政府は、自動ブレーキなど運転支援機能付き自動車を対象に、自動車関連税を減税する特例措置を導入する方向で検討に入った。安全性に優れた車の普及を後押しし、高齢ドライバーによる事故を抑止する狙いがある。2021年度の導入を目指し、近く具体的な制度作りに入る方針だ。

 政府が導入を検討するのは、乗用車や軽乗用車を保有している人にかかる自動車税・軽自動車税や自動車重量税について、車が一定の安全性能基準を満たした場合に減税する制度だ。

 国土交通省と経済産業省、財務省が連携して、燃費などに優れた車に適用される現行の「エコカー減税」制度を参考に、減税の幅や特例を適用する要件などの詳細を詰める。

 政府は、減税特例を運転支援機能付き自動車の普及促進策の柱とする方針だ。

 政府は17年以降、自動ブレーキやアクセル・ブレーキペダルの踏み間違え防止、車線の逸脱防止などの機能を搭載した車を「安全運転サポート車」と称して普及を図ってきた。代表的な機能である自動ブレーキの搭載車を20年までに新車の9割以上とすることを目指しており、警察庁は運転支援機能付き自動車に限定した運転免許証を新設する方向で検討を進めている。

 減税特例を導入すれば、消費者の購買意欲が高まり、高齢者らが運転支援機能付き自動車に買い替えやすくなる。自動車メーカーに対しても、安全性能に優れた車の技術開発を促す効果が期待される。

 減税幅の検討に当たってはエコカー減税制度を縮小して財源を捻出する案が浮上している。政府・与党内に「減税対象の車種が増え、政策効果が薄れてきた」(自民党税制調査会幹部)との意見があるためだ。

 減税特例を適用する要件は、国交省が今年4月に創設した自動(衝突被害軽減)ブレーキの性能認定制度を参考にする。認定制度は「静止している前方車両に時速50キロ・メートルで接近した際に、衝突しない又または衝突時の速度が20キロ・メートル以下となること」などを要件としており、減税特例の対象はこの認定を受けた車が中心となる見通しだ。