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韓国、「無責任」政府、17ヶ月後に最賃大幅引上げ「副作用認める」

2019-05-28 18:25:45 | 日記

勝又壽良の経済時評

日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。

2019-05-27 05:00:00

韓国、「無責任」政府、17ヶ月後に最賃大幅引上げ「副作用認める」

テーマ:ブログ

文在寅政権ほど無責任な政府はない。

自らの支持基盤である労組の要求を鵜呑みにして、2年間で約30%の最賃大幅引上げを行なったからだ。

その結果、失業者が激増して自営業の廃業という社会的な混乱を生んできた。

それにも関わらず、一貫して「景気は好調」と嘯(うそぶ)く政府がどこにあるだろうか。最低最悪の政権である。

 

シンクタンクは、この政府の行状を見て見ぬふりしてきた責任も大きい。

韓国では、大統領府の権限がきわめて大きく、ここに睨まれたら出世街道から外れるという権威社会である。

エコノミストは、じっと沈黙を通してきたが、ついにそれも限界とばかりに一斉に発言し始めている。

これに押されて、韓国政府もついに、最賃大幅引上げによる景気悪化を認める羽目になった。

17ヶ月もかかったのだ。この間に、多くの国民が職を失い路頭に迷わされてきた。

 

『朝鮮日報』(5月23日付け)は、「最低賃金引き上げの副作用、認めるまで1年5カ月かかった韓国政府」と題する記事を掲載した。

 

(1)

「最低賃金引き上げが卸売・小売業、飲食・宿泊業、自動車部品製造業などの雇用に悪影響を及ぼしたという事実を雇用労働部(省に相当)が初めて正式に認めた。

同部の用役業務を引き受けた学会の深層調査の結果、従業員を減らしたり、営業時間を短縮したりしたことが確認されたというものだ。

国民が既にはっきりと気付いていることを認めるのに、なんと1年5カ月もかかったのだ。

これは頑固ではなく現実逃避だ。

報告書の内容は、最低賃金の急速な引き上げが始まった昨年以降、ほぼすべての専門家・報道機関・現場の雇用主らが粘り強く言い続けてきたことと同じだ」

 

文氏は、自ら「雇用政府」などと麗々しい宣伝文句を使って登場した。

結果は、真逆の「失業製造機関」であった。これほど、インチキな政府も珍しい。

労組のご機嫌取りであった。雇用体系が崩れた今になってやっと「副作用が確認された」と言って、店を閉めた人々や仕事を失った人々をいっそう絶望させている。

 

(2)

「これまで政府は、雇用の悪化は『最低賃金とは関係ない』という姿勢を崩さなかった。

一昨年まで年間30万件に達していた雇用増加数が、最低賃金を16.4%引き上げた昨年、突然9万7000件に急減した。

それでも政策当局者たちは『最低賃金引き上げによる雇用の減少はない』大統領府政策室長)、「『最低賃金引き上げで失業率が増加した』という主張に同意するのは難しい」(雇用部長官)と言い張ってきた。

今年に入ってから4月までの雇用が約17万件増えると、大統領府雇用首席秘書官は「画期的変化」と再び事実をごまかした。

この増加がゴミ拾いやおもちゃの消毒といった短期アルバイトの雇用を大量に急ごしらえした結果だということを知っていながらの発言だ。国民を欺こうとしたのだ」

 

文政権の言い逃れを見てきて気付く点は、進歩派と自ら言う政権ほどその実態は、胡散臭いということだ。

「86世代」という得体の知れない集団が、自らの利益のために国民を犠牲にしてきたことは疑いない。

こういう政治制度抜本的に改め、日本のように内閣に責任を持たせる「議員内閣制」にしなければ、どうにもなるまい。

大統領府へ政治に無経験の人間が入り込むと、今回のような悲劇が起こる。 

 

(3)

「生産性と乖離した無理な賃金引き上げが雇用を悪化させるのは経済の常識だ。

韓国経済報告書を先日発表した国際通貨基金(IMF)調査チーム団長は「最低賃金が2年間で30%も引き上げられれば、どんな経済も持ちこたえられない」と言った。

韓国の経済成長率展望値を2.6%から2.4%に引き下げた経済協力開発機構(OECD)も「最低賃金引き上げで低熟練労働者の雇用増加が鈍化した」と分析した。

外国人の目にもはっきりと見えていることを政府が必死に認めようとしないのは、結局、所得主導成長論が「聖域」だからだ」

 

文氏好みの「所得主導成長論」なるものは、経済学の素人を引きつける魔力がある。

所得が上がって労働者が楽になる。このことに反対する向きは誰もいない。

ただ、生産性を引き上げる工夫も不可欠であるが、文氏は反企業主義に染まっている。

生産性向上は、企業を利するという錯覚に陥っているから、この部分は初めから切り捨てられた。

要するに、最初から失敗は不可避の「自爆型」政策である。

この簡単な理屈が、文氏には飲み込めないのだ。盲信とは恐ろしいものである。

 

 

 


きしむ米韓、揺れる韓国 日米蜜月の裏で

2019-05-28 18:19:02 | 日記

きしむ米韓、揺れる韓国  日米蜜月の裏で

朝鮮半島
北米
                    
2019/5/28 17:21
情報元
日本経済新聞 電子版

【ソウル=恩地洋介】

トランプ米大統領が28日まで来日し日米の蜜月ぶりが際立つなか、韓国では対米関係の悪化への懸念が広がっている。

韓国軍は27日、米韓軍事演習に代わって米軍が参加しない単独の演習を始めたが、北朝鮮への即応力低下を懸念する声がある。

トランプ氏に訪韓を要請した文在寅(ムン・ジェイン)大統領の電話記録が漏れ、現役外交官が刑事告発されるなど混乱も生じている。

保守系紙の中央日報は28日付の社説で「米国と日本が蜜月のなか、韓国は孤立の道を行く雰囲気だ」と指摘し、文政権の対米外交を批判した。

韓国の保守系野党、自由韓国党は日米両首脳が会談した27日に「韓米間の信頼と協調は大きく傷ついている」とする論評を出した。

27日から始まった韓国軍の「乙支太極演習」は保守派の懸念を裏付ける内容だ。

30日までの間、官・民・軍の関係機関が参加してテロや化学兵器への対応訓練を実施する。

米韓両軍が例年8月ごろ実施してきた指揮所演習「乙支フリーダムガーディアン」の代替措置だが、北朝鮮への攻撃や反撃を想定する訓練は、防御中心へと変わった。

2度の米朝首脳会談を経て、米韓合同軍事演習は大幅に縮小した。

北朝鮮に配慮し、春の野外機動訓練「フォール・イーグル」など大規模な合同演習はいずれも打ち切られた。

今年は規模を縮小し非公開で実施されているが、専門家は北朝鮮への軍事圧力は大きく軽減したと指摘する。

北朝鮮はそれでも批判を続けている。

ラヂオプレスによれば、官営ラジオの朝鮮中央放送は27日夜に「南朝鮮(韓国)の好戦勢力は戦争演習騒動にしがみつき、対決熱を鼓吹している」などと韓国軍の演習を非難した。

トランプ氏は6月末に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議の後、韓国を訪れる予定だ。

しかし、文氏がトランプ氏に訪韓を要請した際のやりとりが野党議員に暴露され、保守派による政権批判の材料となっている。

この野党議員によると、文氏は7日の米韓電話協議で「少しでも韓国に立ち寄ってほしい」とと要請した。

トランプ氏は「在韓米軍の前で文大統領と会う案を考えてもいい」と応じた。

野党側は文氏の外交姿勢を「屈辱的だ」などと批判。

文氏が4月にワシントンで米韓首脳会談に臨んだ際も「トランプ氏との単独会談は2分だけ」(韓国メディア)などと取り沙汰された経緯もあり、政権の外交への批判を強めている。

他方、韓国大統領府は通話記録などの調査から駐米韓国大使館の外交官が野党議員に情報を漏らしたと判断。

韓国外務省は28日、外交機密を漏洩したとして、駐米韓国大使館の外交官と野党議員を刑事告発すると発表した。


迷走極める 韓国・文政権の政策運営

2019-05-28 17:43:50 | 日記

2019.5.28

韓国・文政権は「どうにもならない状態」でも、日本が油断できない理由

真壁昭夫:法政大学大学院教授

迷走極める 韓国・文政権の政策運営

 最近、韓国の文政権の政策運営を見ていると、国内外からの批判は一段と高まっているようだ。

わが国にとって、距離的に近い隣人はいよいよ迷走を極めているようにみえる。

 李洛淵(イ・ナギョン)首相が、韓国最高裁が日本企業に命じた元徴用工への賠償命令に関して、「政府の対応には限界がある」と発言したことは不可解でならない。

李首相は元徴用工訴訟問題の対応責任者である。

日韓請求権協定は、両国間の請求権問題などが“完全かつ最終的に”解決済みであることを明記した。

本来、元徴用工の問題は韓国の国内問題と考えるべきだ。

しかし、韓国はこの問題に手を付けることができず、文政権は日本の協議要請に応じなかった。

日本の立場からすれば、政府間の約束を反故(ほご)にされたことになる。

5月、韓国の原告団は日本企業の資産売却指示を出すよう裁判所に申請した。

 戦後最悪の日韓関係は、日に日に深刻さを増している。

韓国の責任者が匙(さじ)を投げた以上、2国間で協議を進めることはできない。

日本は認められた権利を行使し、企業に実害が及ぶことを避けることを考えなければならない。

20日に政府が韓国に対して請求権協定に基づく仲裁付託を通告したことは当然だ。

 これから先、日本は韓国を、まともに相手にする必要はないだろう。

それよりも、政府は“親日国”の獲得に注力する方が得策だ。

日本が国際社会の中で発言力を高めるために欠かせない。

米中の通商摩擦が激化しているだけに、日本はより多くの国と関係を強化し、国際世論を形成することを考えればよい。

国内世論対応への 限界迎える文政権

 社会心理学的に、韓国世論の特徴は“恨み”にあるといわれる。

恨みの心理は、韓国の政治、経済、安全保障に無視できない影響を与えてきた。

文大統領は、この社会心理に寄り添う姿勢を示して大統領の座を手に入れることはできた。

しかし、今や、文大統領は世論をどうすることもできなくなってしまった。

 文氏が行き詰った原因の1つは、経済運営の失敗だ。

文政権は、世論に配慮して最低賃金の引き上げを公約に掲げた。

韓国経済は、財閥企業による寡占状態にある。

世論は財閥創業家一族に富が集中している状況に怨みをため込んだ。

最低賃金を政府の力で引き上げ、財閥企業の経営改革にも踏み込むと主張した文大統領の政策は、世論に歓迎された。

その後、文政権が企業からの反発に遭い、最低賃金の引き上げ公約をあえなく断念すると、世論は一気呵成(いっきかせい)に大統領をバッシングし始めた。

 その上、中国経済の減速や財閥企業の世襲経営の限界を受けて韓国経済は失速しつつある。

文政権は、「恨み」をため込む社会心理に配慮しつつ、財閥に依存した経済運営を続けるしかない。

韓国からは資本が流出し、ウォン安が進んでいる。

先行き不安の高まりとともに、世論の政権批判は激化するだろう。

 さらに文氏は、融和を申し出てきた北朝鮮にもパススルーされてしまった。

北朝鮮は、文政権に“微笑み外交”を仕掛け、制裁解除を米国にのませようとした。

しかし、韓国経済が悪化し、文政権がレームダック化していることを受けて、北朝鮮は韓国を相手にしなくなった。

すでに北朝鮮はわが国との対話を重視し、米国との直接交渉につなげようとしている。

 この状況の中、文政権が元徴用工訴訟問題への対応を進めることはできない。

文氏にとって、日本への強硬姿勢は世論の恨みに配慮するもっともわかりやすい手段だ。

文大統領がその姿勢を改め、わが国の要請にこたえることは難しい。文政権が続く間、元徴用工問題は続くだろう。

わが国に 必要な国際世論の構築

 わが国は韓国に対して感情的になってはならない。

政府は、日韓請求権協定に基づき、自国の企業に不当な形で実害が生じることは断固阻止する姿勢のみを示せばよい。

それ以上、韓国にかまう必要はない。

韓国は依然として日韓首脳会談の開催を求めているが、それに応える必要もない。韓国は放っておけばよい。

 日本にとって、韓国よりも重要なことがある。

 それは、今の状況を生かし、“親日国”を増やすことだ。

日本は、世界経済の成長の源泉として期待を集めるアジア新興国に加え、欧州各国との関係を強化しなければならない。

それが実現できれば、日本が中心となって多国間の経済連携に関する議論を加速できるだろう。

長い目で考えると、その取り組みがわが国経済の安定と成長を支える。

 現在、急速に米国と中国の摩擦が激化している。

先行きはかなり見通しづらい。

基本的には米中ともに早期に落としどころを見つけたい。

ただ、中国の習近平国家主席は、圧力によって中国にいうことを聞かせようとするトランプ大統領に譲歩を示すことはできない。

そう考えると、米中交渉の先行きを楽観することはできない。

 これは、日本にとって大きなチャンスだ。

中国は日本との関係を重視している。

日本は、米国のトランプ政権ともよい関係を維持している。

北朝鮮が日本の首相と会う姿勢を示した背景にも、日米関係が影響している。

 日本は多国間の経済連携など世界の経済成長に必要なことは“是”、貿易戦争には“非”の立場を示せば、国際貿易の落ち込み懸念を強めるアジア新興国の信頼を得ることができるはずだ。

中国が経済成長の限界に直面している中、アジア新興国にとってわが国が経済支援を進めることは心強く映るだろう。

 今、そうした取り組みを進めることが、親日国の獲得につながる。長い目で見たとき、親日国を増やすことがわが国の国力を高めるために重要だ。

経済の落ち込みで 一段と窮地に陥る韓国

 韓国は一段と厳しい状況を迎えている。

中国は北朝鮮との関係を修復し、韓国を重視しなくなった。

米国は北朝鮮との融和姿勢を強める韓国を信頼できなくなり、韓国に大型警備艇を派遣した。

フランスも危機感を示し、東シナ海にフリゲートを派遣した。

 財閥企業の業績悪化から海外投資家が韓国株を売却し、ウォンは対円、対ドルで急落している。

文政権は経済を支えるために財政出動をさらに重視し始めた。

財政悪化懸念は高まり、さらにウォン安が進む恐れがある。

先行き懸念の高まりから、韓国は日韓通貨スワップの再開などを日本に求めたい。

 

 日本政府は韓国に対して、国家間合意の順守のみを求めればよい。

同時に、日本は教訓を生かし、国際社会との関係強化に取り組まなければならない。

 韓国は福島県などの水産物への禁輸措置を続けている。

日本はこの措置が不当であるとWTOに紛争処理を求めた。

第1審は日本の主張を認めた。韓国の上告を受け、WTO上級委員会は第1審の判断を覆し、日本の主張を退けた。

 科学的な正当性がある、あるいは、客観的に権利が認められているからといって、その主張が常に国際社会の支持を得られるとは限らない。

 わが国の主張が支持されるためには、国際機関など仲裁にあたる関係者への根回しが重要だ。

ある意味、韓国は感情に訴え、WTOの同情を得られた。

同じ失敗を繰り返すことは、あってはならない。

 世界経済の先行き不透明感が高まる中、日本は、積極的にアジア新興国などとの関係強化に動き、国際世論の賛同を得やすい状況を確立する必要がある。

それが、国力の向上に不可欠だ。

 各国との関係を強化することが、日韓の請求権問題が最終的に解決され、日本の主張は協定に従ったやむを得ないものであるとの理解を世界から得ることにつながる。

わが国が自国の主張の正当さを客観的かつ明確に国際世論に訴え、より多くの賛同を得られれば、韓国は日本の意向を尊重せざるを得なくなる。

 政府は、従来以上のエネルギーをもって、親日国の獲得に取り組むべきだ

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)