短大に入って、おかっぱ人生が始まるのだが、当時、おかっぱはボブと言われた流行のヘアスタイルだった。
平安時代風の私の顔にも違和感がなかったが、ここでも又、「岸田劉生の麗子像」だの「こけし」だのと言われた。
しかし、武田鉄矢や菅原洋一と言われるよりは、まだマシだったので私はニコニコしていた。
そして40歳の頃、中年女のロングヘアは見苦しいと判断し、ばっさり切ることにした。
行きつけの美容院に行って相談したらスタイル見本の写真を何枚も見せられた。
どれもこれも外国人モデルの写真ばっかりで平安タイプの私には、どれが似合うのか、さっぱり見当がつかない。
「好きなスタイルを選んだらどうですか」と美容師さんが言ってくれたので、そのうちの一枚を選んだら、「それ、顔を小さい人じゃないと似合いませんよ」と言われてしまった。
そこで全て美容師さん任せで切ってもらった。
それは金髪モデルがしていたスタイルで写真を見たところでは全く私に似合うとは思えなかった。
そのヘアスタイルには、ヘア・アーティストが命名した「ジェナ」という名前までついていた。
私はカットし終わって鏡を見て満足した。
切って良かったと思った。
大喜びで家に帰ったのだが、鏡の前に自分の姿を映してみると誰かに似ているような気がする。
誰だろうと悩んで頭に浮かんだのが「少年アシベ」であった。
ゴマちゃんという名のアザラシを抱いていた、あの男の子である。
せっかく成熟した大人の女になろうとしたのに、結局は「ちびまる子ちゃん」から「少年アシベ」へと移行しただけ。
金髪モデルが同じヘアスタイルをしていたら、お洒落な「ジェナ」だが、私がすると「少年アシベ」まさに、「うーーむ」とうなるしかない。
現実は厳しい。
つづく
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