世間では、「天文学的」という言葉が使われる。現実離れした数字という意味だ。この「天文学的」なる言葉に「超」を付けざるを得ない債務を背負う企業が中国に現れた。

 

中国全国の鉄道事業を運営する中国鉄路総公司である。中国の国鉄だ。当欄では、すでにこの問題を取り上げたが、詳細な経営データが入手できたので改めて「中国式経営」の無鉄砲さを見ておきたい。

 

『レコードチャイナ』(5月4日付け)は、「中国鉄道の負債残高が過去最高の87兆円に 2018年純利益の2580年分」と題する記事を掲載した。

 

 

(1)「中国メディア『新京報』(5月1日付)は、中国全国の鉄道事業を運営する中国鉄路総公司の3月末時点の負債残高が、過去最高の5兆2683億元(約87兆2400億円)に達したことが分かった。同公司の2018年通年の純利益は20億4500万元(約339億円)で過去最高だったが、単純計算では同社は純利益約2580年分の負債を抱えていることになる」

2019年3月末負債残高 約87兆円

2018年純利益 約339億円

前記の負債残高は2580年分の純利益に相当する。中国鉄路総公司は、中央政府所管の国有企業である。同社の抱える債務総額は、中国政府の債務に計算される。

 

(2)「2018年の売上高は1兆955億元(約18兆1600億円)で、前年の1兆154億元(約16兆8100億円)を上回った。純利益は20億4500万元で、前年の18億1900万元(約302億円)を上回り、過去最高になった。18年の運輸収入は7569億元(約12兆5500億円)で、客運収入は3570億元(約5兆9200億円)、貨物輸送収入は3522億元(約5兆8400億円)だった」

 

2018年の売上高 約18兆1600億円

     運輸収入 約12兆5500億円

      純利益      約339億円

売上高純利益率      0.187%

辛うじて赤字を免れている決算だが、中国得意の決算操作が行なわれてであろうから、実態は赤字であろう。

(3)「2018年末の負債残高は5兆2134億元(約86兆4300億円)で、19年3月末にはさらに増えて5兆2683億元に達し、過去最高になった。純利益も増加しているが、負債残高も増加しており、19年3月末の負債残高を18年通年の純利益で割る単純計算をすると、約2580年分ということになる

2018年末負債残高   約86兆4300億円

2019年3月末負債残高 約87兆2400億円

たった3ヶ月で8100億円もの債務増加である。米中貿易戦争の影響を受けて急減速する景気を下支えすべく支出した金額(債務)である。正常な経営感覚を飛び越えたもので、中国経済が危機的状況にあることを間接的に証明している。

 

ここまで来ると、債務が「レバレッジ」(テコ)という成長促進という当初の役割から、生き延びるための「延命」に変わっていることに気付くべきだ。「延命」には寿命という限界がある。中国経済は確実にその「限界」に向かっている。