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香納諒一 K・S・Pシリーズ第3弾 「噛む犬」

2012-04-17 09:12:08 | ミステリー
香納先生のK・S・Pシリーズは新宿歌舞伎町特別分署の刑事(デカ)たちの活躍を描いたハードな警察小説。
香納先生の構想によれば、十部作で完結になる(まさに大河ドラマ!!)とのことで、この「噛む犬」はその第3作目。



ちなみに、K・S・Pとは「歌舞伎町特別分署」すなわち・・

Kabukicho
Special
Precinct


の頭文字をとった略名。もちろん作者の創作警察署で実在はしません。

(ストーリー)
新宿副都心の高層ビル群の一角に沖幹次郎、村井貴理子らK・S・P特捜部が駆けつける。植え込みから白骨死体が見つかったのだ。身元は警視庁捜査二課の溝端悠衣警部補。貴理子が敬意を寄せる先輩だった。死亡前の動向を探ると、未解決の轢き逃げ事件を単独捜査していた形跡が浮上。被害者は暴力団組員で、溝端は保険金の受取人である婚約者とも接触していた。彼女が突き止めようとしていたものとは?


大都会の高層ビル群の中から1年以上も放置された女性の白骨死体が見つかるというショッキングなオープニングによって、読者の心を鷲づかみします。
しかも、この遺体の身元は警視庁第2課の刑事(デカ)。準主役の村井貴理子の上司だったという設定もうまいし、しかも遺体の解剖から妊娠していたことも判明するという、二重三重の読者を離さない、さすがの「香納話術」!

もう、こっから本を開けたら閉じられなくなっちゃうノンストップミステリーの始まりです。

↓↓↓ 前2作では、チャイニーズマフィアと日本の大組織ヤクザが大暴れし、かなりアクション性の高いエンタテイメントに仕上がっていました。
http://pub.ne.jp/gwnhy613/?entry_id=4192458

一方本作では、白骨死体になった刑事が何故死なねばならなかったのかを追う、バリバリのミステリー色が強い作品に仕上がっています。この主軸のストーリーに、警察内部の現場の刑事(デカ)を無視した権力闘争の模様や、下町ヤクザ、経済界、政界をも巻き込んで、見事に1本の線にまとまっていきます。

さすが、香納先生!!

しかし、前2作のファンの方の中には、本作でもアクション性を期待し、一見地味だと思った人もいるはず。
ミステリー性の強い方が好きな小生としてはこっちの方が好き。


んでも、十部作のまだ3作目ですよ。 「起承転結」「承」に入ったばかり。

今後、大陸に渡った朱徐李(チュー・スーチー)らC・マフィアも舞い戻ってくるでしょうし、壮大なドラマはこれからが本番といえるでしょう。
まだ、この続きを7作読めると思うと楽しみですな~。

さて、次は何読むかな?

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