今日は立冬というのになんとも暖かい一日でした。
いつもの喫茶店で昼食をとっていると、常連のKさんが
「昨日はストーブ炊くほどの寒さだったのになぁ、俺んとこの嫁さんなんか下っ腹がいてえとかいって、ストーブつけて、戸閉めにしてたっけよ。」
するとカウンターにいた、これまた常連のNさんが
「そりぁ疝気(せんき)だな」とぽつり
「疝気」、みなさんはご存じでしょうか?
Nさんはすでに60をゆうに超えた方ですが、まぁそんな年でもなければ「疝気」など知らないかも知れませんね。
私はそこまでの年ではありませんが「疝気」なるものを知っております。それは何故か?
古典落語に「疝気の虫」という、ちょっと色気のある噺があります。
江戸時代、冷えからくる腰や腹の痛みを「疝気」とよび、特定の病気でもなかったため、医者も効きもしない薬を与えたり、冷やさないように注意するだけだったそうです。
ある日、医者の前に見たこともない虫が現れました。刺されてもやっかいだってんで、潰そうとすると
「助けてくだせぇ」と命乞い
「なに、助けてくれ? お前はいったい何の虫だ?」
「へい、疝気の虫なんでござんすよ」
疝気の患者の治療に困っていた医者は
「どうして人の体について苦しめるんだ?」ときくと
「人を苦しめる気は無いんですがね、どうにも蕎麦が好きで人が食べたのをいただくんでさぁ、そうするってぇと威勢が良くなって運動をしなくちゃいられなくなりましてね、筋を引っ張ったりするんですよ、それで人は苦しんじまうってわけでさぁ」
さりげなく医者が嫌いなものをきくと
「唐辛子がダメなんで、体についたらそこが腐っちまうんでさぁ」
「辛子と蕎麦がいっしょに入ってきたらどうするんだい?」と突っ込むと
「怖いから別荘に避難するんでさぁ」
「別荘?」
「へい、フグリでして」(フグリとは睾丸のことです。)
「なあるほど」てんで、疝気に苦しむ男の所へ
奥さんに盛り蕎麦と唐辛子水を丼一杯用意させます。
奥さんに蕎麦を食べさせ、旦那に臭いをかがせると、別荘に隠れていた「疝気の虫」が、臭いに誘われ出てきました。目の前にある蕎麦をめがけて奥さんの口に、たちまち暴れ出したので、いそいで唐辛子水を飲ませます。
「大変だぁ、早く別荘へ........ひえ~~~~別荘がない」とこれが落ち
昔の女性は、こんな落ちでも頬を赤らめたんだそうですよ。(なんと純な...)
あれ?なんの話でしたっけ?
そうそう、それが「疝気」であります。
まあ、「疝気」でも何でもいいんですが、今日みたいに暖かいかと思えば、昨日みたいに急に寒くなる、体調は崩れがちです、お互いに注意しましょうね。
ちなみに蕎麦は「一時暖めの八時冷まし」といいます、お腹がちょっと弱い方は、寒いときには避けた方が無難かも知れません。
ただね、この時期、新蕎麦の季節ですからねぇ
さて、今日の一枚はドナルド・バードの「FUEGO」であります。
コロンビア大学の博士号を持つドナルド・バードが、ブルーノートでリーダー・アルバムを出すまでには、かなりの時間がかかってしまいました。このアルバムで彼はピッコロ・トランペットを吹いています。どうしてピッコロ・トランペットなのか?ファンキーでシンプルな曲をやるにあたって、シンプルが故に他との違いを出そうとしたからでしょうか、「FUEDO」とは、スペイン語で「火」を意味する言葉です。唐辛子のような効き目はあるでしょうか?このカーッという火には、
FUEGO / DONALD BYRD
1959年10月4日録音
DONALD BYRD(tp) JACKIE McLEAN(as) DUKE PEARSON(p) DOUG WATKINS(b) LEX HUMPHRIES(ds)
1.FUEGO
2.BUP A LOUP
3.FUNKY MAMA
4.LOW LIFE
5.LAMENT
6.AMEN