角岸's blog (Kadogishi s' blog)

酒、酒&映画・・時事問題?

陸上競技を通してインド独立時の悲劇を描く壮大なドラマ 「ミルカ」

2015-05-06 16:32:06 | 映画

 たま~に、映画見ても更新さぼってるのでレビューできずにいます。トホホ・・・
今年に入って大御所たちの新作次次出たでしょ。

リドリー・スコット監督 「エクソダス 神と王」

クリント・イーストウッド監督「アメリカン・スナイパー」

前者は古代のモーゼの「出エジプト記」を映像化した史実。
後者は現代のイラク戦争のシールズ隊員を描いたこちらもまぁ史実。

偶然でしょうが、両大御所共に実際あったお話しを題材にしてるわけ。
まぁモーゼの旧約聖書ものはある程度伝説なんでしょうが。
どちらも、すげーっすが小生的には後者に軍配をあげたいかなと・・・・

で、今回是非ともご紹介したいのも50年前のこれも史実のインド映画「ミルカ」
下記の方々製作スタッフですが、小生勉強不足でどういう仕事してきた人たちか全く知りません。
しかし、この映画を見る限り度肝を抜く一流の映画人であることは間違いありません。

監督:ラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラ
脚本:プラスーン・ジョーシ
音楽:ビノード・プラダーン
撮影:シャンカル=イフサーン=ロイ

さてこの映画、首都圏では1月に公開され八戸公開は4月まで待たねばなりませんでした。小生も隙間時間見つけてやっとこさ鑑賞したのですが、4月後半で上映終了。なので鑑賞するにはDVD出るまで待つしかありません。

映画は陸上競技の実在するアスリートの半生を描いていいるわけですが、そこには戦後インド独立時の悲劇が描かれつつ、ちゃんと娯楽エンターテイメントとしても成立させていてインド映画の底力ってんでしょうか、とにかく見なきゃ損する今年の最大の収穫と言えると思います。

映画「ミルカ」公式HP↓↓↓
http://milkha-movie.com/



[ストーリー]
 1960年ローマ・オリンピック。
 400メートル走のインド代表選手ミルカ・シン(ファルハーン・アクタル)は、ゴール直前で後ろを振りかえるという前代未聞のミスを犯して4位となり、メダルを期待していた国民からバッシングを受ける。

 彼は、何故後ろを振り返ってしまったのか?

 帰国後、ミルカはパキスタンで開催されるスポーツ大会のインド団長に指名されるが、断固として拒否したため、首相の命令で首相秘書とミルカのコーチが説得しに行くことに。ミルカが暮らす町へと向かう電車の中で、コーチは首相秘書にミルカがパキスタンへ行きたがらない理由を話しはじめる。


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 さて、傑作スポーツ映画は数多あれど「陸上競技」を題材とした映画ってあまりないでしょ。うーん、カナダの「リトル・ランナー」('04)とか日本には「夜明けのランナー」('83)という珍映画もありますが、誰もが認める決定打は英国の「炎のランナー」('81)でしょ。

 ドキュメンタリー出身のヒュー・ハドソン監督のスローモーションと躍動的なカメラワークを駆使した圧巻の陸上競技のレースシーンはヴァンゲリスの音楽と相まって神々しいほどの映像美学の極致と言え、もはやこれを超える陸上映画などあろうはずもないと小生も思っていました(この冬BSで放映を観返してあらためてそう思いました)。

 思えば陸上競技、特に短距離競技は野球やサッカーなどと違い、逆転に次ぐ逆転のドラマ性というか、ゲームの駆け引きってほぼないでしょ(だからこそ長距離の「箱根駅伝」はドラマチックで人気があるんだと思います)。だから、これを題材とした映画作るってホント難しいと思うんですよ。競技のシーンはもはや脚本の良しあしを離れ、監督の演出&役者の演技(?)・パフォーマンスに全てがかかってるんですから・・・

 で、告白すれば中学生時代100メートル走の選手をしていた小生は短距離競技には、特に思いれがあるワケ。
(ちなみにその頃は11秒2くらいで走れてました。今は100mの距離自体完走できるか怪しいものです)



 ちょっと話がそれましたが、この映画で描かれる400m走って小生の経験でもホントに過酷なレースで、短距離でもなく中距離でもないわけです。なんというか、凡人には400m自体全力疾走するのは非常に難しいのですが、しかしペース配分しながら走るには距離が短すぎるわけ。なので、この種目のアスリートたちってホント陸上競技会のエリートですよ。

 さて、映画冒頭いきなりローマオリンピックのこの400m走決勝のシーンから映画は始まるのですが、この圧倒的な臨場感といい、まるで生きているような移動カメラの躍動感で観客の度肝を抜きます。ハリウッドのにも負けない威風堂々たる大作の貫録にみちみちていて、すぐにドラマに引き込まれるわけ。
 そして、特筆すべきはミルカ・シンという実在するインド陸上競技のアスリートを演じたファルハーン・アクタルその人でしょう。その鍛え上げられた完璧なボディと素晴らしい短距離走のフォームを見て、小生最初は本物のアスリートに演技をつけてると思ったくらい。

 で、レースは圧倒的に主人公ミルカが2位以下の選手たちを引き離して優勝するかに思えるのですが、何故か後ろを振り向き負けてしまうんですね。

 そして、ドラマは何故ミルカが後ろを振り向いてしまったのか?という、謎解きミステリーへと移行していきます。そこには、戦後のインド独立時最大の悲劇といわれたパキスタンとの分裂の歴史的背景が描かれて行くわけですが・・・・
 ちなみに、歴史史実描かれますが、別に歴史的背景勉強する必要ありません。非常に解りやすく描かれていますから。



 で、物語は幼少期のミルカとその家族の苦難が描かれていくのですが、決してお説教臭い陰気なドラマにならないところが、さすがにインド映画。歌あり恋ありと娯楽性も十分盛り込んでミルカのアスリート半生を丁寧に描いて行くのですが、小生的にはちょっと丁寧すぎて間延びしちゃったかな・・・という印象を持ちました。

 さて、ドラマが進行するにつれ、謎は解かれ、自らのトラウマを克服する感動的なラストへと向かうのですが、ネタバレになるので、是非皆さんご覧になってご確認ください。DVDはいつでるのでしょうか?

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さて、小生この傑作インド映画を鑑賞して、今日の世界情勢に関して思うところがあるワケ。それは・・・・

・・・ってか、あんまり長くなっちゃうので続きは明日。 ちゃんと更新すればね。