愛ーエステ

長年のエステティシャンとしての経験を生かし正しいスキンケアをお伝えします。

スケバン3

2019年04月29日 | 美容

高校2年生の後輩がバイトに入ってくると聞き、翌日、楽しみに出勤した私は「うっす」と挨拶され、「よろしくお願いします」と言ったものの、腹の中は「どっひゃーー」だった。

 

 

 

こんな子達を採用するなんて、よっぽど人手不足らしい。

 

 

 

 

やっと、どよーんとした亡霊から解放されると思ったのに、新しくやってきた同僚はスケバン。

 

 

 

 

それも高校にいたような、かわいいスケバンではなくて筋金入りである。

 

 

 

 

髪の毛は金髪、マスクをとると口紅は赤紫色。

 

 

 

もちろん長いタイトスカートに、かかとをつぶした革靴。

 

 

 

 

これから私は亡霊とスケバンに挟まれて、どうやって日々を過ごして行けばいいのか?本当にため息しか出て来なかった。

 

 

 

 

 

私が気を揉んでいるというのに全く仕事をする意欲のない亡霊は、スケバンたちには「仕事のやり方は、この人に聞いて」と私を指さし、ふらふらと売り場を離れていった。

 

 

 

 

頭の中には、スケバンとどう接していいかということしかなかった。

 

 

 

しばし、お互い見合っていたものの、私は相手がスケバンだと思うから怖いだけで、普通の年下の女の子が来たと思えばいいんだと、自分自身に言い聞かせた。

 

 

 

 

仕事のやり方を教えると、一応、彼女達は「うっす、うっす」と返事をしながらうなずいていた。

 

 

 

現像の受付カウンターの中にいると、アルバイトだか社員だかわからない。

 

 

 

 

ましてや化粧をばっちりして、毛まで染めているスケバンの方が私よりも、ずっと大人に見えるので、お客さんはスケバンのところに行き、「これ、お願いします」とカメラやフィルムを差し出したりする。

 

 

 

 

いくらスケバンと言えども、慣れないことにはうろたえる。

 

 

 

 

すると私のところに来て「うっす」とドスのきいた声で言うのだ。

 

 

 

 

「はい、はい」私もスケバンの機嫌を損ねるのは嫌なので、彼女のかわりに仕事をやってあげる。

 

 

 

 

そうするとお客さんが帰ったあとに「うっす」と言いながら、ぺこりと頭を下げる。

 

 

 

何でもかんでも「うっす」ですませてしまう、ボキャブラリーの無さにびっくりしつつ、スケバンと揉めることなく、私は一日を終えたのである。

つづく

 

 

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