天気の変化がめまぐるしいですね。これも春なればこそというところでしょう。
今日は久しぶりに喫茶店ランチ、昨日から続く眠気と怠け癖が合間って少々長居のランチとなりました。
「あらま、バブさん珍しいんじゃない」とは常連のNさん。
「そうそう、今日こんなの買って来たんだけどどうかねぇ?」と見せられたのは、デアゴスティーニの『クール・ジャズ・コレクション』であります。
今回の発売は第3弾ジョン・コルトレーンとのことで
「結局三回とも買っちゃったから、今日定期購読申し込んで来ちゃったよ」
CMが流れたり、ネット上でもいろいろ話題も出ているようですし、私も本屋で立ち読みさせてもいただきましたましたので発売されたのは存じておりましたが、今更私がこれを買いそろえる必要性は全く感じず気にも止めていませんでした。
「定期購読ですか。全部でいくらくらいかかるんですかねぇ」と私。
「全部で何巻だっけかなぁ」
するとマスターが
「たぶん70巻じゃないかなぁ、一冊いくらだっけ?」
「1,190円」
「するってぇと単純計算で・・・・・・・83,300円、高ぇ~~~~」
わざわざ電卓を叩いてくれたマスター、ご苦労様です。
すかさずNさんが
「いやいや、初回は490円だから」
8万円、これを高いと見るか安いと見るかは人それぞれの価値観でしょうが、1,500円以下のCDが乱売されている現在、単純にこの金額で50枚以上のアルバムを手に入れることも可能だということで・・・・・・・
「いやいやいやいや、Nさん、俺はこれを否定するわけじゃありませんよ。わけの分からない50枚より、いいとこ取りの70枚のほうが良いかもしれないし・・・」
それに「何から聴こうか」のヒントとしては、充分すぎるほどの教材でしょうから、と続けるつもりでしたけど、それは言いませんでした。だって教材としての8万は高いでしょ。しかも興味が湧いちゃったらレコードやCDが欲しくなるから、もっとお金がかりますもん。とはいっても、私のジャズやブルースへのとっかかりが、父が買いそろえたポプュラー全集でしたから、完全否定はできませんけど。(笑)
それにしても、デアゴスティーニさんのやり方というのは、賢いというか、あざといというか、初回の490円で釣っといて、何巻か買ううちに・・そう昔義務のようにS.Jを買い続けた私のごとく、内容よりも揃えることに魅力を感じさせる(もちろん、内容を楽しみにしている方も多いと思いますが)「やるなぁ、デアゴスティーニ」てな感じですよね。かく言う私も過去に何種類かこの戦略にはまりそうになりましたから。
もともとはイタリアの地理学者ジョバンニ・デアゴスティーニが起こした地理学研究所が母体といいますから、「なんだぁ、国土交通省の外郭団体みたいに、何とか研究所とかいって、じつは儲け話ばっか考えてたってか」まぁそんなことは無いでしょうが、商魂たくましいのはたしかです。「あっぱれ商魂!」てなところですかね。
ともかく、どんな形であれジャズに興味を持ってくれる方が増えることは悪い事じゃありません。Nさんのような方がどんどん増えて、「ならばあれも聴きたいこれも聴きたい」となって、再販されていなかったLPの再販を生む・・・良いじゃないですかぁ。って、これは甘い考えですね。
はたして、Nさんは最後まで定期購読を続けるか? Nさんが帰った後、マスターとランチ一食分の賭をしたことは内緒の話です。
さて、ということで今日の一枚は、ジョン・コルトレーンです。
「しかしよくもまぁよりによってこのアルバムを」と言われるでしょうか?
たしかに『クール・ジャズ・コレクション』に付いていたCDで始めてコルトレーンを意識して聴いたという方にこのアルバムを聴かせるとしたら、いっぺんでジャズを、いやコルトレーンを聴かなくなる恐れはあると思います。(笑)
いちおう「FIRST MEDITATIONS」にするかこれにするか迷ったんですよ。(どっちもどっちだって?うるさい!)
でもね、やっぱりカルテットで演奏した「FIRST MEDITATIONS」にはコルトレーンは満足しなかったわけで、それが一度ボツった理由ですから、やはり二枚を比べたら今日のこのアルバムを紹介するのが筋ってもんでしょ。
ジャズ喫茶でアルバイトをしていた頃、このアルバムのB面をリクエストする方がいると、「LOVE」がギャリソンのベース・ソロで始まって、コルトレーンが被さってきたその時、その時の顔を観察するのが楽しみでした。(なんじゃそりゃ)
体でリズムを取りながら、グラスを傾けながら・・・・そんなふうにこのアルバムを聴ける方がいたらぜひとも一度お逢いしたい(笑)、このアルバムはそうして聴くものではないと私は思っています。
一度深呼吸をして「さぁB面聴くぞ!」と力を入れ目を閉じる、ベース・ソロが始まったら次に来るあの高揚に備え静かに心を落ち着かせ・・・「きたぁ~~~~」(べつに織田裕二の真似ではありませんよ。)ここからはもうメロディーがどうとか、アドリブがどうとか考えるのは止めて、ただ、耳に入ってくる音に顔をゆがめ、体をくねらす。途中で珈琲を口にしようなんて甘い考えは最初から捨ててください。聴き終えたとき、さてあなたはどうなっているでしょう?
けして、AB面連続で聴けとは言いません。片面を聴き終えたときに訪れるあの心地よい疲れ、それを楽しむ音楽だと私は思っています。
MEDITATIONS / JOHN COLTRANE
November 23, 1965年11月23日録音
JOHN COLTRANE(ts,ss) PHAROAH SANDERS(ts) McOY TYNER(p) JIMMY GARRISON(b) ELVIN JONES, RASID ALI(ds)
1.THE FATHER AND THE SON AND HOLY GHOST
2.COMPASSION
3.LOVE
4.CONSEQUENCES
5.SERENITY
おまけ、
『クール・ジャズ・コレクション』はともかく、今『THE JOHN COLTRANE Reference 』という洋書を、買うべきか買わざるべきか多いに悩んでおります。
だってぇ、英語が苦手で、しかも値段が1万5,6千円するんですよ。
でもねぇ「「クロノロジィ」(年代記)とデータ中心の「ディスコグラフィ」(音盤記録)の合体した 究極のコルトレーン研究本」なんて聞くと私の触覚はピヨピヨ動くし、翻訳本が出る保証もないし・・・・・
どうしたらよいでしょう?(笑)