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支持基盤の若者に見限られた韓国の文政権

2018-01-27 21:38:21 | 日記

支持基盤の若者に見限られた韓国の文政権


1/26(金) 15:30配信

ニュースソクラ



支持基盤の若者に見限られた韓国の文政権


文大統領=CC BY-SA /Lifesavior(trimmed)


仮想通貨規制と南北合同チームが支持離れに拍車

 「匿名で大統領を『災い』(在寅(ジェイン)と災い(ジェアン)の発音が似ていることから由来したダジャレ)と呼んで支持者を愚弄している」「これを黙認し幇助するポータルサイトも共犯だ」

 1月17日、与党・共に民主党の秋美愛(チュ・ミエ)代表は、ネイバーなど、インターネットであふれている文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対する悪質な書き込みに対して強い遺憾を表明した後、悪質な書き込みの作成者を追跡して告発する措置を行うと強調した。

ちょうどこの日発表された某新聞社の世論調査では、文在寅大統領に対する支持率が62.9%まで低下した。

韓国ギャラップの週間世論調査の最新結果(1月19日付)でも、前週に比べて6%も低下し、67%の支持率を記録した。

注目すべき点は、これらの世論調査結果で20代と30代の支持率の下げ幅が最も大きかったという点だ。

 2017年5月就任以来、文在寅大統領は今まで70%台半ばの高い支持率を維持していた。

特に、文在寅政権の誕生に決定的な役割を果たした「ろうそくデモ」の主導層だった20代、30代は80%を超える驚異的な支持率を見せ、「コンクリートの支持層」ともいわれてきた。ところが、この20代、30代の若い層が文政権に対して背を向け始めたのだ。

 韓国の若者の間で、文政権の支持率が大幅に下落した決定的な理由は、政府の仮想通貨規制策にある。今や全世界が仮想通貨ブームの真っ最中だが、韓国社会はブームを超えての狂風に包まれている。

特に、ビットコインの場合、韓国のウォンによる取引比率が10%で、日本、米国に続き、世界3位。

グローバル経済で約2%を占める韓国の経済規模を考えると、ビットコインは空前のブームといえる。

 このため「キムチ・プレミアム」という隠語があるほど、韓国では世界市場に比べて30~40%高い価格でビットコインが取引されており、全世界のビットコインの投資者たちの間で韓国の隠語である「Gazua(行こうという意味)」が注文の言葉として流行っているという。

韓国では200万人以上がビットコイン投資に乗り出したと言われているが、仮想通貨取引所の「ビッソム」の統計によれば、投資家の約60%が20代と30代の若者だ。

トレーディング方法がややこしく、しかも英語でのみ可能であるため、40代以上の投資者たちには障壁が高いこともあるが、何よりも不動産や株式投資など大金が必要な投資を行えない若年層には、仮想貨幣こそ最も簡単な投資手段であるからだろう。

就職難など経済的に弱者の若者が仮想通貨への投資を通じて、「人生逆転」を夢見ているのだ。

 ところが、1月11日、文在寅政権の朴相基(パク・サンキ)法務長官が仮想通貨取引禁止政策を発表し、仮想通貨取引所の閉鎖を示唆した。この発表を受けて仮想通貨市場は暴落。

投資者たちの抗議が殺到するや、大統領府は法務長官の発言のわずか7時間後に「取引所の閉鎖は確定された事案ではない」と釈明に出たが、韓国の仮想通貨市場はそれ以来暴落を重ねている。

現在、大統領府のホームページでは仮想通貨規制に反対する請願が20万人を突破し、インターネットは文大統領と政府を非難する書き込みで溢れている。

 韓国の若者たちが文大統領から背を向けたもう一つの原因は、平昌(ピョンチャン)五輪の南北合同チーム構想だ。

2月9日から開催される平昌五輪に北朝鮮が参加を決めたことで、文政権はこれを政治的に活用するさまざまな演出を計画している。

たとえば、金剛山(クムガンサン)でのオリンピック前夜祭開催、北朝鮮の馬息嶺(マシンリョン)スキー場の活用、南北合同チーム(女子アイスホッケー)の構成、太極旗(韓国の国旗)ではなく韓半島旗を挙げて南北が同時入場する計画などだ。これらの行き過ぎた演出に韓国国民は相当な傷を受けている。

 特に問題になっているのが女子アイスホッケーチームの南北合同チームの構成だ。

自力でオリンピック出場権を得た韓国チームの選手の一部を国家代表から外し、しかも五輪大会を目の前に控えた今になって北朝鮮と合同チームを構成するのは、選手たちに対する配慮がまったくない非常識的な発想ということだ。

韓国の民間テレビ放送局のSBSによると、南北合同チームに対する反対世論は72%を超え、特に20代と30代の反対世論はそれぞれ82%を超えている。

「合同チーム構成は公正でも正義的でもない」「(文大統領は)人が大事だと言っていたが、(韓国人より)北朝鮮の人が大事だということか?」「これはまさに平昌五輪ではなく、平壌(ピョンヤン)五輪だ」「歴史的な場面を演出するために国民の犠牲を強要するな」など、韓国のインターネットで映し出された20代~30代の反応はまさに爆発寸前だ。

 数年前から韓国社会は本格的な低成長時代に入り、厳しい競争に追い込まれている。

特に、過去の高度成長の果実は40代~50代の既成世代が独占し、韓国の20代や30代は未来に対する不安から、結婚、出産、マイホームを諦めた「3ポ(ポとは、諦めるを意味する韓国語の頭文字)世代」と呼ばれている。

 このような中、2017年に発足した文政権の経済政策は何の効果も発揮できないまま、2017年の韓国若者の失業率は19年ぶりに最高を更新した。

急激な最低賃金率上昇政策に自営業者たちは悲鳴を上げ、大学生たちはアルバイトまで奪われた。階層移動のできる最後の「希望のはしご」と呼ばれていた司法試験制度の廃止も2017年に決まった。

これらに加えて仮想貨幣規制や不公正な南北合同チームの推進などが若者の失望に拍車をかけたとも言えるだろう。若者の支持率を上げるためには、インターネット上の書き込みを取り締まる法案ではなく、若年層の剥奪感や怒りを和らげる根本的な対策こそが文政権の急務ではないだろうか。
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朴英南 (ジャーナリスト 在ソウル)