むかしむかし、
小学生になったかならないかの弟が映画を観たいというので、お兄ちゃん連れて行ってちょーだいと母に頼まれた。映画代と電車賃と少し余分にお小遣いをもらってローカルな電車に乗って映画館のある町に。
弟が観たい映画は「ドラえもん」。
映画館は町に3件あった。
そして別の映画館では「あしたのジョー」を上映していた。
あしたのジョーを上映している映画館の前を通ったら、そっちが観たくなっちゃったんだよねオレ。
で、弟をダマしてドラえもんを観るのをやめちゃった。
たぶん、その時の罰ということで、昨年、今年と2年連続で子どもたちと一緒にドラえもんの映画を観る羽目になっているんだろう。
でも、罰というには面白すぎる映画だ。
のび太はご存知の通り勉強も運動もダメ。
根性がなくて、頑張りが足りない、基本的にはめんどくさがりで一生懸命じゃないし、ホントにダメダメな人間。
何の取り柄もないんだ、と本人も認めてる。
そんなのび太なんだけど、ドラえもんが言うんだ。
のび太くんは、
好い奴なんだ
って。
大人になって「いい人」っていわれると、褒め言葉じゃない場合がある。
「お人好し」とか、男女の話の場合は「危険じゃない人」という意味だったりする。
でもドラえもんが言う「好い奴」のニュアンスはちょっと違う。
「愛すべき」に近いかな。
勉強もスポーツもできるにこしたことはないし、
物事に一生懸命取り組むことは大事なこと。
だけど時々「好い奴」に敵わない時があるんだよね、人生って。