思い出話。
とあるところで、ポスターというか、チラシというか、そういうのを作った。
作って持って行ったら、先輩が「葉月さんと一緒に作ったんです」と言った。先輩は何もしてない。まったく。全然。
驚きすぎて、何も言えなかった。今思うと何なんだけど、予想外のことが起きると、ほんと、何も口から出てこなかったのだ。
これで、「こいつはパシリ」的認定してきたらしく、しばらくしてから、やはりそういうチラシもどきを作る仕事があって、担当外の私に押しつけようとしてきた。
しかし、私は見た目おとなしいらしいが、ほんとはただ愛想ないだけ。基本面倒くさがりなので。
おまけに、言い返せなかった悔しさもあって、今後は何があろうと先輩の要望はきかないと心に決めていた。
なので、「~~の仕事は葉月さんがいいと思います」と言われた瞬間に否定しようとしたのだが、出た言葉は「イヤ」。
…今思うと、「先輩ひどい、絶対あんな奴の頼みは金輪際聞かない、いや!」と普段うちで愚痴っていたためと思われる。
しかし、返答としてはあまりに子供っぽいので、「担当外ですし、やるなら先輩の担当だと思いますが」と言い直した。
…言い直すまでに、二三回、「イヤ、絶対、イヤ」と口から出たのが、内心修羅場だった。
これでも諦めない先輩。
今度は、とある集まりのイベントの受付を「勝手に」引き受けて、私と半分ずつやると話をまとめてきたらしい。
本人から連絡はなく、その集まりの主催者のひとりが私に連絡してきて知った。
私はイベントに行く予定もしてなかったし、受付の話も知らないから、当然理由を説明して断った。
が、主催者にどうしても、と頼まれて、今回だけという約束で引き受けた。
当日も先輩からは何もなし。
イベントが終わって、しばらくして。その団体のリーダーがいるところで、先輩に向かって笑いながら言った。
「この間のイベントみたいなのはもう困りますよ。こっちに何も言わずに勝手に受付やる話なんて決めてこないで下さいね。もう二度とやりませんから。イベントも出ませんし」
それ以降、その先輩は私に話しかけてこなくなったが、こっちも嫌いな人間は視界に入れたくないので平和。
…小学生みたいな話だが、実は大人になってからの話。相手は、今ならもう70歳代かな。私よりは二十歳以上は上。
場所は趣味の場所で、職場ではない。
ことはすっきり終わったのだけど、時々、あのときの悔しいという気持ちがぶわっと吹き出てくる。
ぶん殴ってやりたかったな~、とか、実際にはやらないだろうけど、そんな気持ちになったり。
しかし、反論にも練習はいるなと、この一件以来思っている。