのが「人工光合成」だ。温室効果ガスの6割を占める二酸化炭素を材料に、プラスチック原料や次世代エネルギーとなる水素やギ酸を生み出す。
国をあげた開発の現場に行ってみた。
水につかった白い板から出ているのは、水が分解してできた、水素と酸素が混じったガス。
これが、「人工光合成」の要、「光触媒」による水分解反応だ。
「人工光合成」は大きく分けて2段階のステップを踏む。
まず、水を水素と酸素に分解する。できた水素と二酸化炭素を合わせて、プラスチック原料に合成する。
このほかに、水素をそのまま次世代エネルギーとして使ってもいい。二酸化炭素は、工場や火力発電所などから排出されるものを利用することが想定されている。
10年で150億円の国家プロジェクト
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、複数の企業と大学が参加する人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)が一体となったこの国家プロジェクトには、総額150億円もの予算が投入され、2021年までの10年がかりで実用化に向けて開発が進められている。
普及させるためには、安全性のほか、コストと生産性の高さも重要だ。
開発中の「光触媒」が目指すコストは、太陽電池の3分の1から5分の1。
さらに粉末状なので、塗るだけで「光触媒」が完成する。
この国家プロジェクトを率いるのは、三菱ケミカル株式会社執行役員の瀬戸山亨さんだ。
瀬戸山さんは、2002 年に上述した「光触媒」の研究をしていた東京大学の研究者の論文を読んで「この技術は化ける」と直感し、1週間後には共同研究を申し入れた。
実用化には、発生する水素と酸素を安全に分ける技術など、まだクリアしなければならない課題があるが、「時間はかかるが、日本を救うなら、こういうとんでもない技術が化けなければいけない。誰かがやらないと、地球が壊れちゃうんですよ」と熱く語る。
すべては、50年以上前のある発見から始まった
「人工光合成」の”発明の父”は、ノーベル化学賞候補者のある研究者だ。
東京理科大学の藤嶋昭栄誉教授は、大学院生だった1967年に、紫外光をあてた酸化チタンが水を分解するのを発見。
この発見は、指導教授だった本多健一氏(故人)と藤嶋教授の名前をとり、「ホンダーフジシマ効果」と呼ばれていて、いつノーベル化学賞を受賞してもおかしくないと言われている大発見だ。
「光触媒」の発見から50年以上の時を経て、実用化のめどが見えてきた「人工光合成」。
技術が完成すれば、環境問題とエネルギー問題を一挙に解決できるかもしれない。