スケバンと揉めることなく、一日を終えた翌日、亡霊が「3人で休憩に行っていいよ」と言った。
珍しいなあと思っていると、売り場の上司がやってくるのが見えた。
「さ、早く、早く、いいから休憩してきてよん」亡霊は暗いなりに、はしゃいでいた。
私達は追い立てられるように、上の階にある喫茶店に行き、ホットケーキセットを注文した。
スクバン二人は、くすくす笑いながら煙草を吸い始めた。
下手に口を挟んで「うるせえな」と言われると困るので黙って彼女達を見ていたら「なんか、変じゃないすか」とスケバンが言った。
「何が?」
「あの女、あいつのことが好きなんで、私らのことをおっぱらったんですよ」二人は親指を立てた。
「ああ、そうか」私が感心していると「だめっすよ、ぴんとこなきゃ」とスケバンに怒られてしまった。
しばらくホットケーキを食べ、ぐだぐだしていると、店が混んで来たから戻ってきてと亡霊が呼びに来た。
私はスケバンを先に行かせて、お金を払ってから売り場に戻った。
彼女たちは「うっす。ごちそうさんです!」とぺこりと頭を下げた。
別に空手もやっていないのに、「空手道」という言葉がぴったりしそうな態度であった。
そしてホットケーキセットをおごってもらったことで、心がなごんだのか、彼女はそれ以来、私のことを「先輩、先輩」と呼んで、なついてくるようになってしまったのだ。
彼との仲がうまくいっていないのか、亡霊がヒステリーを起こして理由もなく私を叱ることがあった。
亡霊がいなくなるとスケバン達がやってきて
「あったま来るなあ、あいつ」
「どうして先輩を怒るんすか」
「いっちょ、ヤキをいれてやりますか」などと言いだす。
「ひぇーっ、そんなことはやめて」
そう言っても、彼女達は舌打ちしながら
「許せないっすよ。いいじゃないすか、一発や二発くらい。それとも根性焼きをしたろか」と真顔で話していた。
「頼むからやめて」と言って、やっと彼女達に納得してもらったこともあった。
つづく
シミ、シワ、タルミ専門店
SOU創顔