急性骨髄性白血病で6日にお亡くなりになった本田美奈子さんの通夜が本日だそうで、ご冥福をお祈りいたします。私も「屋根の上のバイオリン弾き」の舞台を観させていただいたことがありました.....とても残念に思います。
私がまだ就職して間がない頃、行きつけだった喫茶店で知り合った大学生がおりました。名前はK田君といいましたが、真っ直ぐな心を持ち、将来は福祉の第一線で働きたいという夢を持ったすばらしい人間でした。
ちょとお酒が入ると、
「高齢化社会は必ず来るんですよ、今から我々が対策を考えないでどうするんですか!」と熱く語っていたのを憶えています。
彼が大学3回生の時の秋でした、突然、喫茶店に姿を見せなくなってしまいます。
「マスター、最近K田君の顔みないねぇ」
「じつは入院したんだよ」
マスターの話によれば
夏休みを利用して、福祉施設の手伝いをしていた彼は、戻ってきてどうも体調がおもわしくなく、手伝い疲れだろうと思い、医者にも行かずにいたそうです。ところが、いっこうに良くなる気配が無く、しぶしぶ病院へ
診断結果は、急性骨髄性白血病だったそうです。
もう20年も前の話ですから、当然、白血病の完治率は低いものでした。それでも彼は副作用に悩まされながら、抗ガン剤治療を続けていました。
「マスター、見舞いに行ったほうがいいかなぁ?」
「治療が治療だからなぁ、元気な姿であいたいんじゃないの」
翌年の2月、バレンタインデイ前に彼が亡くなったことをマスターに聞かされ、焼香に行くと、素敵な夢を語っていた彼の写真が、元気な写真が飾られていました。
病気というものは本当に恐ろしいものです。才能のあるものや、夢いっぱいの若者をなんの躊躇もなく連れて行ってしまいます。
本田美奈子さんの訃報を聞き、ふと彼のことを思い出してしまいました。
「SONNY STITT PLAYS ARRANGEMENTS FEOM THE PEN OF QUINCY」の「マイ・ファニー・バレンタイン」は彼がとても好きな演奏でした。
「バブさん、俺ね、マイルスのマイ・ファニーより、こっちの方が好きなんですよ、ヘンですかね?」
「ヘンもなんもないよ、いいと思う演奏がいいんだから。」
きっと、彼はあちらの世界で困った方を助けていることでしょう。
「K田君、俺が行ったときは、わがままでどうしようもない男だけど、めんどうみてやってくれよな。」
SONNY STITT PLAYS ARRANGEMENTS FEOM THE PEN OF QUINCY JONES
1955年9月30日,10月17日録音
SONNY STITT(as) JIMMY NOTTINGHAM,ERNIE ROYAL,THAD JONES, JOE NEWMAN(tp) J.J.JOHNSON, JIMMY CLEVELAND(tb) ANTHONY ORTEGA(fl,as) SELDON POWELL(ts) CECIL PAYNE(bs) HANK JONES(p) FREDDIE GREEN(g) OSCAR ETTIFORD(b) JO JONES(ds)
1.MY FUNNY VALENTINE
2.SONNY'S BUNNY
3.COME RAIN OR COME SHINE
4.LOVE WALKED IN
5.IF YOU COULD SEE ME NOW
6.QUINCE
7.STARDUST
8.LOVER