昨年、知人の一人息子が、幼稚園に入った。
これまでと違い、人間関係が大きく変化する時期になる。
「それも社会勉強で、必要なのは重々分かっているんですけど、ちょっと困ったこともあるんです」母親である彼女の顔は今一つ暗いのである。
例えば、彼女はこれまで、家族3人の誕生日には、手製のバースデーケーキを焼いていたが、プレゼントは準備しなかった。
ローンやら、教育費用がかさむので、節約第一の家計になっているのである。
それでも息子は、母親の手作りのケーキを喜んで食べ、満足していた。
ところが幼稚園に通い始めて、友達と色々と話しているうちに、誕生日にはどうやら、プレゼントというものがあるらしいと気が付いてしまったのである。
ある日、幼稚園に迎えに行くと、息子が顔を見るなり、「お母さん、どうしてうちは誕生日プレゼントがないの?」と言う。
話を聞くと、仲良しの●●ちゃんも▲▲くんも誕生日にはケーキのほかにプレゼントをもらっていた。
よほど衝撃を受けたのだろうか?
彼は幼稚園の子供達に片っ端から聞いて回り、誕生日にプレゼントをもらっていないのは自分だけだったと訴えたのだった。
「ケーキを焼いてあげているでしょ?あのケーキは嫌い?」と聞いてみた。
すると彼は嫌いじゃないけれど、プレゼントも欲しいと言い続ける。
あまりにしつこいので、彼女が「誕生日にはお母さんが焼いたケーキしかないの。それがうちの決まり」と繰り返し説明しても納得しないらしい。
つづく
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