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日韓関係は崩壊寸前

2019-05-23 18:00:39 | 日記

文在寅政権の2年

 

新宿会計士

 

日韓関係は崩壊寸前

先日、韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)大統領の在任期間が2年を超えました。

良い機会だと思って、当時の状況を振り返ろうとして、2年前の当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』の記事『日本人よ、「日韓新時代」を覚悟せよ!』を読み返していたのですが、

そのなかで「文在寅大統領の最初の仕事は日韓関係の破壊」という予測をしていて、我ながら苦笑しています。

これは、文在寅氏が当時から日韓慰安婦合意の破棄・再交渉に言及していたことに加え、

高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の撤回を匂わす発言を行ったり、

北朝鮮との金剛山観光事業・開城工業団地事業の再開を明言していたりした点などを手掛かりにした予想です。

ところが、文在寅政権発足からわずか2年で、現在、日韓関係は崩壊の危機にあります。

その原因はいくつもあるのですが、

文在寅政権下の韓国は以前から存在している日韓間の各種懸案(慰安婦問題、日本海呼称問題、竹島不法占拠問題)をまったく解決せず、それどころか、

  • 徴用工判決問題
  • 慰安婦財団解散問題
  • レーダー照射問題
  • 国会議長による上皇陛下侮辱発言問題
  • 旭日旗騒動

などのあらたな問題を引き起こしたからです。

米国、中国との関係も悪化

ただ、不思議なことに、文在寅政権は日本との関係だけでなく、米国、中国との関係も悪化させているのです。

このことは、歴代の韓国の政権が取ってきた戦略に重ねあわせてみると、よくわかります。

というのも、従来の韓国の政権は、日本との関係を損ねても、中国や米国との関係については良好に保とうと努力して来たからです。

たとえば、韓国の金泳三(きん・えいさん)大統領(当時)は1995年11月、中国の江沢民(こう・たくみん)国家主席との首脳会談後の共同記者会見で、「日本の『ポルジャンモリ』を叩き直す」との暴言を吐きました。

この「ポルジャンモリ」とは、いわば、目上の者が目下に対して「バカタレ」、「礼儀知らず」などと蔑む際に使う単語だそうであり、こんな単語を外交の場で使うのは異例です。

ただ、この発言の裏には「中国の後ろ盾を得た安心感」があったことは間違いありません。

また、朴槿恵(ぼく・きんけい)前大統領はバラク・オバマ米大統領(当時)が取り持つまで、

安倍晋三総理大臣との日韓首脳会談に応じようとしませんでしたが、

これも「米国の後ろ盾を得て日本を叩く」という発想のあらわれと見るのが正解でしょう。

ところが、文在寅政権の2年間を見ると、韓国は少なくとも中国、米国との関係についても良好であるとは言い難い状況です。

たとえば、文在寅氏自身、2017年12月には「国賓」として中国を訪問していますが、「国賓」と言いながら、滞在期間中は何度も「ひとりメシ」を余儀なくされるなど、徹底的に冷遇されました。

翌年に訪中した安倍総理が習近平(しゅう・きんぺい)国家主席から厚遇されたのとは対照的です。

また、米国との関係については、それこそ「歴代最悪」という言葉がよく似合います。

米国の同盟国でありながら、あたかも北朝鮮の独裁者・金正恩(きん・しょうおん)のスポークスマンであるかのような言動を取っていることが、米国の信頼を決定的に損ねているのです。

政治もダメ、経済もダメ、金融もダメ

しかも、運悪く、大海に辛うじて浮かぶ小船が荒波で転覆しそうになっているかの如く、現在、国際情勢は韓国にとってきわめて不利な状況にあります。

まず、経済・金融面でいえば、いつ韓国を通貨危機が襲っても不思議でない状況が生じつつあります。

最大の輸出相手国である中国は、

米中貿易戦争の余波を受け、国際的なサプライチェーンから除外されそうになっていますし、

中国経済が崩壊すれば、対中輸出高がGDPの10%を占める韓国経済にとっても無事ではないでしょう。

また、米国のイラン制裁の影響によりイラン産の原油の輸入が難しくなったこと、

自動車メーカー・ルノーサムスンで労働争議が頻発するなかで同社の韓国撤退リスクが高まっていることなど、経済環境は非常に厳しいと言わざるを得ません。

これに加え、経済情勢を無視して文在寅政権が発動した最低賃金の引き上げは韓国の雇用状況にかなりの悪影響を与えている可能性もあるようです

(※このあたりはいずれ、機会を見て、OECD等のデータを使った分析を行ってみたいと思います)。

さらに、当ウェブサイトでは何度か触れたとおり、韓国の通貨・ウォンが対米ドルで下落しています。

韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)の報道によると、韓国ウォンは4月を通じて2.9%下落したとしており、この下落率は「主要新興国の通貨ではトルコリラとアルゼンチンペソに次ぎ、3番目」だったのだそうです。

際立つ韓国の通貨安 1カ月で対ドル2.9%下落(2019.05.12 11:15付 聯合ニュース日本語版より)

このような苦境を乗り越えるために、伝統的に韓国が持ち出して来たのが、日米との関係です。

たとえば、2008年に米リーマンブラザーズの経営破綻に端を発する世界的な金融危機が発生したときには、

韓国の通貨・ウォンが暴落し、一部では韓国経済が連鎖破綻するとの噂もあったのですが、このときは12月に入って日米などから通貨スワップを提供され、事なきを得ました。

韓国と距離を置く

用日論が頭もたげるのも当然

もちろん、今すぐ韓国を通貨危機が襲うと申し上げるつもりはありませんが、万が一、韓国経済が再び破綻の危機に瀕すれば、「2008年にときのように、日米との連携によりそれを乗り越えるべきだ」、との主張が、韓国国内では強まるでしょう。

しかし、2008年当時は李明博(り・めいはく)政権が日米との関係を比較的良好に保っていたことを忘れてはなりません。

これに対し、文在寅政権下の韓国は、日本との関係だけでなく、

米国との関係についても極端に悪化させているのであり、万が一、

現時点で韓国が通貨危機に巻き込まれたとしても、少なくとも日米両国は身銭を切って韓国を助けるとも思えません。

こうしたなかで、韓国側の「保守派」と呼ばれるメディアを中心に、最近になって頻繁に出てきているのが、「韓日関係の破綻を防ぐためには、韓日双方が譲歩すべきだ」、といった主張です。

当ウェブサイトでも、日本語版ウェブサイトを保持している東亜日報、中央日報、朝鮮日報の3紙(以下「東中朝」)の論調は頻繁に取り上げているので、

以前からの読者の皆さまはご存知でしょう(最近だと『韓国人学者「日本から見て信頼に値するのは韓国より北朝鮮」』でも触れています)。


ルポ 絶望の韓国 (文春新書)

2019-05-23 17:33:49 | 日記

ルポ 絶望の韓国 (文春新書)

  • 作者: 牧野愛博
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/05/19

 

内容紹介 これは“嫌韓本”ではありません。韓国を愛し、理解しようとつとめてきた筆者が見た、ありのままの韓国のルポルタージュです。

 筆者は、朝日新聞の外信記者として、長年、韓国とかかわってきました。

現在はソウル支局長として、日々の取材にあたっています。

その筆者にして、今の韓国は、「病理」とも呼べる状況に陥っているとしか見えないところに、本書のテーマの深刻さがあります。

 著者は朝日新聞のソウル支局長です。

 朝日新聞と韓国か……と、考え込んでしまう人も少なくないと思いますが、この新書に関しては、著者が実際に韓国で取材・生活して得た「実感」が詰まっています。

  朴槿恵前大統領の逮捕について、著者はこう述べています。

 朴槿恵が民主主義を軽んじたのは事実だ。

一方で、朴を取り巻く、高級官僚や検察、メディアなどは朴の失政を十分チェックできず、問題を大きくしたあげく、問題が表面化するや、今度は豹変して一斉に朴をたたいた。

大手メディア幹部だった知人は「右から左までメディア全社が朴をたたいた。

たたかなければ自分が批判されるという危機感があった」と語る。

憲法裁判所まで朴の弾劾を八対〇の全員一致で決めた。

別の知人は「むしろ少数意見もあったほうが、司法の健全性を示せたのに」と語る。
 一方で、市民は「法の下の平等」が保証されていないと思うから、「ロウソク集会」と呼ばれる市民集会に打って出た。

韓国には「国民情緒法」がある、と言われるゆえんだ。
 

チェ・スンシルの娘、チョン・ユラが名門の梨花女子大に入ったことも、激烈な教育競争で疲弊した世の中の人々を激怒させた。

知り合いの大学教授が、「不正入学と兵役忌避は、韓国人が最も忌み嫌う不正行為なのだよ」と教えてくれた。
 

そして、何よりも皆が怒ったのは、だれも責任を取ろうとしない態度だった。

朴槿恵も最後まで辞任せず、憲法裁判所の弾劾決定が出ても、自ら受け入れる考えを示さなかった。
 

そして、権力者である「持てる者」と「持たざる者」である市民たちの格差は開く一方にある。

この現実への怒りが、市民の行動をさらに激烈なものにした。

後述するが、韓国は今、日本がかつて経験した「失われた二十年」の入り口に立たされている。

釜山領事館に立てられた少女像の問題は、こうした現象のひとつの派生形とも言える。

 これを読んでいると、高度経済成長を謳歌してきた韓国が、いま、大きな曲がり角を迎えていることがわかります。

 経済成長は停滞し、強烈な学歴社会で、みんな競争に疲弊している。  

そして、持てる者と持たざる者の格差は、広がっていく一方です。
 

航空会社の幹部が「乗務員のナッツの配り方が悪い」と激怒して、飛行機を飛べなくしてしまった「ナッツリターン事件」は、「何それ?」と半ばネタのように日本では報道されていましたが、僕は「なぜ、そんなことをしてしまう人間が育ち、大企業の幹部になってしまったのだろう?」と疑問だったんですよね。

 しかし、そんな事件に対する、韓国国民の処罰感情の強さも驚くべきものでした。

 大変バカバカしく、迷惑な事件ではあるけれど、これで実刑(懲役1年)になるのか、と。  「国民感情」が、ここまで司法に影響するというのは、怖い気がします。
 

でも、そういう処罰感情の強さというのは、「バッシングに加わらなければ自分が危険にさらされる」という恐怖心からきている面も大きいのです。  

それこそ、太平洋戦争時の日本での「非国民」と同じように。

 韓国はほぼその時代の政治リーダーが変わるたびに、政党も看板の掛け替えを続けてきた。もっとも長く続いた政党でも、朴正煕政権時代の与党、民主共和(1963~1980年

)の十七年に過ぎない。セヌリ党の前進、ハンナラ党もわずか15年しか持たなかった。
 与党関係者は自虐的な口調でこう語る。「与党の名前なんて、自由、共和、韓国など、保守をイメージした名前をビビンパプのように混ぜて組み合わせ直すだけなのさ」。
 

野党も、金大中元大統領の流れをくむ南西部、全羅道を地盤とする政党が代々、民主党という屋号を保ってきたが、めまぐるしく政党母体が変わるため、「新千年民主党」「統合民主党」「共に民主党」など、だんだん冗談のような名前になってきている。

 こういうのをみると、ひどいネーミングセンスだな、と思うのと同時に、他人事じゃないよな、とも感じます。

 これを読んでいると、朴槿恵さんというのは、暗殺された大統領の娘であったがために、世間から離れた暮らしをしていて、世知に疎い人だったということがわかるのです。
 

変な人を近づけて国政を壟断されたのも、もともと人脈が乏しくて、そのなかから長年の知り合いに頼ったという感じで、朴槿恵さん自身は権力者としては質素な暮らしをしていたのだとか。

 本人にとっても、周囲にとっても「大統領になんか、ならなければよかったのに……」と、考えずにはいられません。

「他人に迷惑をかけるな」。

日本の子供が、親から真っ先に教わる処世訓のひとつだ。

「韓国の場合は少し異なるのだ」と日本に留学経験のある大学教授の友人が教えてくれる。

韓国では、「どんな場所に出ても気後れするな」と教えるのだという。

大学教授は、その背景について「韓国では生存競争が激しい。

下手に譲り合っていたら、競争から振り落とされてしまう」と語る。

 韓国統計庁によれば、一日の平均学習時間は、小学生5時間23分、中学生7時間16分、高校生に至っては8時間28分にも及ぶ。

韓国では最近、「ホンパブ」という言葉が流行っている。

一人(ホンジャ)で食べるご飯(パブ)という意味だ。

韓国では、昼食や夕食を友人や職場の関係者と食べるのが普通だが、最近では一人で食事する人も増えてきているという。

この一定の部分を、学院に通う前に一人で腹ごしらえをする子供たちが占めているとされる。

実際、学院が密集する地域に行けば、一人でハンバーガーやキンパブ(海苔巻き)を食べている小中学生を簡単に見つけることができる。

 日本で「失われた20年」と呼ばれているのは、バブル崩壊後の1991年からです。

 僕は1990年代の最初は大学生で、バブルによる狂乱と、その後の鬱屈した時代をみてきました。

 著者が指摘しているように、いまの韓国が置かれている状況というのは、あのころの日本に近いようにみえます。
 

経済は停滞し、どんなに頑張っても成功へのルートは細くて頼りない。

 でも、過去の良い時代を知っている人たちは、「がんばれば、うまくいくはずだ」「ダメなのは、お前の努力が足りないからだ」と責め立ててくる。

 そのストレスが、排外主義や諦めや鬱の原因となっていく。

 世界は今、米国でも欧州でも日本でも格差社会が広がりつつある。

人々には不満やいらだちが募っている。

それをぶつける相手を探すとき、自分たちと関係のない集団がいればとても便利だ。

周囲の共感が得られやすいからだ。それが、米国で黒人排斥運動に、欧州で移民排斥運動に、日本では嫌韓運動に結びついたと、私は思っている。

私自身、韓国の人々にいらいらすることはよくあるが、だからと言って、相手のことを悪し様に言って良いわけがない。
 

今、韓国では日本の「失われた二十年」よりも更に深刻な不況が迫りつつある。

本書で書いたように、韓国の人々にも不満が高まっている。

私が東部・江原道高城郡で会った失業者の男性宅は、トタン屋根に粗末な家具が少しだけおかれた、バラックのようなたたずまいだった。

釜山の少女像を取材したときに見たのは、「怒りのはけ口」を求めている人々の姿だった。

 理屈はわかる、でも、そんな「怒りのはけ口」にされるほうの身にもなってくれ、というのが、こちら側の気持ちではあるのです。

 結局、本当の問題は、内側のほうにあるのだよなあ。  それは、万国共通なんでしょうけど。


文大統領、所得主導成長に続いて財政拡大、次は増税?

2019-05-23 16:35:08 | 日記

文大統領、所得主導成長に続いて財政拡大、次は増税?

5/23(木) 15:49配信    

    

中央日報日本語版

韓国の1-3月期の経済成長率が経済協力開発機構(OECD)22カ国のうち最低となった中、文在寅(ムン・ジェイン)政権が財政支出拡大に目を向けている。

米中貿易紛争で輸出の見通しが暗く、最低賃金制引き上げや週52時間勤務制などの余波で内需沈滞までが長期化する中、政府が景気回復に向けて直ちに動員できるカードが財政しかない状況だ。
 

特に来年は総選挙があるため、与党は2020年度の予算規模をできるだけ増やそうとしている。

初めて500兆ウォン(約46兆円)を超えるスーパー予算になるという見方もある。

こうした予算を組むためには政府が債務を増やすしかない。

これに関連し文在寅大統領は16日の国家財政戦略会議で「財政健全性の基準がGDPに対する国家債務比率40%である根拠は何か。

我々は積極財政を展開する余力がある」と述べたことが伝えられ、政治的論争を呼んだ。自由韓国党など野党は「国家債務増大は未来を担保に現在を取って食べる行為」と反発した。
 

実際、財政拡大は文在寅政権の核心政策である所得主導成長と哲学を共有するイシューだ。

盧武鉉ノ・ムヒョン)財団の柳時敏(ユ・シミン)理事長のような与党側の人たちは「庶民の可処分所得を増やして内需を活性化しようというのが所得主導成長であり、これは新ケインズ主義」と話す。

有効需要創出のための財政投入という側面で所得主導成長と財政拡大は似ている。
 

福祉拡大を追求する文在寅政権の路線上、財政拡大は必然的な帰結だ。

最低賃金引き上げ、非正規職の縮小など現政権の主要政策はほとんど財政拡大を基盤とする。

予備妥当性調査の免除で社会基盤施設に資金を投入することにしたのも同じ脈絡だ。

予算の誤用・乱用を防ぐために事業費500億ウォン以上の事業の実効性を問いただすのが予備妥当性調査だが、文政権は「地方均衡発展を阻害する」として予備妥当性調査免除という過去になかったカードを取り出し、24兆ウォンを支出することにした。

ただ、財政拡大は世界的な流れでもある。経済学者のウ・ソクフン博士は「世界的に利率自体が低い状態で政策金利を通じた金融政策には限界があるため、財政を拡大しようという議論が活発だ」とし「ただ、カギはどれほど具体的な青写真を持って国民と野党を説得するかという点だが、現政権にはまだこの部分が見えない」と述べた。
 

問題はいま政府が債務を増やさなければいけない時期なのか、償還する余裕はあるのかだ。

企画財政部によると、2018年38.2%だった国内総生産(GDP)に対する国家債務比率は2019年39.5%→2020年40.3%→20211年41.1%→2022年41.8%と漸増する見通しだ。
 

専門家の立場は分かれる。「長期的には国家債務が増えれば信頼度が落ちるが、今年は景気のハードランディングが懸念される状況であり拡張財政が必要」(延世大キム・ジョンシク教授)という主張と、「わが国は国家予算が470兆ウォン程度だが、これでも足りないというのは何をどうしようということなのか。民間の経済活力に注力する時であり、現金をばらまく時ではない」(チョ・ドングン明知大経済学科名誉教授)という主張が衝突している。

もちろん政府はまだ韓国の財政健全性は十分だという立場だが、今後速いペースで高齢化が進むことを勘案すると政府はこれに備えるべきだという意見も多い。
 

実際、歴代政府でも財政拡大はいつも論争を呼んだ。

特に財政拡大を好む進歩政権で論争が激しかった。盧武鉉大統領は2006年の新年の演説で「二極化解消のために財政拡大が必要だ」と述べたが、当時の朴槿恵パク・クネ)ハンナラ党代表は「むしろ減税政策をすべき」と述べ、論争に火がついた。

その朴槿恵政権も基礎老齢年金の導入などで財政拡張基調を継続した。2015年9月には当時最大野党だった新政治民主連合の文在寅代表が「朴槿恵政権3年で国の金庫が空っぽになり、GDP比40%にのぼる国家債務を国民と次の政権に押しつけることになった」と批判した。
 

財政拡張は増税につながる可能性が高い。ただ、過去3年間は税収が多かったため、税率引き上げの話が出てこなかった。

ところが今年は事情が違う。1-3月期の国税が78兆ウォンと、1年前に比べ8000億ウォン減った。
 

韓国開発研究院(KDI)は「2019年上半期経済展望」で「国税収入の増加が鈍ると予測される。財政支出を効率化して中長期財政の余力を確保しなければいけない」と警告した。
 

税収を増やすには中長期的に成長率を高めたり税率を上げなければいけない。

ちょうど与党からは租税負担率を増やすべきだという主張が提起された。民主党の崔運烈(チェ・ウンヨル)議員は文大統領が開いた国家財政戦略会議で「IMF(国際通貨基金)が『租税負担率を高める必要がある』と勧告しただけ我々も積極的に対応すべきだ」と述べた。

民主党内では「大企業の法人税を引き上げたり高所得者に対する税率を現実化する必要がある」という声が出始めた。

ただ、選挙を控えて増税の話をするのは票につながらないため、本格的な増税論争は来年の総選挙以降になるという見方が出ている。